落合と松井(両方とも引退済み)から考える学習方法
誰も言わなかった松井の弱点を言ってのける遠慮のない落合
素人目にも分かっていた変わった打ち方
落合が言うように、松井のバッティングって肘の使い方が独特なんです。私も「大きな体をして、なんてせせっこましい打ち方をするんだろう。」っていつも思っていたんですが、その理由まで落合は明確に言ってるんですね。もちろん、私はそんなことまでは分かりませんでした。ただ、大きな体で小さなスイングだとだけ思っていました。
なぜ松井はこうなったのか?
落合が言っているように、松井はインコースが苦手だった。だからインコースを打てるように肘を畳む癖がついた。それにプラスして、ベースから離れて打つようになった。
これで何とかインコースが打てるようになったが、逆にアウトコースはバットが届かなくなった。
でも、松井は素晴らしい成績を残しました。いちゃもんをつけれるような選手ではありません。
松井の選択
結局、松井は内角を打とうとして、肘を畳みベースから離れて立ち、満足のいく結果が残せる選手になった。逆に言えば、それはアウトコースの半分を捨てるということです。
でも、野球なんか3割、30%でヒットにできればいいんですから、無理にすべてに対応して、せっかく固めたフォームを崩す必要はなかったわけです。
もうお分かりですね!
学習でも同じです。イチローのようにどのコースでも打つには、フルスイングはできない。どの科目も満遍なく学習しても、学校のテストで良い点数を取れても、どの科目でもホームランは狙えない。入試の最重科目の数学や英語でも偏差値70、ホームランはない。
それなら、松井のように狙い球を得意なところに絞って、フルスイングをすればいいんです。理系なら数学、文系なら英語に絞ってフルスイングをすればいい。これが、松井レベルの一流打者の学習方法です。
イチロー型で行くのなら、指定校推薦や共通テストの比率の高い下位公立大学狙いになります。
でも、松井が自分の特性を理解して、その選択をしたかどうかは疑問です。落合が言うように、手足の長い外国人向けにより厳しいアウトコースが勝負の大リーグに行ったからです。もちろん、自分の特性が分かっていての選択なのかもしれません。報酬や税制の差から、日本で長年プレーするより契約ひとつで大金が入り込むということかも知れません。
だって、松井選手は野球に執着はなかったと思うんです。だから、ダルビッシュや大谷選手のように大リーグに合わせてフォームや体も変えなかった。大リーグをクビになっても、(いろいろ確執はあったのかもしれませんが)日本でプレーすることは選ばなかった。
でも、落合は別格です
落合がこういうことを松井などの名選手に言うことを不快に思われる方もいらっしゃるでしょう。
でも、それは落合の全盛期を知らないからです。落合は打率360とイチローと同レベルの打率で、ホームランは50本以上で松井以上のホームラン数を打っていたんです。高打率のヒットも全部クリーンヒットで、イチローのようにボテボテの内野ゴロを俊足で稼いだ安打はありません。
肘を畳んで内角を引っ張って場外ホームランしたかと思えば、外角を流して右中間の中段にホームランします。かと思えば、「特大でも、最前列でもホームランは同じ」とばかり、軽いスイングで測ったようにスタンドの最前列に放り込みます。あんなバッターは、落合以後一人としていません。
この時代、球場が狭いから落合はホームランを打てたと揶揄する方もいますが、落合のホームランの大半は今の球場でもホームランできる飛距離があります。それに、今は球場が広くなった分ボールが飛ぶようになっているそうです。だから、柳田選手はあんな打球を打てるんです・・・、まあ、落合なら「あんな打ち方して、無駄にボール飛ばして、故障したらどうするの?」って言うと思いますけど。
落合のようにすべての科目でホームランを狙える天才、苦手な副教科でも狙いをつけてギリギリ合格点を取れる天才は、京大や東大を狙いましょうネ!でもそれは「松井なんか、あんなもん・・」「阪大? ハァッ?」と言えるレベルでないといけません。
それ以外は、有名大学に進みたいのなら、英数という主要教科で十分な学力を身につける学習を、まずはフルスイングしてください。「クラブも、理系でも古文を、文系でも物理を」とか言うバカ教師の戯言に惑わされてはいけません。プロ野球でも、選手の特性を考えずに自分の理屈ばかり押し付けるコーチや監督ににいじくられた結果、より酷いことになって、結局二軍のまま引退する選手なんて、掃いて捨てるほどいるんですから。