クラブを続けながら成績を上げたいというホドホドの生徒は個別指導に転塾しても難しい件/塾難民になることが多い
この時期に入塾を希望してくれる多くの生徒
半年間新しい学校に通って、あるいは新しい学年になって、多くは新しい塾にも行って成績が上がらないから、他の塾に変わるという生徒がこの時期の入塾生には多いです。こういう生徒では、集団式の塾ではスケジュールに追いつけないので、あるいはクラブと両立できないので、ウチの塾も含めて個別指導を希望される方が多いです。
そういう生徒の言うことは、「クラブが大切です。クラブは今まで通り続けたい。」と言うことです。そういう生徒に私は言います。「クラブをやって、家に帰ってきて学校や塾の宿題だけして、分からないところがあっても考える時間もないから答えをなぞるような学習をして理解できていない・おぼえきれていないからテストで類題が出ても解けずに、今のようなことになっているんじゃないの? クラブ活動をそのままで、その状態が改善できるの?」
この時期に入塾を希望してくれる多くの親御様
すると、ここで「その通りや! クラブばっかりしてきちんと勉強できてないと思ってたんや!」という親御様はほとんどおらずに、「イヤ、クラブは子供の大切なものなんです。クラブも辞めずに出来れば国立大学、ダメでも関関同立に行かせたいんです。」とほとんどの親御様はおっしゃいます。
そこで私は。「お子さんの学力を見ると、基礎学力が決定的に不足しているので、まずはこれとこれとこれを完璧にこなしてもらう必要があります。それが2年の後半までにこなし終わって偏差値が60後半あって入試問題に取り掛かれるようだったら国立大学を目指せばいいし、終わらなければ共通テストの準備が必要な国立大学は無理です。2年の後半からは3教科に絞って関関同立を目指すしかないです。」
そして、最後に付け加えます。「いずれにせよ、クラブを終わって家に帰ってきて学校や塾の宿題を中途半端にしかできていない今の状態ではムリです。」
それでも、ほとんどの親御さんは子供を庇われます。「クラブ活動は続けさせてください。」
それで、こういう生徒が個別指導塾に入塾するとどうなるか?
個別指導塾にしばらく通うとこういう生徒はどうなるか?
最初は塾から言われた学習をやろうとしますが2~3カ月もすると嫌になって、塾に学校の宿題を持ち込み始めます。塾から帰って学校の宿題をやるなんて真っ平だからです。塾でも、講師に絡まれるのが面倒なので、こういう生徒に「分からないところはないか?」と聞いても「大丈夫です。」と逃げられ、こちらが先導して指導しようとすると「明日までに、この宿題提出しないといけないんで。」とか言って逃げられます。
ということで、塾に来て最初は成績が上がっても、その後はまた元通りに落ちてしまうことが非常に多いです。言い換えれば、こういう学習しかできていないから、成績が上がらずに塾を変えることになるわけです。
子供も問題ですが、そういう状況を分かっていながら「塾さえ変えれば何とかなる。」と思っている親御様の方が問題だと思います。だって、そういう甘い子育ての結果が今の子供を作っているんですから、どの塾に行こうが、どの学校に行こうが向上はありません。十数年育ててきてお分りになっていないのなら、プロのこちらの言いう通りして下さい。
人を追い抜いて成果を出すには、人より我慢して努力しないといけないという「当たり前」がこういう生徒と親御さんはお分かりになっていないんです。いや、他人に対しては分かっていても、自分のお子さんだけに対しては分かっておられない。恋愛も子育ても「盲目」は同じなんですな!
せめて、「その通りや。塾まで変えて成績上がれへんかったらクラブ辞めさす。その気で頑張りなさい。どの塾に行ってもアカンというのは、塾じゃなくってアンタがアカンってことや。」って言うくらいの親御様じゃないと、この時期に転塾させても成績は上がらないと思います。
「生徒の皆さんに分かって欲しいこと/上位の学校に進みたければ相応の努力が必要だと言うこと」「「最近の若者は口だけは一人前で辛抱もない。」とお嘆きのお父様方へ/あと5~6年するとその若者が神々しかった有様になります/でもね、親御様の方が変化は激しい」に書いた通りでございます。
その結果、塾難民となる
家庭に逃げ場と言い訳がきく安楽な場所が大口を広げて待ってるんですから、自分から頑張ることができる国立大学の本当の意味での志願者でないこのレベルの生徒では、いつまでも安楽に浸るだけで改善はないです。
20年以上塾をやっていて、甘々の考えでこの時期に「塾さえ変えれば。」なんて転塾して来る生徒と親御さんで、ご希望の結果が出ることはまずないです。こういう方々は、半年ごとに塾を変える塾難民となります。
そんな厳しいことをしたら、子供に悪影響とお考えの方へ
私が言っていることが「厳しすぎる」「家庭でもそんなことをしたら子供が歪む」とお考えなら、それはそれでいいと思います。そういう社会風潮ですから。
ただ、お子さんは残念ながら、それほど勉強しなくてもできる学習適性も、親が放っておいても自分から頑張る資質もないんですから、子供の好き勝手にやらせて人様を追い越して一流大学に行って一流企業に就職などは都合がよすぎると思います。
のびのびと育てた結果がどうなるか、子育ての楽しいところだけを享受した結果どうなるかも覚悟した上で、最近の「子供本位」の子育てを実践されればいいと思います。今の20歳代では、4割が非正規労働者です。今の「子供本位」「若者本位」の社会は、裏を返せば「面倒なヤツらに教育をして育てるくらいなら、非正規で使い捨てればいい。」ということが裏腹で付いていることをお忘れにならない方が良いと思います。