薬学部の凋落、下位大学では定員割れで閉鎖も/同じ資格なら看護学科?
昨日のニュース
「薬剤師人材の流出懸念 福島県いわき市の医療創生大、薬学部の募集停止 2026年度から学部再編」と言う記事が載りました。
以前は薬学部は医学科に次ぐ偏差値の高い学部で非常に人気がありました。特に理系に進みたいが、ガチガチの工学部系統を敬遠する傾向が高い女子には人気がありました。そのため多くの私立大学は薬学部を新設しました。この時期に薬剤師資格を取るためには大学院への進学は必要だと制度変更がなされました。
それから、毎年多量に輩出される薬剤師の就職先となったのが、ドラッグストアそしてそれに続いて調剤薬局です。薬学部でも製薬会社の研究所などへ就職が決まるのはごく一部のトップ層の国立大学でしかありません。私立の新設の薬学部など大学院まで出て薬剤師の資格も取っても結局はサービス産業に従事せざるを得ない、ということが店頭で我々の目の前に開示されるようになっていったのです。
その結果、当然皆さん同じことを思うようになったのです。私立大学の大学院まで高い授業料を払ってこの就職先は何だということです。これが薬学部の人気の凋落の原因です。
マスメディアのウソ
薬剤師は都市部では余っていますが、地方ではまだ不足しているとも言われています。これはどの業種も同じで、仕事をするのなら都会で働きたいという若者の一般的な欲求の結果です。過剰な都心より不足している地方の生活が魅力的に思えるのならこんなことにはなっていません。それに、大手の調剤薬局やドラッグストアに就職でもしたらどこで働くかは分かりません。
だから、地方の私立大学の小さな薬学科が一つ閉鎖されたぐらいで、地方の薬剤師の流出などとはとても言えたものではありません。この大学出身の薬剤師のどれだけがこの地方に留まると言うのでしょう。それを言うのなら、医学科でも同じ現象が起きていて地方では医者不足で取り合いをしているではないですか。地方大学の医学科の卒業生がその大学の医局に残るのなら、こんな体たらくにはなりません。
同じ資格なら看護学科
今女子の中で人気なのは看護学科です。資格としては看護師資格の方が、就職で圧倒的に強いからです。そして、人手不足もより明確です。だから、最近は看護学科の新設が目立っていました。
看護士は、昔は看護学校卒業の資格しかなく、医者にアゴで使われるだけで偏差値の高い学生が進む職業ではありませんでした。ところが、今は大学病院の看護学校は医学部に組み入れられ、4年制大学も続々と看護学科を新設して、偏差値は急上昇して人気になっています。
病院の中で働く専門家とドラッグストアの店長の職業の差を高校生も親も明確に区別している結果だと思います。それに、出産や育児、あるいは夫の転勤で職場を離れても変わっても、必ず元の条件で就職先があります。女性の持つ資格としては、医師の次に最強です。
ところが、看護師は厳しい仕事です。3Kと言ってもいい。それにまだ女性の職場で、職場の人間関係も難しい。だから人手不足にもかかわらず離職率が高い向き不向きのある仕事です。この離職率という点は薬剤師より劣っている点です。
だから、看護学科と言うのは難しい選択です。「堅い職業」だけで選べるものでもないでしょう。
かといって、大阪大学の薬学部なら話は別ですが、その辺の私立の薬学部など進んでも仕方がない。
そいうことで、ソフトな理系は情報に集まる
そいうことで、手に職を持ちたいがガチガチの理系は嫌だと言う層は、医学科に行けないとなると、後は情報系に進むしかないということになるわけです。
情報は今は花形ですが、それでも数Ⅲも入試にないレベルの大学の情報学部だと、学生が思い描いているような就職はないとは思います。大学は「こいつら数Ⅲまで無理。」と受験生を判断しているのです。それだけの能力と頑張りの連中を大学が締めあげて一人前にしますか?受験でもこんな体たらくなのに大学でするわけはない。それで競争も厳しいIT業界の華々しい企業なんてありません!