中学で英検2級を取る問題点
英検が入試代わりになる最近の高校・大学入試
最近では、大学入試の特別推薦枠(AO入試)で英検の2級が受験資格だったり、高校入試では大阪府などで英検の2級を持っていたら80点くれるなんて、英検利用の入試が一般化してきています。
そして、中学生で英検を取ることが一層人気になってきています。中学生で結構デキる生徒なら英検の2級は対策を打てば取れます。文法をサラッと教えて、英検用の問題集で単語や熟語をおぼえさせるのです。
もちろん、この学習で並の中学生より単語力も読解力も身につけることができます。良いことだと思います。でも、この制度について思うところもあります。
中学生が取る2級と高校生が取る2級は同じ英語力か?
英検2級は、高校の基礎学習がほぼ分かっていないと取れません。だから、基本的な英語力を担保するために私立大学のAO入試では英検2級が受験資格になっているわけです。
ところが、この2級は中学生が取る場合、高校の学習内容をキチンと教えることなく、単語力や熟語力を強化して無理やり取らせることが多い気がします。文法を教えるのが面倒だから「英検の単語テストしま~す。○○ページまで宿題で~す。」とやる方が塾では手っ取り早いからです。だから、文法・単語・長文読解とバランスよく学習する高校生が特別な対策なしに取る2級とは実力では大きな隔たりがあると思います。
また、もう一面では、中学校で学習していないことを入試の代用にして高得点を与えるなど、高校受験でしてよいのかという疑問もあります。中学生で2級を取っているから、それは素晴らしいことなのですが、この自信が以下の問題点につながっていくからです。
2級を取ると慢心して英語学習をしなくなる
中学生で2級を取ると、それ以後英語の学習が疎かになる子供が結構います。理由は、英検準1級は難しすぎて取れないので英検の学習はもう止める生徒も多い一方で、中学の学習には十分な学力があるので、また高校に入学してからも、最初は余裕でついていけるからです。だから、英語をまじめに学習しなくなる。
それで、気が付いた時には、文法力が高校でまじめに学習してきた生徒より劣っている上に、コレもアレも忘れていて、2級を取った値打ちがないということになる。また、上に書いたように、英検取得者は英文法の学力が低く、高校でも慢心するため、大学入試用の高度な文法が内包されている文章になると読めなくなります。これは基礎英文問題精講などの本格的な入試用の長文読解を学習し始める高2の後半から露呈します。
私の感触では、関関同立の入試問題は英検2級より難しく、準1級より簡単です。英検2級を特別対策なしに文法から読解までバランス良い力で取れる高校生でないと関関同立は合格しません。
だから、英検2級を取ったからと舐めていると高校2年生からつまずきます。