大学入試の小論文/矛盾のない段落構成のみ必要・特別なワタシを書こうとする間違い

第1段落には結論を書く

具体例も挙げずに書くと分かりにくいので、「少子化についての考察」について例を挙げながら書きます。

まず、最初の段落ですることは、自分の考える活論を明確に述べることです。その際は、この題ですと方向性は明示されていませんので、経済的側面から「競争力を失って経済の縮小を招く」でもいいですし、福祉的側面から「社会福祉が破綻する。」でもいいわけです。

良いことを書かなければという感違い

ここで勘違いが多いのは、「良いこと」を書かないと落とされるんではないかと言う誤解です。小論文とは論理的な思考力があるかないかを見るもので、個人の指向を見るものではありません。だから「少子化では社会福祉の破綻が起こるが、これは地方に分散して住む高齢者を都市部の福祉施設に集めて効率的な社会を始める良い機会である。」という人権に多少問題がある結論でもいいと思います。これは極めて有効な解決策で、別に犯罪的な指向があるわけでもありません。

大学は、入学させればキチンと授業を聞いて理解してくれ、大学の看板になっている資格も取得できるぐらいの能力はあり、そして大学の恥になるような問題も起こさない生徒を選びたいだけなんです。ただ、ひとつだけ考えておかないといけないのは、大学の先生などは左寄り指向の方が多いわけです。だから、「イージス・アショアなんか中国の攻撃にも脅しにも役に立つかい!対敵地戦略的核弾頭のほうがよほど経済的で効果的である。」というようなもっともなことは書かない方が良いと思います。

何せ、ホラ、左寄りの人って理屈ではなく、人権・環境・平和推進の自分の方がエライ・正しいと言う立場から相手を全面否定しますから、論文も内容如何にかかわらず、難癖をつけられて減点される可能性もあります。君子危うきに近寄らずです。

要するに、あまりにもアレな考えを持っていて「コイツ、大学にいれたら問題や犯罪を起こしてヤバくない?」と言うもの以外は特段点数に影響はありません。知識も社会体験もない18歳の子供に、ご立派な意見を聞こうとしているわけではありません。仮に高校生が「オレ凄い」と言うのを書いたとしても、ほとんどは「まあまあ18歳やとこんな程度か。」にしか大人の目には見えません。

ただし、あまりにも見当違いなものはダメ

「敷地の草むしりに、人を雇うのではなく山羊に食べさせました。あなたはどう考えますか?」という小論文に「雑草ばかり食べさされて山羊さん可哀そう。」と書くのはダメです。まず、「合理化と雇用の誤謬」という論題を把握できない知識のなさ、入試で「山羊さん可哀そう」と書く常識のなさから、「こんな不思議ちゃん入学させたら、教えられない。」となりますから。

また、い医療関係の学部などで、あまりに医療倫理に抵触する「老人問題を解決するには高福祉国家オランダのように積極的安楽死を」と言うような正論を書いてもいけません。「研修医になって問題でも起こしたら俺の首が飛ぶ。」となるからです。

第2段落、結論に即した理由を書く

例えば、「少子化についての考察」の1番目の理由としては、「少子化で消費が縮小して企業の利益が減少すると開発費も減少して外国に対して競争力を失う。その結果企業の利益が減少してさらに開発費が減少するスパイラルに陥る。」ぐらい書けばよいわけです。2番目の場合も「労働人口の減少から社会保険料や税金が不足して、十分なケアができなくなる。」というような、どこにでも載っていて、誰でも知っていることを書けばいいです。

その辺の高校生に特別な知性を求めているわけもなく、大学で授業を聞かせたらマトモに理解できるかどうか見ているだけなんですから。

でも、こういう指導をしても大抵は無駄/小論文の問題集の傾向

ところが、今の高校生の問題点は、このワイドショーレベルのお話を全く知らないから小論文が書けないということです。だから、大抵の場合はこういう段落構成を指導しても役に立ちません。

このワイドショーレベルの結論も理由も書く知識がないからです。だから、「老人問題は大変だと思います。理由は面倒を見るのが大変だからです。」というような小学生レベルのことしか書けません。

こうなると、もうお手上げです。だから、最近は「小論文の書き方」という問題集は、段落構成の指導などを放棄して、よく出される題目の模範解答例を載せて「こうカックンですよ。おぼえましょうね!」というものがほとんどになってきています。

第3、第4段落でその理由を正当化する証拠を上げる

例えば、最初の経済縮小なら、まず最初の段落で少子化に直面してから日本のGDPは伸びていないなど書けばいいです。ワイドショーレベルのごくごく表面的なお話を書けばいいと思います。

でも、この例が思いつかないわけです。

長さ調節は証拠の数で調整する

小論文は「〇〇字以内で」という指定があります。その9割以上程度で書くことが理想です。けれど、結論や理由に書けることには限りがあります。ですから、長いものは証拠段落を3つ4つ挙げる。短いものには1つ2つで調整していくわけです。下手に結論や、次に書く考察で長々と書くと、理屈が破綻したり、同じことを何度も書いて段落内の構成が破綻します。

最後の段落は今後の方針を書く

最後は、「だから~したらよいと思う」という考察を書くわけです。別に「外国人労働者を入れて人口を維持する。」でも「縮小均衡された社会で個人が幸せならよいのだから、縮小過程にあるこの20年は私たちが頑張る。」でもいいと思います。何度も書きますが、個人の指向は関係ありません。社会的な一般常識を、そのまま書けばよいだけです。

内容で大切なこと・・「特別なアナタ」を探しているわけではない

下手に自分で考えたことは書かないようにしましょう。高校生が自分で考えた結論は、知識不足と経験不足から大人にとっては的外れになることが多いです。マヌケあるいは不思議ちゃん認定されたら、「コイツ入れたらあかんわ」となりますから。聞かれているのは、あなたの知力やセンスではなく、「この学生を安心して預かれるか」ということです。大学の授業を受け入れられる常識と知識があるか、キチンと論理展開できる頭脳があるかを見ているだけで、「特別なアナタ」を探しているわけではありません。この点を分かってらっしゃらない方が、とても多いです。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。