中学で英検2級を取ると却って高校で英語の学力が落ちる・・・場合が多い

英検が流行っている背景

最近では、大学入試の特別推薦枠(AO入試)で英検の2級が受験資格だったり、高校入試では大阪府などで英検の2級を持っていたら80点くれるなんて、英検利用の入試が一般化してきています。

こういう状況に伴い、英検を取ることが一層盛んになってきているように感じます。塾でも「今週が英検の検定前なんで、受験勉強や学校の勉強を放り出して英検の勉強します」と英検の問題集に噛りつく生徒がとてもおおいです。

ところが、この最初に挙げた例、おかしいとは思いませんか?大学入試と高校入試が同じ英検2級が入学にほぼほぼ必要になってきているなんておかしいでしょう?

そして、この「おかしい」ことが中学生で英検2級を持っている生徒の英語の学力が「それほどでも」と言う状況を作っています。それ以上に、英検対策の間違えた学習が身に着き、さらに合格という思い上がりから、高校で英語の学習を疎かにして大学受験に通用する学力しか身に着かない生徒が増えています。

英検2級とはどういう学力なのか?

まず、英検2級とはどういう学力なのかについて説明しましょう。英検2級は高校の教科書が辞書なしでほぼ読めるレベル、高校の文法の教科書がほぼ分かっているレベルでないと取れません。だから関関同立以上の大学に合格する生徒は高校2年生の半ばから後半で英検2級を取れます。

こういう生徒はこの学力の上に受験用の長文読解の問題集などを読んでいきます。

だから、高校の基礎学習が分かっていない中学生に英検2級は無理なのです。

中学と高校の英語の違い

では中学と高校の英語の違いとは何なのでしょう?その差が分かりにくいことに、「中学生で英検2級を取らせよう」という学習が流行っている原因があります。

英語は数学のように中学と高校での学習内容が全く違い、中学生が高校の問題を解くなど不可能だというような中高の差はありません。英語の基本文法は中学で学習し終えますし、問題集に載っている英文は、少し長くて語彙が豊富なだけで同じように見えます。この中学と高校の英語の違いは基本文法の差にあるのではなく、その基本文法がどう複雑に用いられているかということにあります。まあ極端に言えば、中学校の教科書に書かれている簡潔な文と三島由紀夫の文の違いです。

この複雑な文章の構成に対する耐性を三年間かかって築き上げるのが高校の学習です。

それでは、なぜ中学生が英検2級を取れるのか?

ではその複雑な文章への耐性がない中学生がなぜ英検2級を取れるのでしょう?

その理由は英検の長文などが非常に簡潔で簡単で中学の教科書と大差ないのだからです。中学の教科書との大きな違いは語彙量の差ぐらいしかありません。だから英検2級を中学生に取らせようとする学習塾などは、長文を読ませる訓練よりも単語をおぼえさせる自己学習を徹底します。それで英検2級には合格できるからです。

中学で英検2級を取ることと高校で英検2級を取る意味の差

最初に書いたようにこの英検2級というのは、高校の英語を学習をほぼほぼ理解してる高校生が取れるレベルです。無理やり中学校で英検2級を取らない生徒は、高校でそれなりの文法それなりの単語それなりの長文読解力を総合的にあげながら英検の2級に到達します。

だから高校生で自然と学力が上がって英検2級を取る高校生と、中学校で単語を丸暗記して無理やり英検2級を取った中学生では、英語力はまるっきり違います。

英検2級を取ると大学入試問題は読めるのか?

英検2級を取った中学生が高校に入り、高校の模試の英語で高い得点を取れるのかというとそういうことは全くありません。このことは英単語さえ覚えれば合格できる英検2級と文法や長文読解力なども含めて総合的な学力が必要な高校の学習の差から生れます。簡単に言うと、英検2級を持っていても、模試に出てくるような高校の教科書よりも少し難しい文章には対応できないということです。

これは大学入試になるともっと顕著になります。高校で英検2級を取ったそれなりの英語力の高校生でさえ、関関同立クラスの入試問題を読むには英検2級取得後にかなりの努力を必要とします。英検の2級の問題よりもはるかに難しい文章を読み続けなければいけません。英検2級では簡単な文章さえ読めれば取得できるのだから当然のことです。

中学2年生で英検2級を取る問題点=慢心

中学で英検2級を取る生徒の問題点は、文法力に頼らずに単語を適当に並べて長文を読解して英検を取得できた成功体験にあります。

中学生で2級を取ると、並の高校1年生以上の単語力があり、まだ教科書の文章がそれほど難しくない高校1年生では楽勝で教科書読むことができます。知っている英単語の意味を並べるだけで読めるからです。「こんなもの英検2級の学習と一緒じゃないか!」となって慢心する生徒が非常に多いのです。

一方で、高校の文章は徐々に複雑化して、単語を適当に並べるだけでは読めなくなっていきます。す。高校2年生の半ばを過ぎると、高校の教科書より難しい模試の長文など読めなくなってきます。最初は得意だった英語の偏差値も上がらずに、大学の判定結果は酷いものになります。

ここで、「ヤバイ!」となるのですが、もうはや手遅れと言う状況に陥ります。

それは受験英語ができないだけで、中学で英検2級を取る子供なら英語力はあるんじゃないのというお母さんへ

それではお子さんに、子供用の英語記事でも英語の小説でもなんでもいいです。読めるかどうか私ください。断言しますよ。読めません。オンラインの英会話でもやらせてみて下さい、外国人相手に一言も言葉を発することができないはずです。

単語を少し覚えて取れる英検の2級の英語力などこの程度のものです。英検のホームページに書いてある英検2級から海外留学で「社会的な話題について、文章や話の展開を把握しながら概要や要点、詳細を理解し、情報や自身の考えを展開を考えながら詳細に伝えることができる。

など大嘘です。

今や大学受験は従来の受験英語から脱却して実用本位の英語に変わりつつあります。簡単に言うと普通のアーティクルや記事が大学入試に出題されます。だから、英語の小説も読めないような英検取得だけの子供が出来なくて当然なんです。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。