高校無料化で私立が人気です/でも本当に私立と公立に差があるんでしょうか?/早生まれの子供には公立で浪人をお勧めします

高校無償化を一足先に始めた大阪に引き続き、京都でも公立高校の定員割れが起こるそうです「京都府の公立高校で「定員割れ」が加速 中3の進路志望で「1倍」切った校数は」。でも、皆さん私立高校に高校受験で進むメリットをキチンとわかってらっしゃるんでしょうか?

私には「校舎がキレイ」「制服がカワイイ」程度の差(高校生には重要!)以外はないように思えます。

私立と公立の格差とは?

①私立と公立に大きな授業格差はない

私の経験から、私立と公立で大きな授業格差はありません。学校のレベル間でも神戸高校と、ほぼ同レベルの進学実績を持つ六甲や海星レベルの私立では大差はありません。「私立の進学校だから教えてもらえる特別なこと」はありません「経済格差は学力格差というウソ/中学受験に乗せられる親たち」。

学校組織は、企業のように教育制度があり、授業員の質の底上げや均一化、意識の共有を図る制度は弱い。授業の質も進路指導の丁寧さも教師個人の資質によります。そして、私立が給料を上げてそういう教師を公立から引き抜いている場合もあるが、それほど多くはない。だからメリットは少ない。

②中高一貫の進学私立と公立の大きな差は早い授業進度、一方これは落ちこぼれ原因になる

いわゆる進学校と呼ばれる上位の中高一貫の私立では、公立校より授業進度は早いです。多くの進学校では数学は1年ほど速いだけで、英語や国語、社会に関してはそれほど大きな差はありません。ただ、最上位の特別な進学校だけは、中学2年生の最初から高校の数学の授業が始まり、中学1年生から高校の古文の文法などが始まる場合もあります。

これは落ちこぼれる可能性もとても大きいことを意味します。なぜなら、キチンと中学レベルの基礎を教えてから高校の範囲にはいるのではないからです。中学3年分の数学を1~2年間で教える、数学の中学のy=ax2という二次関数もじっくりと学習していない生徒にy=a(x-b)2+cで-1≦X≦2で最大値と最小値を答えよなど教えるのです。

公立中学の生徒は3年間かけてじっくりと中学の学習をして、その上高校受験の学習で追い込みをかけています。それでもこのy=a(x-b)2+cの方の問題は神戸高校でも半分近くの生徒がつまずき、「もう私立の文系しか無理やで」と私に言わせるのです。そりゃあ、中高一貫私立の方が落ちこぼれが多く出ます。公立で普通に学習をしていたら十分にいい大学に行けた優秀な生徒の多くの生徒が落ちこぼれるのは明確です。

それにいわゆる私立の超進学校では、研究者崩れの教師が中学の理科も教えずに高校の物理の公式を唐突に教えたり、中学の歴史も教わっていない子供に「ノルマン朝が・・」とやり出して生徒が混乱していることも多く、百害あって一利なしの教師を野放しにしている。生徒が優秀だから何とかしているが、その生徒の嘆きと努力を塾で見ている私であれば放置は悪だとしか思えない。超進学校で特に歴史がある場合、その看板の上に胡坐をかいている学校は多い「中高一貫校は中学から4年以上高校の学習をする。それでも、関関同立にも合格できない生徒がなぜ多いのか?」。

③高校から私立に入る場合メリットはない

①のように授業内容・②のような授業進度に関しては高校から私立の入る場合は公立高校と変わりはない。関関同立の付属でもない限りは指定校推薦の枠を私立だからと多く持っているわけでもありません。ただ、私立の方が進路指導など丁寧な傾向はありますが、中には公立以下の最低な学校も私は知っています。メリットは校舎が新しくきれい・女子の制服がかわいいことがある、ぐらいです。

では、それで大学進学実績は私立の方が上なのか?

①中学受験で私立に行く場合

①ー1:文系の場合、この私立の早い授業進度は意味がない=落ちこぼれやすいだけ中高一貫校は損

中高一貫私立の進学校では、数学と理科だけの授業進度が速いことが一般的です。古文も古語の文法は中学からやり始めますが、その他の科目は公立と大差はありません。

これには理由があります。公立の授業進度で数学や理科を教えると、高校3年生まで数Ⅲや理科を積み残すことになり、学校の授業が終わるとすぐに共通テストが目の前に迫っていて十分な受験の準備ができないからです。しかし、私立文系には数学は受験科目にありませんし、国立でも数ⅡBとCの一部だけです。理科も基礎までです。入試に必要な理数系科目も高校2年生で公立校でも授業が終わります。だから、受験までに1年間、十分に準備をする時間が公立でもあります。私立の早い授業は落ちこぼれを生む危険が増すだけで意味はありません「経済格差は学力格差の理系/でも文系志望なら公立も私立も関係ない」。

①ー2:理系なら意味がある

ところが理系では、数Ⅲが高校2年生で終わり高校3年生では受験の準備に専念できる私立の進学校は大きなアドバンテージがあります。中には理科では公立と大差ない授業進度で進む私立もありますが、一番学習に時間がかかる数学にアドバンテージがあることは大きなことです」「国立大学の理系には公立高校から現役では難しい?/中学受験は必須」。

特に共通テストがあり3年生で国語や社会の準備もしなければいけない国公立大学の理系志望者には、公立と比べて圧倒的に有利であると言っても過言ではないと思います。特に国公立の難関、医学科では公立高校の出身者はほとんどいなくなっています「「国公立大学医学科合格者は中高一貫私立ばかり」という新聞記事が出た/でもその理由までは書いていないので説明します」。

②高校から私立に行く場合公立と差はない。

①で書いたように、中学の3年分の学習を1~2年で終えられる生徒を集める優秀な中高一貫私立でも高校の学習は3年間かけます。高校の学習は難しく、優秀な生徒を集めて3年間かけても落ちこぼれる生徒が出ます。だから、神戸高校や長田高校だからと高校3年間の学習を2年間で終わらせて、1年間は中高一貫校と同じ大学受験対策をするというのはできないのです。

もちろん、高校から入る私立も同じです。私立と言っても中高一貫と高校から入る私立では、まったく有利さは違うのです。

オープンスクールでいい話ばかり聞かされ「やっぱ私立よネ!」「授業料も無償化だし」と言っている親は、宣伝を真に受けるバカ人がいい方なんでしょう。指定校推薦の枠も公立の同レベルとほぼ同じです。まあ、校舎は綺麗ですけどね。

でも浪人すれば関係ない/特に早生まれの子供にはその方がいい

特に早生まれの子供は、発育で絶対的に不利があります。遅生まれの子供に比べ理解力が低い。高校でも成績上位の子供は、遅生まれが多い。早生まれと遅生まれは、学歴に圧倒的な差を残し、将来の就職でさえ大きな較差がでることは、アメリカ、ヨーロッパ、日本、どの地域の研究でも明確です「早生まれの子供の選択:中学受験より浪人」。

だから、アメリカでは早生まれの子供は1年遅らせて小学校に入れるらしい(そういう制度があるのかどうかは知りませんが、一応ニュースによるとそうする親がいるそうです)「早生まれの子供は1年浪人して、やっと遅生まれの子供と対等な勝負ができる/中学受験なんて愚かすぎる/学年ではなく年齢で考えよう!

日本では3月31日に生まれた子供も、実質1歳年下の4月1日に生まれた子供も同学年で競争します。アメリカのように親の意思で早生まれの子供の入学年度を遅らせることは許されていません。

そうしたら、浪人するしかないじゃん!浪人して早生まれの子供はやっと遅生まれの現役生に生育が追い付いてイーブンで勝負できるのです。しかも浪人すれば上に書いた理系の学習進度の不利は公立高校出身でもなくなります。早生まれの幼い子供の尻を無理やり叩いて中学受験塾に入れて不利な環境下で落ちこぼれる可能性が高い私立中高一貫校に高い授業料を払うのなら、浪人用の予備校に取っておいた方がいいと思いますよ。

中学受験で親が汗をかいても、元の木阿弥が結構多い

中学受験しても有利ではない最大の理由は、子供本人の資質によります。上に書いた六甲や海星、白陵クラスでは真ん中少し上で関関同立がやっとです。下位なら産近甲龍ヤバいのです。この進学実績は神戸高校や長田高校、兵庫高校とほぼ同じで、市立西宮の方が上です。中学受験する値打ちはありますか? 関関同立くらいなら公立高校でクラブを楽しみながらでも十分に進めます「神戸大? 関関同立? 産近甲龍南? 偏差値を見なくても分かる判別法」。

なぜこんな体たらくになるのでしょう?

中学受験で親や塾の言うことを素直に聞き、一生懸命(盲目的に)頑張って進学校の私立中学に進んでも、中学2年生あたりからは思春期・反抗期に突入して親の言うことを聞かなくなり、その子供の生来の資質が丸出しになります。その年齢では、自分の成績や周囲の話を聞いて反省できる能力はまだありません。そうこうしていると中学3年生から高校の数学が入ってきて落ちこぼれます。高校1年になると数ⅠAが終わり落ちこぼれは決定的になっています。そして、思春期を卒業した高校2年生あたりで客観的に自分を見つめだしたときには数ⅡBも終わりかけていて「もうダメだ。手遅れだ。」となります。塾でも「今からなら英国を頑張って、3年から社会を始めて関関同立に死に物狂いで行け!」になります。

この本人の資質が、親がいくら一生懸命中学受験させて「公立と大差ない」最大の原因です。中学受験で怠けたがる子供の尻を叩いてやっと進学校に放り込んでも、どうせ中学の後半から親の抑えも効かなくなって、怠け者の本性全開になって「こんなことなら公立でよかった」となることが多い。頑張る友達を見て自分から「僕もやる」と言って塾に通い、親が放っておいても進学塾の上位クラスでソコソコの成績を取って進学校に余裕で受かる子供でないと中学受験など意味なし。無償化で高校から私立に行かせることは、この早い授業進度も生かせないので、それ以上に意味がない。「中高一貫校は中学から4年以上高校の学習をする。それでも、関関同立にも合格できない生徒がなぜ多いのか?」。

いや、成長すれば怠け者もしっかりするんじゃないの?決めつけるな!ってか?努力できる性格は生まれつきですよ。矯正は難しいというのが私の経験です。欧米の研究結果でもある「努力できる遺伝子/グローバル化・中流没落が生む選民思想」。

高校から私立に進む唯一のメリット/付属校に行け!

私立のメリットは、こういう怠け者の子供を、まだ大学受験より入るのが簡単な中学・高校受験で関関同立や産近甲龍の付属校に放り込むこと以外にない「中学受験塾、下位クラスの生徒/付属校に入れる以外道はなし」。これは無償化のメリットが大いにある。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。