中学の学習で優等生でも、高校の学習で落ちこぼれる生徒の学習
中学受験塾や高校受験塾で優秀な生徒
最上位の生徒はどんな教え方をしても優秀です。自分で理解し、問題点を把握し、それを解決してくれる。進学塾の進学実績は、どれほど素晴らしい授業をするのかではなく、こういう生徒を看板でかき集められることによる。もちろん高校に入っても有鬚です。
問題はこの下、神戸高校を真ん中くらい、御影高校を上位、あるいは六甲レベルの私立中学に真ん中くらいの成績で入る子供たちです。親は優秀だと思っているはずです。ところがこのレベルの生徒とその上の生徒には決定的な違いがあります。理解力の有無です。
分かっていないのは親だけで、プロである塾の方は重々承知しております。だから、進学塾では「理解」より「丸暗記」を進めます。ソコソコの生徒の学力を上げるには最も手っ取り早い方法だからです。それが進学塾の膨大な宿題でもあるのです。
でも、必死で丸暗記しても、理解力が必要なその上の甲陽やなどのレベルには決して届かない。神戸高校にも上位では合格できない。そんなことは塾側は重々承知です。ところが、親と子は分からずに「進学校に進めた」という自負を持つことになります。
丸暗記学習を続けて高校で落ちこぼれる
ところが、高校の学習は理解力が勝負です。一つのことを教えられても、そこから多くの類題が派生する。もちろんトップレベルの大学の入試問題となると他の分野と絡めて、さらに多くのパターンが生まれる。
その多くの派生パターンに丸暗記では対応できない。だから、必死で多くの問題をこなしても、全く歯が立たなくなってくる。
ところが、この丸暗記学習で進学校へ進んだ自負がある生徒は、その学習方法に固執し、私などがアドバイスしても学習方法を変えることは少ないです。というより、丸暗記が頭に染みついているので、自分で考えてポイントや題意を把握して学習内容を鳥瞰するというような思考回路ができないのです。
だから、学習方法を改善するにはとても時間がかかりますし、多くの生徒はそんなことをしている時間があれば目の前の解法を丸暗記することになります。
これで、高校2年生の1学期が終わるころになって、にっちもさっちもいかない状況に陥るわけです。こんなことになろうがなるまいが構わずに、目先の中学や高校への進学実績を上げるために丸暗記学習を強制した中学・高校受験と進学塾の結果とも言えるのです。
塾というのは目先の学校に入れて進学実績を叩き出すのが仕事で、大学受験までも考えて指導することはありません。「中学で必死に丸暗記しても意味がない。進学校なんか行ったら落ちこぼれるだけやで。高校はワンランク下に行って、高校で頑張り。」なんて変わったことを言うのは私の塾などの変わった塾だけです。
学習の問題が発覚した時には、時間切れ
そして、進学校に真ん中より下の成績で丸暗記で進んで、その丸暗記学習を続けて高校2年生になってにっちもさっちも行かなくなっていることに気づいても、勉強方法を改善して1年生の最初から復習し直すだけの時間的余裕はもうありません。
昔なら、「浪人覚悟」で最初からやり直す子もいたのですが、今は現役志向が強くそれだけの時間は取れないのです。それで時間切れになります。だから、無理な中学・高校受験は裏目に出る方が多いです。
私としては、丸暗記学習で志望より下の大学に進むくらいなら、一浪して志望大学に進む方が、残りの人生で悔いはないと思うんですけれどもねぇ。だって、神戸大学と関関同立では、就職など全く違うでしょう。