これ、とんでもないバイオリニストでっせ/こんな素晴らしいベートーベンの協奏曲聞いたことがない/究極の女の武器とは?

掛け値なし、飛び切りの天才です

考え抜かれた表現・・凄いです。オケとの掛け合いまで考え抜かれている。凝った表現でもリズムが崩れない。オケに音符単位でリズムも音量もビッタリと合っている。久しぶりに聞き惚れました。こんなのを相手にしたら指揮者もオケも大変だと思います。きっとリハーサルはとんでもなかったでしょう。でも、この演奏にここまで合わせたこの指揮者も、そして何よりオケがスゴイです。さすがフランクフルト。

これだけの構成をするんですから加齢でヴァイオリンの技量が落ちても、いい指揮者になると思います。日本の画一的で平凡な教育では生れないというのは、このレベルを言うんだと思いますよ。優等生を積み重ねた庄司紗耶香なんかとは全く違います。

この演奏する姿・・音楽の化身です・・裸足で演奏しています・・そら、これだけのことをするんですから、ヒールは履けないです。

もうね、ベートーベンが焦らした挙句シンコペーションまで動員して盛り上げていくフィナーレなんか、画面がパンした時にヴァイオリンを武器のように持って、まるでドラクロワの絵画「民衆を導く自由の女神」のマリアンヌのようにオケをバックに躍動するコパチンスカヤの姿はまさにミューズのように見えます。

因みに、私ベートーベンのヴァイオリン協奏曲大好きです

ベートーベンの中期の魅力的なところが詰まっている気がするんですよ。

ベートーベンの協奏曲は、ブラームスのようにかっちりした伴奏には完成されていない。オケの構成楽器で音量も小さいヴァイオリンを独奏楽器に使うのにベートーベンは苦労した気がするんです。 ヴァイオリンを際立たせるためにベートーベンはわざと弱い構成で作ったと考えてもいい協奏曲です。

それでいてベートーベンが要求する表現が伸びやかで途方もなく大きい。 ヴァイオリニストが自分で表現を作り上げていかなくてはいけない。 伴奏に乗って弾いていれば済むブラームスとは違う。曲に寄りかかっているだけでは弾けない。

ヴァイオリニストの本当の力量が物を言う難しい曲だと思うんです。だから凡庸なヴァイオリニストではブラームスの協奏曲は弾けてもベートーベンの協奏曲は退屈極まりないことになる。

そんな難曲だからこそコパチンスカヤの天才がいかんなく発揮された。

究極の天才と秀才

今最高峰のヴァイオリニストが現代のテクニックを総動員して表現した最先端のベートーベンです。その解釈も技法も追随を許さないレベルです。正直、ここまで古典音楽の表現は来たのかと驚嘆します。テツラフは、表現力というこの曲の難問を、コパチンスカヤのように才能ではなく、理詰めとテクニックで乗り切った。とんでもなく素晴らしい演奏です。

それに、理詰めですから、オケにも分かりやすい。コパチンスカヤとの時とは違い安心して伴奏してます。聞く方も「ああ、よく考えられた、エエ演奏やな。それにしても、ここまでこだわって微に入り細に入り正確に表現できるテクニックはスゴイ。」と納得しやすい。

けれどベートーベンでしか味わえない伸びやかで大きな音楽をフルオケをバックに圧倒的な表現で演奏したコパチンスカヤを聞いた後では「これは教科書なのか? 音楽なのか?」と物足りなく感じます。「アイツと同じステージには立ちたくない」とエリック・クラプトンに言わしめたスティーブ・レイヴォーンと同じ構図がテツラフとコパチンスカヤにあると、ふと思いましたよ。

ヴァイオリニストからギタリストまでの私の偏見

コパチンスカヤとテツラフの違いは何だと思います?

もちろん音楽性は別にして、技術的なことです。私は単純に男と女の筋力や運動神経の伝達力、そして手の大きさの物理的な差だと思います。これだけのことをするんですから、運動選手並みの男女差はあると思うんです。有り余る技術があるからこそ、テツラフはこんな演奏になったとも言えなくない。

この肉体的優位性こそ、社会的な要因の他に、名演奏家は男に多いという単純な理由でもあります。単純な体格差で日本人でラフマニノフを弾ききれるピアニストもいない。

究極の女の武器

コパチンスカヤの天才で男性のテツラフ並みの技術を持っていたらどうなっていたんだろうと思ってしまいます・・・いや、でもあれはアルゲリッチと同じで、女にしかできない飛びっきりの演奏です。女にしかいない類の天才です。

この扇情的なベートーベンは男には弾けない。

本物の女の武器というのは、コパチンスカヤやアルゲリッチの才能のことを言うんです。私が知る限り、このレベルの女の武器を持つのは、この二人だけです。

全盛期のアルゲリッチ、女にしか弾けない扇情的なラフマニノフ

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