中高一貫校で4年間も高校の学習をして、なぜ多くの生徒は関関同立にも合格できないのか?

中高一貫校で4年間も高校の学習をして、普通の学習が出来ない

関西学院大学は親世代の甲南大レベル/それでも関学が名門になった理由」などにも書いてきましたが、関関同立の入試問題は難しくありません。学校から配られたチャート式などの問題集や一般的な入試用の問題集を学習していれば合格できます。

代表的な例を挙げると、数学では上に書いた通り黄色チャートで十分です。英語は学校から配られるVintageなどの文法問題集や基礎英文問題精講レベルの長文読解が出来ていれば十分です。古文なども、基本的な文法問題集を終えた後、一般的な入試用の問題集をしていれば大丈夫ですし、社会は教科書をキチンとおぼえていれば大丈夫です。理科はシグマやαなどの学校から配られる問題集が出来ていれば大丈夫です。

大雑把に言うと、ほぼ学校から配られる問題集を高校3年生の夏までは一生懸命学習しておいて、それから過去問題でもやって理解不足な頻出分野があれば復習しておけばいいわけです。

ところが、この学校の学習中心の平易な学習、しかも文系なら英国社、理系なら英数理の3教科だけキチンと学習していれば済む学習を多くの生徒は出来ません。中学受験をして高い授業料を払って、高校の学習を前倒しで教えて4年間かけて大学受験の準備をする中高一貫校も例外ではないのです「公立校の皆さん、私立中学で使っている「体系数学」と言う教科書の意味が分かっていますか?

このあたりでは序列3位の六甲レベルでさえ、真ん中にいないと関関同立には進めません。ということは、こういう進学校では中学受験で優秀な生徒を集めて、しかも公立高校よりはるかに長い時間をかけて、3教科でさえ、どの高校も使っている一般的な参考書を半数の生徒に解させることができていないということを意味します

なぜそんなバカげたことが起こるのか?

理由は2つあると思います。一つは授業進度の問題です。「「公立校の皆さん、私立中学で使っている「体系数学」と言う教科書の意味が分かっていますか?」にも書いた通り、多くの中高一貫校では中学3年生、早い学校では中学2年生から高校の学習が始まります。

新しい学校に進むわけでもなく、中学生の意識のまま急激に難しい高校の学習に突入していきます。中高一貫進学校の生徒のレベルでは、中学の学習はとても簡単で、学校の授業を聞き宿題を適当にこなしているだけでそれほど理解不足にはなりません。もちろん中学受験後にだらけて、宿題もキチンとしない生徒は別です。

同じ学校と同じ制服で意識を変えるきっかけもなく、その意識のまま難しい高校の学習に突入していくわけです。高校の学習は中学の学習とは違って、授業を聞いて適当に問題を解いて、分からなかった問題は解答を見て書き写しておけば出来るような代物ではありません。自分でなぜそういう解法になっているのか考え、自分で解法のポイントを押さえ、そして自力で問題を解けるようにしないと高校の学習はできるようになりません。

ところがそういう学習の進歩を学校が指導することは、ほとんどの私立でありません。ただ教科書と時間割が変わるだけです。クラブ活動もそのままで、学習内容が激増するので課題だけが増えて、子供はアップアップになります。だから、難しい学習になっているのに学習姿勢を変えることなく、以前と同じ分からなかった問題は正解を書き写して理解した気になっている学習を多くの優等生が続けて落ちこぼれていきます。

中には、他の教科とのバランスも考えずバカげた課題を出す教師も進学校には多いです。問題集の量が多いというようなものではなく、「それ大学の授業?」というような難解な学習を基礎も教えていない子供に投げつけて「ホラ、オマエら分からないだろう?」と悦に入っている研究者崩れでしかたなく教師をやっている人間の欲求不満のはけ口に子供がされていることも多いです「進学校のメチャクチャな授業で分かる親の知性/子供の将来」。

こうして中学の学習分野には通用したが、高校野が悪臭には通用しない学習を、同じ制服・同じ学校で変えることが出来ずに落ちこぼれ、高校になった時にはもう高校2年生の授業が始まって取り返すことが出来ずにズルズルと行ってしまう生徒が中高一貫の進学校には多いです。これが優秀な生徒を集めて、半分は関関同立にも合格させられない「進学校」の実態です。

そして聞く耳を持たない

こういう状態の進学校の生徒も預かり、どういう学習をしない解けないかアドバイスして指導するのですが、変えるのは大変です。学校の進度に沿ってもも学習できなかった生徒が、「今から頑張る」と言ったところで、その遅れを取り戻しつつ今の学習も並行してやることなど、時間の面でも努力の面でも相当な努力を必要とします。今キチンと学習している生徒の学習+復習になるのですから、今までの学習時間の2倍とかが必要になるわけです。

そこに、研究者崩れの教師のクソの役にも立たないメチャクチャな宿題が時間を取ります。だから、「そういう宿題は適当に放り投げろ。中学の成績は高校からの指定校推薦には関係ない。」と言っても、進学校の看板への忠誠だけは高いですかrあ、塾で「数学の最重要な二次関数の理解不足を!」という指導を放り出して「これ教えて下さい。」という生徒は非常に多いです。

ところが、塾に来る親子にそういう説明をしても、子供は「せっかく中学受験を頑張って進学校に入った私にこの小さな塾のオッサンは何を言ってるんだ!」と納得いかない顔をするだけで、当然「クラブを続けながら・・・」なんて言うわけです。そして、傍らの親が、「中学受験も頑張りました。ウチの子は両立できると思ってます」なんて言っている場合は、ほぼ無理です「「クラブを続けながら成績を上げたい」高校生は通用するのか?」。その頑張り程度では落ちこぼれているから、親子が怒るに決まっている言いたくもないことを小さな塾のオッサンは言っているのです。

親も悪い

もちろん、「この塾の言うように頑張れ!」という親もいます。でもそういう親で勘違いしているのは、いつまでも中学受験期のように親の言うことを聞いてくれた児童とは違うということを納得できないでいることです。相手は反抗期を迎えて親の人格とは別の人格に育った子供です。おまけに世間を理解する能力はまだなく、その子供の本性全開の反抗期真っただ中の子供です。

いくら「中学受験の時は私が言うように頑張ってくれたのに。」と塾で嘆いても、塾でもどうすることも出来ない場合も多いです。こんなことを書いている私が常時監視して子供を指導している私の塾でさえ、だれもかれも更生させられるわけではありません。進学校の生徒でも、まったく意識を変えることができない場合も何割かはあります。

「塾との相性」という方も多いです。もちろん人間には根本的に合う合わないがあるので否定はしません。でも、長い指導歴を持つ私が、子供の個性を考えて個別にアプローチして改善がない場合、相性の問題というより子供の性根の問題が大きいと私は思っています。どの塾に変わろうと無理です。

学校も悪い

学校側を見ても「ウチの学校では真ん中でせいぜい関関同立だから、神戸大学に行きたい生徒はクラブなど止めて必死に頑張れ!」なんて言う進学校は聞いたことはありません。だから、自分とはデキが違う勉強しなくても良い成績を残す上位の子供が叩き出す進学実績を見て「私も優秀な進学校の一因。イザとなれば頑張って・・」と思っているのです。

だから、こういう生徒に「キミは進学校に通っているけれど、学校の言うことを聞いて宿題を今の調子でやっているだけでは無理。」と学校の進学実績を突き付けて「真ん中くらいの成績で神戸大に行けるわけがないだろう。」と言って子供は馬耳東風です。

大学入試までのスケジュール、やらなければいけない学習などを具体的に問題集を積み上げて説明しても聞く耳を持ちません。中には「学校ではそんなことは言われていない」と食って掛かる子供もいます。そりゃあ、天下の進学校様と小さな塾のオッサンとでは進学校の言うことを聞くのが道理です。でも、それでうまく行っていないから塾に駆け込んできているんと違うんか?

学校と生徒の両面から落ちこぼれ関関同立に行けない

こういう状況で、大抵の進学校の生徒は中学で高校の学習につまずき、高校に入って手遅れになってから塾に駆け込んできます。そして、マトモな意識がある生徒なら、落ちこぼれ始めた時に対策を打っているはずです。関関同立にも行けないような生徒は、手遅れの状態になってから駆け込んできます。そういう認識だから、落ちこぼれてもまだ「クラブ活動も!」と言ってきます。

自分より優秀な人間に追いつき追い越すには今までの倍の努力をするなんて考えはなく、塾で少し教えてもらえれば解決がつくと思っているのです。教えてもらったことを自分で噛み砕いて消化して、そして自分でチャレンジするなんて教えても、何の効果もありません。進学校のプライドから「私がいざとなれば・・」という思い上がりが強く、いくら「このままでは関関同立も無理」と言ってもこういう親子は現実問題として聞く耳を持たないです。

以上から、学校の学習進度の問題、学校が臭い物には蓋をして現状を伝えない問題、個人の性格・考え方の問題が、中高一貫校に進んで4年以上も高校の学習をして半数が関関同立にも行けない根底にはあると思ってます。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。