塾最寄り中学の近隣探訪/「火垂るの墓」のロケ地、西宮のニテコ池/「細雪」の芦屋川/この辺りの中学生が世の中を舐める原因
戦争で亡くなった人々の上に繁栄した日本の象徴/ニテコ池
正面のお椀を伏せたような山は甲山と呼ばれ、六甲山系から東に少し外れた独立峰です。六甲山が神戸の象徴なら、甲山は西宮の象徴です。このニテコ池からの風景は素晴らしく、阪神間の豊かさを代表するものです。火垂るの墓の可哀そうな描写からは、この光景は想像できないでしょう。
甲山だけでなく、ニテコ池では右側の瀟洒なマンションと対比するような左側のうっそうとした森が阪神間独特の住宅地と山の絶妙なバランスを作り出しています。ところがこの森は公園でも山でもありません。個人宅の庭です。
この左側には、日本を代表する家電メーカーの創業者の一族の家が3軒あるんです。大阪や神戸の空襲を土台に繁栄した日本の象徴が、戦争で死んでいった子供の映画のロケ地にあるのです。もちろん、この光景からお分かの通り、ここは阪神間でも有数の高級住宅地で、他にも邸宅と呼ばれるものがいっぱいあります。芦屋の六麓荘あたりにも大邸宅はあります。けれども、本当の大邸宅は道路から「スゲェ家がある。」と見えるものではなく、道路から見えない物なんです。
塾の東隣の校区の大社中学は、ニテコ池からすぐのところにあります。クラブなどで、生徒たちこの池の周りを走ります。大社中学も火垂るの墓のロケ地です。
東の大社中学、西の山手中学
私の塾は芦屋の山手中学の校区の東の端にあります。山手中学は芦屋の象徴、芦屋川のこの風景から少し坂を上ったところにあります。
この風景の両岸には、下のような店が並びます。この前を通って、山手中学の生徒は通学します。
阪神間の醍醐味は、こういう洒落た店が、自然豊かな美しい住宅地に点在していることです。都会のビルの中にあるのとは違います。これこそが、阪神間の豊かさなのです。残念ながら、神戸は震災後この豊かさを失いました。北野も岡本も無残です。芦屋と西宮の夙川近辺だけが、かろうじて保っています。
谷崎潤一郎の細雪は芦屋を舞台にしています。映画のロケ地になった芦屋でもひときわ目を引く純和風の大豪邸は、この風景の少し下流、2号線の業平橋のたもとにあります。芦屋は大阪で成功した商人の別荘地として栄え始めました。
芦屋の利便性と景観
芦屋のもう一つの魅力は利便性です。神戸にも大阪にも10分少しで着きます。電車は阪急、JR、阪神の3本が大阪神戸間を結び、各線とも3~5分ごとに発着します。アーバンエリアのコンクリートに住んで地下鉄通勤するのと変わりません。
それでこの環境です。北には六甲が控え、日本有数のドライブウェイから最高級の夜景が見れます。ハイキングにも良いところです。南は海に面し、水質には難がありますが砂浜や美しいヨットハーバーがあります。こういう街は、この阪神地域以外に他にはありません。
こういう環境が当たり前だと思っているんです
この辺りの子供は、こういう環境に育って、これが日本のスタンダードだと思っています。だから、いい加減なことをしていても、この豊かな生活が当たり前に与えられると勘違いしている子供が多い。それは間違いだと言って聞かさない親御さんも多いです。私は、「阪神尼崎と三田に行って、日本のスタンダードを見て来いた方がいい」と塾の子供には言いますけどね。
私はこの地で20年以上塾をやっていますが、大人になってこの豊かな芦屋を味わえている教え子に、ほとんど会ったことはありません。この環境を楽しめる生活ができないか、楽しめる高賃金の企業に勤められたとしても、東京で満員電車に1時間以上揺られる生活を送っているのではないでしょうか? 最近の芦屋の子供は「東京に行きたい。」というのが多いですが、「こいつら分かってないな。」としか思えません。
何も大企業に勤めることだけが豊かな生活を享受する道ではありません。若い皆さんも、よく考えて人生設計をしてみて下さい。特に、勤務地が田舎になることが多い理系の皆さんには言いたいですね。「理系選択の盲点「勤務先」/考えてますか?未来の生活」