「塾で成績が上がらない」方に読んで欲しいこと
公立中学の通知簿のレベル
公立中学の期末テストが返ってきた・・・英語のテストでは毎回愕然とする。通知簿3~4では、あれ程何回も教科書の和文英訳をしたのに、穴埋め問題ほぼ全滅。文法問題もほぼ全滅。以前も書いた通りです「親が知らない公立中学通知簿3と4のレベルとは?/中学受験は必須」。
毎回説明している「こういう文法だから、こういう訳になって、こういう英文なっているんやで!」などすっぽ抜けて、とにかく教科書を丸暗記して英訳してしまい、翌日に忘れるから。だから何回も繰り返すのだが、底抜けバケツ。
文法問題も、「主語の人称、時制、助動詞、不定詞などよく確認して、『何をさせようとしている問題か』題意を考えて解け。」と毎日ほど言っていても、テストでは呆然と「こんな感じ」で解いて間違える。何度テストで痛い目にあっても分からない。普段の問題集も現在完了の範囲ならとにかく現在完了を書き込むだけの脳筋学習だから、どれだけ学習しても改善しない。
こういう生徒は大好きなクラブ活動で試合に負けて、「じゃあどうするの?」と聞いても「次は頑張る!」としか考えていない。「自分のどこが弱点なのか。どう練習すればいいのか。」「相手は何が強いのか?どう克服するのか?そもそもできるのか?」なんか考えられない。
英語だけが弱いわけではない。全教科でこれが起こる。そして、勉強だけが弱いだけではない。すべてが弱い。脳が機能しない。どう教えても成績が上がらない。教え方が悪いとか塾の相性の問題ではない。
親は通知簿や成績を誤解している
昔の通知簿3は、こういうことができる子供が多く、教えると成績が上がる子供が多かった。ところが今は違う。これが親世代との違い。そして親の勘違いが起こる。親は自分の体験から「勉強方法さえ分かれば」「真面目に頑張れば」と考えるからです。実際に塾にそう言ってくるお母さんはとても多い。
ところが、そのお母さんは今の通知簿3の評価基準が分かっておられない。今や、阪神間では優秀な子供を多く含む半数近くが私立中学に進んでいるんです。公立中学は残り半分にお母さんの時代とは異なる甘々の絶対評価で、上位20%強にずつに5と4がつけます。そして真ん中以下にほぼ3がつく。2などよほどでないとつかない。だから、阪神間の公立中学の通知簿3は親世代の2と考えてもいいと思います。塾に通わせても、多くの場合成績は上がらない。下の表を見ればその理由が分かります。
極端に言うと、右のIQの正規分布下半分について、左の表の絶対評価が行われているんです(この表は大阪府の教育委員会の資料です「令和4年中学3年生の目標に準拠した評価 大阪府」)。この絶対評価は芦屋では多少厳しいとは思いますが、どの市町村でもそれほど変わりません。ということは、通知簿3の下位では境界知能に近いレベルかも知れないなのです。私が上記のようなことを言い「考えて学習しろ。考えてテストを解け。」と言っても、通知簿3の多くの生徒は「考えるってどういうこと?」と理解できません。だから、日々の学習は改善しないし、テストでも同じ失敗を際限なく繰り返すのです。
だから進路選択も間違える
こういう中学生に「死ぬ気で頑張って、甲南か武庫川の付属高校に潜り込め!」と私は言うんですが、この事実を分かっていない親子は「公立高校で頑張れば関関同立の可能性もあるのに、何言ってるんだこの塾は?」とか考える。中学の学習でこんな状態で、どうして高校の学習ができると思っているのか私には理解できません。その上、このIQ分布の上半分の私立の生徒が大学受験では戻ってくるんです。だから、関関同立などほぼオール5の生徒が進む神戸高校の真ん中少し上、副教科や数学だけが苦手で泣く泣く御影にした上位2割でやっとなんですよ(文系受験では数学は関係ない)。関関同立なんかこの事実を知っていたら考えないはずです。Is she play tennis?って中3でまだ書いている通知簿3に何が出来ると思っているんでしょう?
塾で例外的に成績が上がる生徒
一方で、理解できる能力はあってもサボっていて3の生徒がある程度はいる。こういう生徒は志望校などの目標を作ってあげて自覚ができると急激に成績を伸ばす。最初に書いたようなことは理解し実践できるので、通知簿4の下半分など軽々と追い抜かす。こういう生徒も今塾にいる。数か月で5教科で430点とか取り出す。こういう生徒の親には感謝されるが、別に塾は手助けをしたに過ぎない。
上の表と考え合わせると、公立中学でホドホドの成績を取っていて、親が自分の体験から「勉強方法さえ分かれば」「真面目に頑張れば」と考えている生徒の成績を上げることは、とても難しい。塾の実績など、教え方が優秀などではなく「どういう生徒を預かるか」以外にはないんです。