人生には何があるか分からない/安倍さんの事件に不謹慎かもしれませんが、塾の生徒に言いたいこと
失われたこの20年間の9年間が安倍政権でした
金融緩和をして株価と土地は上がり金持ちはより金持ちになりましたが、消費税を5%から10%に上げて庶民の生活は苦しくなりデフレが続きました。そのしわ寄せは今の40歳くらいの「失われた世代」で特に顕著だと言われています。
もちろん、この世代の悲劇は、安倍政権以前の小泉政権時の派遣業改正と民主党政権時まで続いた就職氷河期が直接の原因です。日本の雇用環境を考えれば、新卒で良い条件で就職できなければ、中途採用なんて難しいわけで、一生非正規で低賃金です。それでも、安倍政権で消費税を倍にしてデフレを続けなければ、もう少しどうにかなっていたのではないかとも言われています。この世代へのケアもほとんどありませんでした。経済苦と将来への絶望から未婚が多いこの世代が出産適齢期を終えた今、日本の少子化は取り返しがつかなくなっています。
今回銃撃した犯人は、この20年間を不幸せに生きてきた世代の代表だという気がしてなりません。彼らにとって、不幸な日本のシンボルは9年も総理をやった安倍さんだったのかもしれません。人生には何があるか分からないということを、安倍さん側からも、犯人側からも感じる事件です。「ジョーカーを育てないために/最近の復讐事件から考える」
塾の生徒に言いたいこと
私が「やりたいことも我慢して必死で頑張れ。」というのは、せいぜい高校2年生と3年生の2年間だけです。高校受験する中学生など、学習内容も簡単なので、宿題もほとんど出しません。塾で学習してもらうだけで結構です。何も言うこともありません。
でも、高校生には言いますよ。「この2年間が、その後の60年間の人生にとてつもない影響を与える。日本はまだ新卒採用中心だし、キャリアが分からない新卒採用では学歴を重視せざるを得ない。入る企業が違えば所得も違うし、社会的なステータスも違う。格差が広がった今、適齢期になった女性は金と地位で男を選ぶ。選ばれない男性と、高望みする女性が多くなり、30~34歳男性の未婚率は47.3%、女性は30~34歳までで34.5%にも上る。因みに、これを女性有利と捉えるのは間違いや。通常、結婚は年上の男性と年下の女性の組み合わせが多い。35~40歳の男性の未婚率は34.5%で、ひと世代下の女性とほぼ同じになる。一つ下の年代層同士を比べても同じことになっている。
所属する社会層が違うので、交友関係も結婚相手も違ってくる。ソコソコの所得のある層は、同じ層の中で交流し家庭を築く。低所得層同士が結婚したとしても、生活に疲れて結婚や離婚を繰り返し、子供を虐待するニュースが後を絶たない。
というのが、今の日本の縮図や。それで、この2年間キミは頑張るんか? どうするんや? 自分なりに頑張るっていう逃げはなしやで。上位の大学に行けるまで頑張らんと意味はない。」
就職氷河期は再来するのか?
安倍元総理という金融緩和派のリーダーがいなくなったので、金融・財政緊縮派の岸田総理は、同情票でこの週末の参院選挙を大勝し、消費税と金利を上げて、就職氷河期の二の舞を起こすかもしれません。だって、下の動画のような認識が一般的だからです。面白おかしく言っていますが、内容はマトモです。ロバートソンさんのお話は飛ばして下さい。
でも、アメリカがインフレを押さえ込むときはドル高政策をとるので、日本の意向だけでは変わらないかもしれません。
日本の株価はドル換算ではナスダック並みに3割下がっています。円安でアメリカに比べて下がってないように見えるだけです。インフレ退治でアメリカもハードランディングしたら、「日本の円安でアメリカを圧迫するな。」なんて言われて、それに岸田政権が乗っかって緊縮して円高になったら日経平均株価は暴落するかもしれません。
ちょうど今の高校生が就職活動するころ、あの就職氷河期が再登場するかもしれません。そうなったときに就職で一番有効なカードは猶更学歴です。あの就職氷河期の時代も、中堅私立大学の学生は悲惨でしたが、上位大学の学生にはあまり影響はありませんでした。
日本は無敵の弱者には生きにくい
日本は、「無敵の人」にはとても冷たい社会ですよ! そこの高校生、分かってますか? 欧米では独身男性の寿命は結婚している男性の寿命と変わりませんが、日本だけは極端に短いんです。寿命が短い主原因は、病気ではなく、自殺や事故死によるためです。男性の自殺は、この失われた20年で激増しています。
同質性の高い日本の社会は、新卒正社員・結婚というレールから外れると経済的にも社会の居心地という面でも、とても生きずらい社会です。だから、失われた20年を経て社会に恨みを積もらせた無敵の人が秋葉原事件から、電車や病院の放火、今回の事件まで起こしています。けれど、最初のビデオで宇佐美さんが言っているように、彼らは「テロリスト」と糾弾されるだけで、この強固な社会構造は変化はしません。
予防策は、まずは無敵の人にならないことです。