高校受験の進学塾の最上位コースの中学3年生に感じた「哀れ」
体験授業に来た公立中学の秀才
公立中学でトップクラスの通学3年生が体験授業に来ました。今は最大手の高校受験の進学塾の最上位コースに通っていて、高校受験後すぐにミドリゼミに入塾させたいと、このようなブログを読んでいる親が引っ張てきたのです「神戸市の優秀な中学3年生の来年度からの予約/公立高校の入試が終わった翌日から来塾」。
そして、体験授業ではこの生徒がその進学塾で使っているテキストで学習をしてもらいました。さすがにその進学塾の並のコースのテキストとはまるで別物の応用問題満載の問題集です。
ところが、その問題集を一生懸命学習しているこの生徒を見て可哀想になったのです。
ライバルは1年先を行っている
というのも、この子供が受験するであろう公立のトップ校=上位3割で神戸大、真ん中少し上で関関同立と同じレベルの塾の中高一貫私立の生徒はもう数ⅠAも、高校の英文法も、古文・漢文の文法も終わりかけているからです。
このレベルの子供なら、中学の学習は楽勝で2年間で終わります。だから私立ではそうして、早くから高校の学習を始めます。高校の学習を早く終えて大学受験の準備期間を儲けるためです。一方で、この公立校の秀才は文科省と高校受験という足枷をはめられ、大学受験では役に立たない高校受験オンリーの難問問題集に四苦八苦している。
この子供が高校2年生になって数ⅡBの学習を始めるころには、ライバルは数ⅡBの学習を終わり受験勉強を始めます。この子が理系なら高3に入って数Ⅲや理科を学習しますが、そのころには中高一貫校のライバルは理系科目も終わっていて大学受験対策に専念します。
能力と努力が同じだとしたら勝負にならない「国立大学の理系には公立高校から現役では難しい?/中学受験は必須」。
私立の生徒がその能力と努力を大学受験に向けてまっしぐらに進んでいる時期に、公立の生徒は高校受験という余計な関門を突破することに能力と努力を浪費しないといけない。
同レベルの大学進学実績の中高一貫の私立より公立校の生徒の方が能力は上だと思う
有利な条件で大学入試を進める私立と不利な条件の公立高校であれば、同じような大学進学実績の学校なら公立高校の生徒の方が実際の能力は上だということに理屈ではなります。
だから、無駄な努力を高校受験で浪費して、能力が低い同級生以下の大学進学になりかねない進学塾の生徒を見て哀れになるのです。
でも、その努力が高校で生きるんじゃないですか?
いや、生きません。高校の学習は、特に数学などは中学校とは全く別のセクションです。範囲もアプローチも別物です。高校入試向けの方程式の文章題や関数と図形の複合問題など解けたところで、解けるように必死で受験勉強したところで、そこで得た難問対策ようの学力と努力はあまり役に立たないのです。
だから、こういう応用問題の解法を丸暗記で解く努力で最上位校に合格したとしても、解法やアプローチ方法が多岐にわたる高校の数学ではついていけなくなり落ちこぼれる生徒が最上位の公立高校でも多数出ます。
もし高校受験の努力が高校の学習に役に立っているとしたら、最上位の神戸高校やら長田高校で高校の数学を理解できて神戸大に進めるのは上位3割で、多くは数学を捨てて私立文系を選択して、真ん中少し上でも関関同立なんてことはないでしょう? 下位3割では英語と国語の基本問題だけなんとかやっと理解できて産近甲龍もヤバイという状況などなりえるはずがないでしょう?
とある大手塾が阪急の駅構内に「今の努力が高校でも生きる!」というデカい看板を出しているのを見て、目の前の高校受験でひとつでも上!しか頭にない親の子供を食い物にする酷いビジネスだと思いましたよ。
無駄な努力が合理的な努力に勝るハズなどない。それは大谷選手なんかのトレーニングを見ていても一目瞭然です。
おまけに、最近は現役志向で公立高校は圧倒的に不利
この傾向は、公立校では数Ⅲや理科を高校3年生まで持ち越す理系で顕著です。学校の授業が終わり、チャート式の復習も危うい状態で共通テストが迫ってくる。共通テストが終われば半月で私立大学、そのさらに半月後は国公立の二次があります。独特な共通テストへの対策も国立二次の難問対策もやる時間はありません。
中高一貫私立では遅くとも高2で理系科目も終わり1年以上の準備期間があります。十分対策できます。公立高校の生徒は浪人しないと追いつけない。
だから一昔前までは上位の公立高校の生徒の多くが浪人したのです。浪人すれば準備ができ志望大学に届くと分かっていたからです。しかし、現役志向の最近では浪人までする上昇意欲のある子供は少ない。その上、こういう中高一貫の私立の進学校が増えてきています。
だから、上位の国立大学の医学科など難関で理系では公立高校は圧倒的に不利です「国公立大学医学科合格者は中高一貫私立ばかり」という新聞記事が出た/でもその理由までは書いていないので説明します」。
特に国公立大学受験では公立高校は不利な状況が進展している
最近では、数学では二次曲線や情報系統の内容が増え、生物や化学では新しいバイオ関係の内容や無機化学などの内容が増えています。更に共通テストでは情報Ⅰや社会では公共や歴史探求などの内容が増え、数学などでは独特の問題形式が酷くなってます。
対策に以前より多くの時間を要します。受験生の負担は増大している状況で、準備期間が私立の中高一貫校より極端に少ない公立高校の生徒は余計に不利になっています。
目の前の高校受験に一喜一憂する親は愚かだと思う
次のランクの御影高校などに行っても、上位1割は神戸大学に進むのだから同じでしょう?それを目の前の高校入試で勝ちたいがために、学校の定期テストで5点でも上を取ろうとこの生徒のような努力をする。それで、めでたくトップ校に合格はしたものの、高校の学習のレベルと進度についていけずに落ちこぼれてしまう。
そんなことなら、中学時代に学習時間の3割でも高校の予習に当てて、一つ下の高校に余裕を持って行って、準備万端でトップ1割を取る方がよほど賢明です。周囲は自分より能力的に劣っている上に、自分は準備万端です。この選択の方がよほど賢いと思いませんか?
ミドリゼミではそういう学習も出来ます
もし公立中学の生徒が高校の数学や英語も予習したいというなら、中学の学習と並行して行いますよ。ただし、その能力があるここの例のような生徒だけですけれどもね。でも、そういう希望は今まで一つもありません。「ひとつでも上の高校を!」だけです。
親の視野が高校受験までなのだから、子供の視野が大学受験まで見据えているはずがないのです。


