この数年に崩壊していること/子供の学力<親の力/特に父親が甘い場合は、子供は矯正不能
この数年で決定的に崩壊したこと
5年位前からでしょうか、「この親、甘いなあ・・・」という親御さんが急増してきたように思います。
子供と一緒に高望みの成績や入試の目標を嬉しそうに塾で唱えられ、「じゃあ、今の成績から考えると、根本的な学習姿勢を変えて頑張らないとね。」と少し子供を揺さぶると、子供が「嫌や~」と投げ出し、子供と一緒に嬉しそうに高望みしていた親御さんも「頑張らんかい!お前の将来がかかっているんや!」の一言もなしに「子供が嫌だと言っておりますので。」と早々に退塾する親子が増えています。
私には、こういう親の考えが分かりません。希望いっぱいの将来を語り明るい家庭で「家族仲良く。」で快適に過ごしたいから、だらしない子供に怒りたくないのは分かりますが、大学卒業時にまともな就職もない悲劇が降りかかり、その後辛抱のない子供は「こんな会社嫌や~」と転職を繰り返し、雇用条件はより悪くなり、最後は非正規のアルバイトしかない・・・という道が今までの経験上鮮やかに見えているからでございます。
父親が甘い場合は、特に酷いです
いや、私じゃなくっても、会社で頼りない部下を見てきているお父さんも、他人の子供のことなら私と同じに考えるでしょう。でも、自分の子供のこととなると分からない。あるいは、「家族団らん!」と決め込んでいる嫁に反抗して家庭内不和を引き起こす気がない。そういう親に意見してトラブルを引き起こす学校も塾もない。
家庭内でも学校でも塾でも厳しい父性がない子供で、自ら上昇意欲を持たない子供では、徹底的に甘ちゃんになります。それと、結構多いのが中学や高校の低学年の思春期に父親が単身赴任になって、母親だけでは子供を抑えきれなくなっている場合です。
少し前までは、こういう方はあまり多くなかったです
以前は、成績に応じた志望校、あるいは頑張ればいけるかな?と少し高望みした志望校を言われる親子さんが大半でした。今では、親とトラブルを起こしたくない学校でも先生からも、おそらく他の塾でも私のように現実的なことは言われたことがない方が多く、やる気もない子供を連れてきて高望みする親御さんが増えてきたのかなとも思います。
とはいっても、中学受験や高校受験で学校での当たり障りのない対応や塾の宣伝用の甘い進路指導を体験して痛い目にあっている方でも、いつまでも高望みの甘ちゃん言っているというのは本人たちの資質によるものだと考えざるをえません。
ところが、遺伝的要素の資質は一定割合ですから、こういう資質があっても以前は何らかの自制がかかっていたのではないかと思います。その自制がなくなってきた。少子化と過当競争の中で、塾が「お客様は神様」扱いをし、学校でも「トラブルだけは禁止」というコンプラの元で、自制を失った親子が増えたのではないかとは思っていますが、断言できることではありません。
そういう親の増加に伴い、学校や塾だけではなく、マスメディアもより甘い宣伝を垂れ流して親からの興味を引いています「私の理解の外にある言葉「部活に打ち込んでほしい」/学校って何のために行くんですか?/文武両道が成立する生徒など少数です」で書いた「東大生断言「部活頑張る人」こそ成績伸びやすい訳 | 生まれつきの才能は不要 東大「逆転合格」の作法 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)」と言うような情報を垂れ流して、こういう親の歓心を買おうとする。
こういう記事を読んで喜んでいる親は、どこからも矯正されることなしに、資質全開で高望みと家族団らんを楼閣の上に築き上げます。
問題はこの記事が週刊ポストなどではなく、それなりの学歴を持ち厳しいビジネス環境で働いている父親が読む東洋経済というビジネス誌に載っていることです。受験も経験した父親が、職場のしっかりした若者と見比べて自分の子供を見たときの冷静な視点がまったくなくなっている。「お客様が神様」だけの話で済むことでもないと思います。「この企業に勤めているのなら、優秀な若手と毎日接していているはず。比べようもないほどだらしない自分の子供を放置していれば、まともな職場に就職などできないのが分からないのだろうか?」という方が激増していることを身をもって感じているからです。
入塾を警戒する方々
高望みの目標を嬉々としておっしゃる場合、体験授業の段階でやんわりと「無理だ。」とお伝えします。あるいは「この程度の努力をしてもらわないと無理だ。」とお伝えします。しかし、多くの場合、聞き流され「頑張ります!」と入塾してこられます・・・まあ、数か月も持ちませんわ。子供の「頑張る垣根」が「嫌なことはしたくない」レベルで、どうしようもないからです。しかも、親もその垣根に同調して「お前のそういうところがアカンねん。」の一言もなしに、「嫌だと言っていますので。」とすぐに辞めていかれる。
他には、体験授業などの日程を些細な理由で、時には「行きたくない。」と子供がゴネているとしか思えない理由で何度も変更される方です。塾を都合がよい時だけ気軽なサービス業として扱い、その一方で成績や子供の扱いには重い責任を要求する。あるいは、子供の我儘も抑え込まずに、塾に放り投げる。そんな親の子供だから、子供はわがまま放題なわけです。その子供に一生懸命教えて少しでも厳しいことを言えば「嫌や~」と子供は親にゴネて、親は早々に「嫌だと言っています。」と気軽に辞めていかれます。お預かりできないです。
昔は「塾でキツイことを言われる。」って親にゴネる子供なんかいませんでしたよ。だって、「どこに行ってもオマエはそういわれている。お前がだらしないからや!」と二重に怒られるからです。
10年後は社会は阿鼻叫喚になる
だって、こういう子供たちが社会に出てくるわけです。今の若い子でも「辛抱がない」「甘い」と嘆いている方も多いと思いますが、今の中高生はモノが違いまっせ。
こういう辛抱のかけらもない若者が従事するサービス業など使える若者などいなくなって、子育てを終わった女性や退職した高齢者の雇用が進むと思います。だって、円安と低賃金で外国人労働者はもう日本には来てくれませんから「外国で職を探す若者が増えている/オーストラリアでは非正規で月給80万円/国内でしか通用しない高学歴より生活必需の専門職で英語が話せる人間が一番強いのではないか?」。