Paying More for Less: What is ‘Shrinkflation?’/最近の入試英語の傾向から/産近甲龍入試はこの程度「読める」必要がある。
ステルス値上げは日本だけではなかったんですな
Manufacturers are shrinking package sizes without lowering prices. This is called “shrinkflation,” and it’s happening all over the world.
In the US, for example, a small box of Kleenex now has 60 tissues; a few months ago, it had 65. In the UK, Nestle reduced its Nescafe Azera Americano coffee tins from 100 grams to 90 grams. In India, a bar of Vim soap has shrunk from 155 grams to 135 grams.
アメリカでも、イギリスでもインドでも、商品の内容量が少なくなっています。このシュリンクフレーション(shrink=縮むとinflationを合わせた造語)が起こる理屈はこうだそうです。
Shrinkflation appeals to manufacturers because they know customers will notice price increases but not changes in weight or small details.
消費者は値段が上がったことには気が付くが、内容量が減ったことには気が付かない。
まあ、文法的には中学レベルの文章です。
デフレが20年以上続いた日本を舐めるでない!
Some companies are straightforward about the changes. In Japan, snack company Calbee Inc. announced 10% weight reductions — and 10% price increases — for many of its products. The company blamed a sharp rise in the cost of materials.
でも、日本のカルビーは10%内容量を減らして、10%価格を上げると「正直に」伝えました。
なぜなら、シュリンクフレーション=ステルス値上げは日本ではあまりにも浸透していて、消費者はみんな気付いているからです。企業が黙っていると「狡いヤツ。」と後ろ指をさされるんです・・・惨めな世の中ですなぁ。
悲しいことへの洞察
In India, “down-switching” — another word for shrinkflation — is mostly done in rural areas, where people are poorer, said Byas Anand, who works for Dabur India, a consumer care and food business. In cities, companies simply increase the prices.
ここで初めて関係副詞の非制限的用法という、高1レベルの英語が出てきます。
インドで貧乏人が多い地方ではシュリンクフレーションが進行し、都市部では単に値段を上げるだけである。ということは、日本はインドの田舎より貧しいのか?・・・涙が出そうですぅ~。
アメリカやヨーロッパでは製造費が上がっても、消費者の所得も上がっていて購買力に余裕があるから生産者も小売りも値段を上げられる。教科書通りのインフレーションが進行していると言われています。インドでも都市部ではインフレだと書かれています。
一方で、この記事では、インドの田舎だけでなく、アメリカでも65枚入りのスモールボックスのクリネックスが内容量を減らしているって書かれています。65枚入りって、家庭用のボックスにしては少ないし、外出用のポケットティッシュにしては多すぎます。これはダラーショップと言われる、100均用のものなのではないのか?
イギリスでもインスタントコーヒーの内容量が下がっています。瓶や缶入りのインスタントコーヒーって金持ちは飲むんですかね? まあ、少し高くて美味い個別包装のキャラメルマキアートなんかもありますがね。
ということで、アメリカでもイギリスでも貧困層ではインドの貧困地域と同じく、インフレーションではなくシュリンクフレーションに向かっているのではないか? 日本はこの20年間、中間層相手のスーパーマーケットでこのシュリンクフレーションが起きてきた。
ということは、日本人はインドの貧しい地域やアメリカやイギリスの貧困層と同等の購買力しかないということをこの記事は言っているのか? だから、日本では、原価が上がっても価格に転嫁できない。そして人件費が削られ、ますます値段が上げられなくなるというデフレスパイラルにこの20年間陥ってきたんでしょう。
アメリカ人やイギリス人からしたら、日本は治安もよく快適で、先進国の文化水準を持ちながら価格だけは貧乏人相手の安い国になっている。だから観光客が押し寄せる。一次世界大戦で傷ついた100年前のパリと同じです。ということは、日本は戦争もせずに、世界大戦並みの経済的ダメージを受け続けてきたということでしょうか?「100年前の通貨安が生んだ文学と芸術/現代の日本では?」
この程度の背景を高校生も考えられないとshrinkflationの意味も、上の文章も余裕を持って読めないのではないでしょうか。
と言うことで
最近は時事ネタや社会知識の内容の長文読解が多いです。内容は読み取りにくくなっている反面、文法的には優しくなっていますが、だって、高1レベルの文法しか使われてませんから。でも、教科書とは違う雑誌や新聞などに特徴的な文章や単語の使い方に慣れていないと読みづらくなっています。これが最近の入試の傾向です。
この英文は、最近の中堅大学の入試問題より簡単なものだと思います。この程度の簡単なものは読めないと大学は受からなくなっています。「私立大学の英語の難化傾向/文法力と社会知識の両輪が必要になってきた/学校・クラブ活動・塾を往復するだけの生徒は無理/子供の育て方そのものが問われている」
読めると言うことは、和訳できるという言ことではなく、内容を理解できて把握できるということです。この点を誤解している受験生は多いし、そう教える教師も講師も少ないです。でないと入試で設問に答えられないし、会社に入って「和訳は出来るが、内容は分からん。」と言っていればクビになります。
インドの田舎のpoorerよりまともな生活をしたかったら、この程度の英語は「読める」ようにしましょう! そのためには、勉強だけではなく、ニュースなども見ましょう。