クラブ活動の良い例と悪い例/高校生のクラブ活動選択は慎重に
活動の実態も知らずに飛びつくと、足抜けは難しいから辞められずに、進学に多大な影響を及ぼします。少し様子を見てから参加するのが賢いですね!
推薦入学にクラブ活動を利用した高校生
かなり昔ですが、近所の中堅高校にやっと入学した生徒が塾にいました。その高校からは上位1割程度にいないと関西学院大学には薦めません。2~3割で甲南大学が精一杯です。彼には少し優秀な兄がいて、その兄は同じ高校の出身で甲南大学に進学しました。
その高校で上位だった兄とその生徒は明らかに学力は違い、兄からは相手にされず、自分でも兄のように上位の成績を取って甲南大学に進むなど不可能だと思っていました。
そこで彼はクラブ活動を利用して自己推薦で大学に進むことに専念したのです。運動もそれほど得意ではありませんでしたが、勉強よりマシだと彼は判断したのです。でもその判断の裏には深い思慮がありました。
好きで選んだクラブ活動ではない
彼はサッカーや野球など人気があり才能が集まるクラブ活動など選びませんでした。競技人口が少なく才能も集まらず、それほど運動能力が高くなくても勝てるスポーツ、小中高生がら始めず高校生になってから参加してもハンデがないスポーツを選んだのです。
それはカヌーです。その高校には珍しいカヌー部があったのです。カヌーは競技人口が少なく、人気もありません。彼はカヌーなら全国的成績を上げてスポーツ推薦や自己推薦を勝ち取れるのではないかと注目したのです。好きだから、人気があるからと選んだわけではありませんでした。
そこで彼は勉強する間を惜しんで、休み時間でも毎日毎日懸垂や腕立て伏せいに励みました。カヌー競技には一番必要な筋力を鍛え上げました。
もちろんミドリゼミも辞めました。彼の学力を見ていると、どう頑張っても甲南大学は難しいと私も思っていました。それ以下の大学なら偏差値は崩壊しています。勉強をそれほどしなくても入れます。だから一発博打を打った彼の姿勢を認めるものはありました。
その結果、彼は学習に賭けたなら不可能だった関西学院大学を勝ち取った
そそて、彼は見事国体で好成績を上げました。、「兵庫県でも数十人の高校生しかやっていない。真面目にやっているのはほんの数人。カヌーでいい成績を取るのは自分の(中堅)高校でいい成績を取るより簡単。」と彼は言ってのけました。
そして、彼は自己推薦で関西学院に合格しました。彼は国体で入賞した後、小論文の学習だけは熱心に行なっていたのです。
私は彼の知略と努力を褒めたたえました。彼が関西学院学に合格したと聞いた兄は愕然としたそうです。
同じ高校でもクラブに取り込まれて悲惨な結果になった高校生
カヌーの男の子より最近お話です。今度も男の子なのですが、この生徒はミドリゼミで成績を上げて余裕で同じ中堅高校に入りました。ミドリゼミで成績を上げて合格できたため、塾を信頼して高校になってからも通ってくれていました。
私は彼に、「甲南大学には努力すれば合格できるだろう。そのためには、学習に悪影響を及ぼすほど活動が盛んなクラブ活動は止めておいた方がいい。英語と古文の予習を何よりも大切にしよう。」と高校入学時から繰り返し言っていました。そして彼はその言葉通り順調に努力を進めようとしていました。
ところが、夏前にクラブにまだ入っていない彼に目をつけた友達に勧誘されて、「見学だけでも来てくれ。」と言われて水泳部に連れていかれました。そこで友人や先輩たちに「個人競技だから、練習は自由に調整できる。塾に合わせてクラブ活動できる。それに、クラブが盛んなのはプールが使用可能な夏場だけだから。」などと丸め込まれ、「水泳部なら塾の勉強の邪魔にならない。」と私に宣言して入部しました。
ところが、その後1週間経つか経たないかで、「クラブが楽しくて仕方がない。塾を辞めます。」と言って来ました。クラブ活動で少しは学習に支障をきたすかも知れないと心配していた私は、そのあまりの急変ぶりに驚きました。
私は「恐れていた通りじゃないか! そんな奴らに騙されて、取り込まれて、2年間放課後2時間のクラブを楽しむ代償にFラン大学に進み、ロクな就職もなく、その後の60年の人生を棒に振るつもりか?」と彼に怒りました。すると彼は「そうです。今が楽しければそれでいいです。」と言い切り塾を辞めました。
その後、彼は私の予想通りFラン大学に進みました。大学入学後は私は知りません・・・これが私の知る最悪の展開です。