公立中学の調査書とは? 実際の兵庫県教育委員会の資料で説明します/兵庫県知事選と同じでネットが闇を照らした
公立中学の調査書の闇
ひと昔前までは、「1,2年生の成績も調査書につく」とか「3年生の3学期の成績も調査書につく」など親の間ではまことしやかな噂が流れていました。しかも、実際にこういって生徒を脅す学校の先生も多くいました。もちろん、言うことの聞かない生徒にこういって脅すのは、私としても分からないわけではありません。
特に問題だったのは、「クラブ活動も調査書に書かれるから、合字判定に大きな影響を及ぼす。」というものです。この噂によって、いやなクラブ活動でも、あるいは活動が盛んで学習に悪影響を明らかに及ぼしている一部のクラブも生徒は辞められず、親も活動の改善を求めたり活動を辞めさせることを学校には言っていけませんでした。
ところが、このことはネットがで十分に調べられます。兵庫県の教育委員会がネットで公表してくれているからです。それに、教師の不足もクラブ活動改善に一役買って、今ではクラブ活動で学習ができない、なんてことは無くなりました。
調査書の闇の改善
今年度も、この内容は兵庫県教育委員会のホームページの「令 和 7 年 度 兵庫県公立高等学校入学者選抜要綱 兵 庫 県 教 育 委 員 会(リンク付き)」に乗っています。このような資料はネットが発展し、役所も積極的に情報開示する以前は私たち見ることができませんでした。学校の先生経由でしか知ることはできませんでした。だから、悪く言えば、学校にいいように操られることもあったわけです。
この要綱では、合格判定について明瞭に書かれています。
(合否の判定)
4210
単独選抜を行う高等学校の合否判定委員会は、第4212項により、その高等学校の合否
を判定する。
4211 単独選抜を行う高等学校は、判定資料(A)、(B)、(C)をもとに、次の(1)~(5)のと
おり合否判定を行う。
判定資料(A)・・・調査書の各教科の学習の記録の第3学年の、「国語」、「社会」、「数
学」、「理科」、「外国語」の5教科の評定の和を4倍した値と、「音楽」、
「美術」、「保健体育」、「技術・家庭」の4教科の評定の和を7.5倍し
た値との総和(総配点250点)による資料(別表1の評定換算表参照)
判定資料(B)・・・調査書の各教科の学習の記録以外の諸記録を総合した資料
判定資料(C)・・・学力検査(各教科100点、総配点500点)の結果を県教育委員会の定
めた方法によって採点し、それを0.5倍した資料
(1) 判定資料(A)と(C)とを同等に取り扱い、合否を判定する。その際、判定資料
(B)は参考として用い、総合判定となるよう留意する。ただし、過年度卒業者につい
ては、判定資料(C)を重視して合否の判定を行う。
次に、この(A)(B)が載っている「調査書」という公立校の親子の心配の種についてです。この様式も教育委員会は公表しています「令 和 7 年 度 兵庫県公立高等学校入学者選抜要綱 〔 様 式 集 〕兵 庫 県 教 育 委 員 会(リンク付き)」
合格判定について考えましょう
まず、どなたもが気にする成績についてです。
判定資料(A)・・・調査書の各教科の学習の記録の第3学年の、「国語」、「社会」、「数
学」、「理科」、「外国語」の5教科の評定の和を4倍した値と、「音楽」、
「美術」、「保健体育」、「技術・家庭」の4教科の評定の和を7.5倍し
た値との総和(総配点250点)による資料(別表1の評定換算表参照)
とあるように、3年の成績のみが合否判定には使われます。この3年の成績に関しても規定されていて、
3006 各教科の学習の記録については、次のとおりとする。
(1) 第1、第2学年の評定は、生徒指導要録に基づき、5~1の5段階とする。
(2) 第3学年の評定は、令和7年1月以降において、第1、第2学期の成績を十分参考に
して行う。この場合、生徒全員について、教科ごとに、5段階とする。
となっています。ですから、3学期の成績はつきません。
これは私が教育委員会に直接電話をかけて聞きましたが、「第1、第2学期の成績を十分参考に」というのは2学期の末の進路指導の忙しい時期に調査書など付けるのが嫌だからと夏休などに1学期の成績だけでつけないように規定したもので、3学期の成績は時期的に入れられない、というものでした。
クラブ活動等についてです
判定資料(B)・・・調査書の各教科の学習の記録以外の諸記録を総合した資料とは、この各学年の学習の記録以外の欄です。ここにクラブ活動や生徒会活動など様々なことがかかっれるわけです。
参考事項の欄には、
(8)「参考事項」の欄には、上記(3)~(7)に関することのほか、次の事項等で該当するもの
について記入する。
ア 中学校生徒指導要録の「各教科の学習の記録」に照らして、「観点別学習状況」
の評価等における顕著な事項
イ 成績の変動の特に著しい者についての特記事項
ウ 特に優れている教科についての特記事項
が記載されます。(3)~(7)は転入等の事務的な事項などで割愛します。ですから、普通の生徒が特段考慮することもありません。特に「こいつは反抗的で指導に困る」など書きこむものではありません。
特別活動の記録等の欄には、
3008 特別活動の記録等については、次のとおりとする。
(1) 生徒会・学級会の委員経験、学級活動・生徒会活動・学校行事等特別活動、部活動、
学校外における活動の成果、ボランティア活動等のうち顕著なものがあれば記入する。
(2) 第4119項(3)の事項に関して、中学校が「特別活動、部活動等に関する特別取扱い」
を希望する場合は、その活動の記録、成績、意欲等について具体的に朱書する。
(3) その他調査書の各項目に関して特に参考となることがあれば記入する。
が書き込まれますのが、一番重要なことは以下の通りで、
(1) 判定資料(A)と(C)とを同等に取り扱い、合否を判定する。その際、判定資料
(B)は参考として用い、総合判定となるよう留意する。
これらの欄の記載は得点化され合否判定には実質影響しないということです。現在は入試得点の情報開示も出来ますので、合格点がありながら不合格になると「何で?」ということになり、「この教師の主観的な心証の性で不合格になったんか?」ということになるからです。
昔、札付きの不良が合格点を取った東京の公立高校で、この不良の入学を阻止する手段がなく「他の生徒を守るため」と校長が得点をいじって不合格にしたことがばれて免職になりました。神奈川でも、こういう生徒を入れないようにして「合格点があるのに、主観で不合格にした。」と騒動になりました。まともな生徒を守るためでも諸記録を参考にして不合格になどできないんです「都立高が入試の点数改ざん 受験生2人を不合格に(ID:1105028)5ページ – インターエデュ (inter-edu.com)」。これはネット掲示板のページで信頼性は低いですが、私の記憶とも合致します。一応新聞社塔の情報元も記載されています。その情報元を調べましたが、もう既に出てこないんですよ。
ということで、情報開示される入試は入社試験とは違うんです。特別活動の記録等も出席日数も合否判定に関しては得点化されず、得点化されずに主観的に判断しないといけない事項は合否に影響はないのです。
ところがここでややこしい「特別活動、部活動等に関する特別取扱い」という話が追加されます。
特別活動枠の加点
(5) 募集要項に「特別活動、部活動等に関する特別取扱い」を明示した高等学校が、これ
を行う場合の判定資料(A)、(C)の取扱いは、当該高等学校の合否判定の境界線に当
たる点数からこの点数の10%に当たる点数を減じた点数を合格の下限として、特別に合
否の判定を行う。
について考えてみましょう。
では、募集要項に「特別活動、部活動等に関する特別取扱い」を明示した高等学校とはどこがあるのでしょう?
これも兵庫県教育委員会のホームページで明示されています「令和7年度兵庫県公立高等学校入学者選抜における「特別活動、部活動等に関する特別取扱い」について(リンク付き)」。
ご覧の通り、芦屋や神戸市内から普通科の高校に進みたい生徒にはまず関係がありません。
それに、この方式を利用して合格する生徒は「顕著な内容がある」毎年30人弱です。クラブ活動で「キャプテンで頑張ってました」ということではなく、「高校に入ってもインターハイなどで高校の名前をとどろかせてくれるか」というスポーツ推薦に近いような内容です。
ややこしい複数志願制についての規定
簡単です。お読みになればわかります。
(3) 第1志望加算点は、学区ごとにそれぞれ次のとおりとする。
ア 第1学区 25点
イ 第2学区 20点
ウ 第3学区 25点
エ 第4学区 30点
オ 第5学区 30点
(4) 次の方法により、合格者を決定する。
ア 第1志望は第1志望加算点を加点した点数をもとに、第2志望は素点をもとに、各
高等学校ごとに得点の上位の者から順に合格者を決定することを基本とする。
イ 第2志望を志願し、第1志望での合格が決定した受検者については、第2志望の合
否判定から除外する。