公立中学 通知簿4の授業の受け方/和訳は出来ても単語の意味は分からない理由

急速に悪化してきている

2年前に「理解の壁/公立中学の通知簿3と4間に立ち塞がる途方もない壁」と書きました。この通知簿3と4の壁が、通知簿4の上位と下位で起こり始めているというお話です。公立中学の真ん中ぐらいの成績の生徒では、学力低下が劇的に進行しています。

こういうことが起こっている理由:ボケェ~っと授業を聞いているだけだからです

公立中学の通知簿3では、最近では英語の教科書の和訳など怪しくなってきています。これは、できないという意味です。ところが、通知簿4では同じ和訳が怪しいのでも意味合いが違ってきます。こちらは和訳はできるんですが、なぜそういう和訳になるのかが分かっていないんです。単語と文法が分かっていないのに和訳できている不思議が通知簿4の下半分です。

これには、今公立中学で行われている英語の授業と深い関係があります。今の授業は、教科書を音読して、そして先生が教科書の文章の和訳を言い、その章で学ぶ重要文法の説明をサラっとして終わりです。そして、今中学で使われている教科書は、まだ習っていない重要文法が本分にはテンコ盛りです。「階層固定化を進める文科省/英語の教科書改訂から」にも書きました。

だから教師はいちいち全部教えきれないので教科書は和訳を言って終わりにする訳です。もちろん、私の塾では教科書本文に載っている文法は全部教えますよ・・でもね、その過程で、最近通知簿4の生徒で頻発していることがあります。それは学校の先生から言われた和訳を丸憶えしているんですが、単語の意味は分かっていないことです。

塾でも「知らない単語が出てきたら、教科書の後ろにまとめてあるから調べて、『フンフン、だからこういう訳になっているのね』と頭を働かせながら授業を聞け。」と言うんですが、通知簿4で結構優秀なはずの生徒が、そんなことを何度塾で言ってもしません。もちろん「これ習ってない文法や!」などは分かりませんので、こちらを教えるのは塾の仕事です。でもね、分からない単語の意味ぐらい自分で調べろと思うわけですよ。

これは、私が塾を始めた20年以上前の通知簿3のレベルです。中学受験で優秀な子供の多くが抜け、おまけにその残りの子供に絶対評価で甘い通知簿がつくから、昔3の子供に4がついている。もちろん、今の通知簿3の下半分では、先生の訳丸憶えもできていません。だって、昔の通知簿2ですから。

通知簿3はボケェ~っと授業を聞き流している、通知簿4はしっかりと聞いてはいるが頭を働かさずに聞いているのです。

だから、公立中学の半数近い生徒は直角三角形の面積が中学入学時には分からない

だから「小学校6年生は三角形の面積を求められるのか?/中学受験してない生徒の多くは求められません。」と言うことになっています。

「面積=たてxよこ」ボケェ~っと聞いているだけなので、下のビデオのように三角形を反対に向けられると、3x5にしてしまうんです。これが小学校6年生の半数近くで起こっています。ということは、中学受験せずに公立中学に来るほとんどの生徒は、この三角形の面積も中学入学時には求められないと言うことです。

「分からない単語があったら調べなさい」なんて勉強、ほんの一握りの生徒を除いては、公立中学では無理になっているんです。

もちろん、こういう学習が全教科で、塾でも行われます

だから、通知簿3の子供にいくら教えても、すべて聞き流され、問題は〇×をつけるだけで何も学ばずに「勉強した」と言われます。通知簿4の子供では、問題は〇×をつけて正解を丸暗記され、「塾の問題集はおぼえました。他に問題集はないですか?」とテスト前に言われ、塾の問題集を片っ端から制覇しては、丸暗記しては解答を忘れる問題集を積み上げます。

もちろん、私はその生徒たちに今の状態を説明して勉強方法の改善を求めますが、言われている中学生では何を言われているのか分かりません。ただの説教だと捉えられます。解答を丸暗記しては忘れる生徒には「こうなって、こうなって・・」と解法を説明しますが、「解答が分かっているのに、何を面倒くさいこと言ってるねん。」と思っているのですから、私の教え方は正解が分かりにくい説教でしかないわけです。

もちろん説明がクドクド書いてある教科書なんて読めません。「これはこう」と結論しか分からない。だから学校や塾は解説を止めて「これはこう」と書いてあるプリントで授業をし、「和訳はこうです」と伝えるだけになる。その結果、「面積=たてxよこ」とおぼえてはいても、「直角を挟んで」という条件は理解していないんです。下のビデオの通りです。最上の子供以外は、「この三角形、逆にしてある引っ掛け問題」なんて頭は回りません。

その結果、「分かりにくい塾」と言われます

だから、成績が上がらないと「あの塾、よう分からへん」と言われるわけです。私の塾で、通知簿4で辞めて行かれる生徒のほとんどの決まり文句です。「教え方が分かりにくい。」

だから、一般の塾では「こう解きま~す」と問題集の解法丸写しの板書をして、少しでもその解法の暗記が定着するようにバカげた量の宿題を出します。通知簿3の生徒はできる量ではないので、解答を書き写して提出することも多いですが、そんなことは織り込み済みです。もちろん通知簿4の生徒も、大量の問題を宿題でしても、2~3日もすれば忘れるのですが、子供に「面倒くさい、分かりにくい。」とは言われませんし、親からは「宿題も出してキチンと教えてもらっている。」と評価されるので、それでいいんです。

真面目に教えるより。「解答はこうです」と手抜きで教えて、問題集を宿題で放り投げる方がソコソコの成績の生徒のウケは良いわけです。

そういう子供の将来

こういう子供は中堅の公立校に進みます。高校に入って学習が難しくなっても中学の時と同じ「丸暗記しては忘れる」学習を続けます。そして、何より、高校生になると親があまりやかましく言わないようになって、塾に通う生徒なども減少します。もちろん、「これはこう」しか分からない脳ミソでは高校の授業などほとんど理解できません。その結果、学習しようにもしようがなくなります。「高2生3割が勉強時間ゼロ 希望進路で差、文科省調査」の通りです。

こういう生徒は、小学校の時点で、学歴でなるべく良い就職を得る道は閉ざされています。だから「中学受験を利用して基礎学力を身につけよう!/指導不可能になっている公立中学の半数の生徒」とお勧めしています。

こういう子供の根源は、中学受験生の休息場となっている小学校で放置されたため、基礎学力はおろか少しの努力も頑張りも身につかなくなっていることです。それで、通知簿3では聞き流す、通知簿4では考えない安楽な学習に逃げ込んで出て来なくなります。

思春期の反抗盛りの子供を、この安楽な穴倉から引っ張り出すのは大変ですよ。私の経験上、ほぼ無理です。

こういう生徒が高校になって頼る参考書

このビデオの通り、単語だけおぼえていても、時事の理解なしに歴史なんかできるわけがない。けど、教科書は読めないから、もうどうしようもないです。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。