岡田斗司夫の恐るべき先見性/けれども、彼にもこの先の10年は見えてないみたいです。
第一部だけでも見てください。これ10年前の講演ですよ。
動画の標題には騙されないで見てください。今これを聞いてもうなずける、ものすごくまともな内容です。この講演から10年後の就職状況や恋愛事情を見事に言い当てています。
現状を見事に言い当てている理由
それは彼がオタクだから可能だったんです。彼はIT業界やアプリ・ソフトウェア業界に精通していて、ITの発展が社会に多くの影響を与えるか理解していたからです。
当時出始めのスマホを「小さなコンピュータ「画面の大きな携帯電話」程度にしか理解できおらず、通信速度の高速化が社会に何をもたらすか誰も分かっていなかった。光通信がストリーミングやオンデマンドの映像をこれほど一般化するのも分かっていなかった。
GAFAというITの巨人がITを寡占し、社会を寡占し、我々の生活がどう影響を受けるか全く理解できていなかった。当時はアマゾンなんてまだ「便利な通販」で楽天と競っていましたし、グーグルもただの検索エンジンでヤフージャパンと競っていました。
今と過去しか分析できない経済学者や大学の先生と全く違う将来への視点がオタクにはあったんです。加えて、彼がただのオタクではなく、社会一般の常識を幅広く身につけていたからです。
彼の先見性が共感を持たれなかった理由
もちろん凡人には、優秀なオタクの知見も先見性も理解できず、ただの「変わったオタクのおっさん。」としか思わなかったからです。でも、もうひとつ大きな理由があります。この後の彼の講演を聞いていると分かりますが、岡田斗司夫には決定的に不足している点があり、その不足のせいで多くの人間は共感できないからです。
その不足点は、「凡人が金を稼ぐこと、生活をすることにどれだけ苦労しているのか?」「その状況に惨めに思って喘いでいる人間がどれほど多いのか?」という凡人への共感や理解が全くないことです。才能がありあまり、好きなことをやっていれば人が周囲に集まってきて、仕事や金に苦労することがなかった人間の決定的な欠点です。
だから、「お前の言ってるようには生きられないんだよ!バカじゃない?」「上から目線でオタクが喋るんじゃねえ。」で全て片付けられるんです。これは、ホリエモンやひろゆきと言った似通ったことをしている有名人にも一般的に見られる傾向です。
けれども、彼も今後のことは分かっていない
それは岡田斗司夫が60歳を超えて老いたからでしょうか? いや、違うと思います。
彼は精通していたITという産業の成長は正確に把握し、その社会への影響を言い当てることはできた。けれど、そのIT業界が成長の極みまで到達し、GAFAがすでに社会を寡占してしまった現在は、ITの技術的な予想から予見できた到達点です。もうITには社会を劇的に変える発展はない。
だから、この先の社会が劇的に変わるには、違った産業の発達を見なければいけない。ITオタクにはそれができない。もちろん、私などにも分からない。
ただ、私にわかるのは、ITとグローバル化が生み出した非正規雇用40%、男性の生涯未婚率23%と言う状態がより悪化し、社会のコンセンサスが崩壊していくことになるのではないかということです。芦屋なんかに住んでいたら、分かりにくいですけれども。