国公立大学〇〇人!という進学実績のウソ?疑問?

とある新聞記事の誇張記事

とある新聞の記事で、「最近進学実績が凄い、国公立大学70人!」というのがありました。学校名の特定になるので新聞社名は書きませんし、合格者数はやや変えていますが、ほぼこういう記事(おそらく記事を装った宣伝)です。

この記事だけを見ると、「最近大学進学に力を入れている素晴らしい学校」というように、この新聞記事の論調通りになります。ところが、多くのこういう記事にあるように、この記事には大切なファクトが書かれていません。そのファクトを加えて考えるとどうなるでしょう?

この記事を元に、こういう進学実績の宣伝について言及して行こうと思います。なぜ学校名を明かさないのかというと、明らかにおかしい点を指摘するような攻撃的なブログになるからです。

この記事の裏にあるファクト

まず、この中高一貫校の生徒数は1学年450人です。おそらく12クラス以上あるマンモス校です。それで70人という数字は2割にも満たない数で、進学校として宣伝できるのかは微妙なラインです。

そして、この中で大阪公立大学や京都府立大学、京都工芸繊維大学レベル以上の関関同立以上の国公立大学への進学者はほぼ20人です。私たち関西人が「国立大学!」と言われてイメージする大学には450人中20人しか進んでいないことになります。4~5%です。中堅高校の進学実績と大して変わらないと思います。宣伝ほどの実績ではありません。

残りの50人は地方国立大学や県立大学などの関関同立より下位に位置する国公立大学です。そして関西からわざわざ進学することなど考えられない遠方の地方の国立大学や公立大学に1名ずつの進学している生徒も多い。これは学校推薦で進学した生徒だと思います。おそらく、レベル的には関関同立を受けても通りにくいレベルの生徒が「学校推薦があるから国立大学を受けてみろ」という学校からの指導で、「推薦で受かれば確実だし。一応国立大学だし。ダメもとで受けるか」ということで受験するのだろうと思います。本人は早い目に合格を確定できるし、学校は「国公立大学〇〇人」という宣伝に利用できるのでウィンウィンなのでしょう。

この裏事情は私立だけではない。公立高校でもある

私は関関同立より簡単な国公立大学の進学者数を使って「国公立大学〇〇人!」と学校の進学実績に利用するのはどうかと思います。けれど、この学校推薦を使って地方大学で国立大学の合格者数をかさ上げする宣伝手法は、進学実績が学校運営に影響する私立だけではなく、公立高校でも最近利用されています。国公立大学〇〇人と学校紹介に書いてあって、「この高校からそんな行くはずがない」と思って調べてみると、地方の国公立大学に1名ずつ進学している場合があります。まあ、どことは言いませんが・・・

この公立高校の国公立大学合格者数はある年を境に急増したりします。校長などが変わって、進路指導方法が変わるからかなと思ったりしています。

私の推測を裏付ける関関同立の合格者数

大阪公立大学以上の国公立大学に70人も進むのなら、関関同立の各大学には100~200名ずつの合格者数が出ます。もちろん阪神間なら関学が200で同志社が100というような数になります。でも、合計600名ほどの生徒が関関同立に合格するわけではありません。関関同立志望者は平均して6つぐらいの学部を受験します。同大学で経営と経済のように受験日が違う学部を受けるときもありますし、立命と同志社の経済というように受験日の違う大学の同学科の時もあります。もちろんその組み合わせもあります。

そして、ボーダーにある生徒は3つくらい受かり、余裕のある生徒は4つ5つと受かってきます。だから、実質は150名程度の合格者しかいません。

ところが、この高校では関関同立の関関同に20名ずつ、立命だけには80名ほど受かっています。ただ立命には指定校推薦の大きな枠のようなものがなかったので、地域がら同志社より簡単な立命で複数学部受けた生徒が多かったのだろうと推測されます。だから、関関同立の合格者数は30名、多くても40名ほどしかいないはずです。このレベルですから指定校推薦もそう多くないと思います。関関同立全体で5名もあればいいのではないでしょうか。

これは関関同立より上位の国公立大学の合格者数が20名ほどという推測と極めて都合よく一致する数です。

この学校の大学進学の内情

おそらく450人中50~70番にいないと関関同立以上は難しいという推測が成り立ちます。上位15%です。

これは国公立大学70人というイメージとかけ離れたものです。一つは上に書いたような実際の上位合格者数、そして二番目は一般の私立高校の倍近い生徒数=公立の1.5倍の生徒数を考えると、その国公立大学の合格者数の比率はより一層少ないのです。

こういう学校では、上位の国公立大学に合格できる学力を持つ生徒が少ないだけではなく、その下の関関同立の合格者層も薄く、結局その下の産近甲龍あたりから合格者が増えだし、大学名は記載していない「その他私立」が最も多くなります。国公立大学70人というイメージからかけ離れ、実際は上位2割でも関関同立もムリだということになっています。

少なくても中学や高校受験ではこの辺りまで考えて、自分の子供はどのくらいの順位で合格するのか検討しないといけないと思います。中上位で合格する生徒が入学後に頑張って上位に上って国公立大学はあり得るかも知れませんが、中下位の生徒が上位の厚い層を突き破って国公立や関関同立というのは、私の経験上とても少ない、というかほぼないと思います。

本当に正直な学校とは?

合格者数だけではなく、各大学の進学者数を書いてくれている学校です。この進学者数が「のべ」ではない実際の合格者数です。これを見ると「だいたい何位ならどこの大学」ということが誰にでも分かります。

けれど、本当のことを書いている学校は少ない。学校だからウソはつきません。合格者数は正確でしょう。でも、その情報には有利な誤解を生むためにわざと肝心なことが書かれていません。

今高校生は情報やデータの整理など、私たちにはなかった科目まで履修して大学受験しなければなりません。標準偏差やコンピューターの原理など、「エクセル使えたらエエやん」という99%の人間には不必要なものばかりです。一方で、このように、もともとのデータが製作者の都合で誤魔化されている、あるいは偏向されているから、いくら情報科学を学習して手計算で偏差や分布を出しても正しい知見は得られないという情報科学で一番大切な真理は誰からも教わりません。

ホームページはコチラ

芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。