兵庫県芸術文化センターのコンサートに初めて行ってみた
会場の音響
長い間コンサートなんか行ってなかったです。久しぶりに行ってみました。兵庫県芸術文化ホールのオケの定期演奏会です。プログラムはハイドンの交響曲6番、ベートーベンピアノ協奏曲3番、シューベルト交響曲9番グレートという豪華なものです。
あくまで個人的感想ですが、よくない。残響時間が短すぎると思う。座席は真ん中少し後ろで悪い席ではなかったと思いますが、ハイドンの室内管弦楽レベルの人員だと、音が座席まで来ない。最初、「エッ、安物の素人用の楽器でも使ってるの?」って思いましたから。でも、音合わせの時のコンマスのヴァイオリンも来なかったから、それはないでしょう。
シンフォニーホールやサントリーホールでは、この座席位置だと、弦楽四重奏団の演奏でも音が届きます。残響時間が少ない分解像感も高いかって言えば、それもない。
次はベートーベンのピアノ協奏曲の3番で、フルオケの人員でしたが、中音域が団子にになってしまい、塊のままです。コントラバスの低音も来ない。はっきり言って市民会館などの多目的ホール並みの音響しかない。倍音も感じられない。
その割にピアノの音だけは妙に前にでるが、音は広がらない。倍音もない。低音の響きはない。ピアノの弦がハンマーで叩かれて広がっていく低音がない。オケとピアノの響きが団子になっている。スタインウェイのコンサート用のピアノが、安物のヤマハのピアノのようです(ヤマハのコンサート用の高いピアノは素晴らしいです。スタインウェイより好きです。)。
私が聞いた中では、渋谷のオーチャードホールをもっさりとさせた印象。正直、録音状態のいいCDを少しマシなステレオシステムで聞いているのと大して変わりはない。シンフォニーホールなんかで感じる、体が音に包まれる生楽器の醍醐味はないです。
見た目もいいかって聞かれると、やはりパイプオルガンがないホールって、私的には萌えないです。コンサートホールって言うより、桟敷席も作ってオペラハウスとして開発したんでしょうね。中音に音がかたまって前に出るのも、歌をオケの前に出したいからだと考えれば納得できます。
管弦楽団とピアノ
日本のオケを聞くのは、実は初めてです。だって、NHK交響楽団に文句たれている人間ですよ。
・・・いやぁ・・・。散々このブログではこき下ろしてきましたがNHK交響楽団って、やっぱり上手いんだなと・・。プロと素人ほどレベルが違うなと。N響の金管がひどいと散々こき下ろしてきましたが、あの金管でも上手いんだなと。
メンバーも固定されていないようですし、やはり地方オケの悲哀を感じます。上手いメンバーだけで、最新の古典音楽の演奏法でも取り入れて先鋭的な室内管弦楽団にして、ハイドンとモーツアルト主体に演奏するくらいの改革をしないと、厳しいんじゃないでしょうか。ハイドンから、マーラーなんかにまで手を出して、おまけにオペラもやる今のような状況にはない。
例えばこんなのです。でもあのホールの響きだと厳しいでしょうねぇ。室内オケの手に取るようなアンサンブルが団子になるでしょうから。
追記)このオケにはアカデミー(学生レベル)のメンバーも交じってるんですか? そういう情報を読んだもので・・・じゃあ、仕方ないですかねぇ。そうであれば、なおさら演目は絞るべきではないかと・・・。そうであれば、そう明記しておいてほしい。
でも、ベートーベンを弾いた児玉麻里ってピアニストはよかったです。ブッフビンダーとかグルダみたいな構築の良いベートーベン。ダンナはケント・ナガノだったんですな。知らんかった。でも、ピアノの音も塊で聞こえて広がらないんですよ。
感想
ウ~ン、あの演奏で、生の楽器の醍醐味も味わえないのは、安くてもつらいですねぇ。CDなどの録音も、音楽配信でも音源が良くなり、ステレオシステムも進歩していますから、あまり積極的に行く気にはならないなぁ・・。
このホールには、今年の夏にバーミンガム市のオーケストラが来ます。地方の弱小オケでも、今のヨーロッパではこのくらいのレベルにあります。特に管、金管のレベルが日本とは違います。ドイツのブレーメンなんかには世界でトップクラスの地方オケがあります。バーミンガムのオケくらいのレベルだと定期会員になるんですけれどね。
上のオーストラリアの室内オケもそうですが、こういういい地方オケは自前の映像をバンバン発信して宣伝します。こうして宣伝して客を集め、いいメンバーを集めないと、兵庫県のように昔ながらの定期演奏会だけではダメでしょねぇ。もちろんそのためには宣伝に耐えうる演奏が必要ですけれども。
今の芸術監督の運営方針って、間違ってるんじゃないですかね。間違ってなかったら、もう長い期間たってるんですから、こんな演奏はしないでしょう。
でも、いいオケを聞きたくても、もう関西には海外のメジャー級のいいオケは来てくれないんですよね。昔は東京にいれば世界で一番いい音楽が聴けると言われていましたが、今では東京も北京や上海の帰りに寄るくらいで公演回数も少ない。大阪には来てくれない。こういう地場のオケに頑張ってもらうしかない。
みじめな国になりましたなぁ・・・。でも、金があった期間に自前でいいオケを育ててなかったから仕方ないですね。