数学が不得意な生徒は、文系でも国立大学は不可能

進学校の親子:「とりあえず神戸大学!」

中学受験の算数は解法丸暗記が基本です。理解力がない子供に解法を教えるなど不可能だからです。高校受験でも、解法のポイントが把握できない生徒でも、なんとか解法丸暗記で凌げます。解法のバリエーションが少ないからです。

ところが、学習内容が高度化し複雑になる高校では丸暗記は通用しなくなります。その状況は本人も分かっているし、教えている私も分かります。

でも、本人や親が「せっかく進学校に入ったのだから、やっぱり国立大学に!」と言う場合が進学校でほとんどです。高校2年生の段階で関関同立でいいという進学校の親子はあまりいません。でも共通テストはもちろん二次にも数学がある国立大学はこのレベル、進研模試などの偏差値が50台後半の成績を取っているようでは、数学がある国立大学は文系でもムリです。

ムリな理由

数学の学習ポイントを把握できる能力は、持っているか持っていないかと言うもので、できない生徒が努力して手に入るものではありません。文系の科目とは違います。だから、いくら頑張っても、上位の国立大学の合格ラインの偏差値60後半以上に届くことはないからです。

もちろん、長い時間をかけて学習すれば段々考え方に慣れて行き成果が出るとは思いますが、受験と言う期間が区切られ、他にもやることがいっぱいある中ではムリです。

そして、数学は各問題の配点が大きく、点数差がつきやすい科目です。国立大学の代表的な配点は、文系各学部で、共通テストで各教科75~100点満点で400~475点です。二次は国語・英語150点、数学75点の法学部の数学が最低で、英国数は150・100・100だったり、150・125・125だったりします。

でも、大雑把に言って、800満点中で二次の数学が占める点数は文系でも100点程度はあるわけです。もちろん、理系では二次の数学の比率は倍の200点ぐらいになります。共通テストも併せると、文系でも200点、理系では300点になります。

数学というのは、入試レベルの応用問題では出来る出来ないという差が大きくできます。解法丸暗記で何とか凌げる学校の定期テストとは違います。神戸大学レベルの入試問題はそれほど難しくないですから、合格する生徒は5問の出題中3問強~4問程度は解くはずです。ところが不得意な生徒は2問解けません。共通テストも併せると、文系でも50点以上、理系なら100点以上の差がつきます。

ボーダーにある生徒では、英語や国語は40点も50点も差がつくことはありません。数学の不得意な子供が他の教科で逆転なんか、文系でさえ「不可能」なんです。 400点満点換算の共通テストなら、20点違うだけで志望大学の変更など大騒ぎするんですよ。だから数学に自信がない生徒は、文系でも上位国立大学などムリなんです。

進研や河合塾の模試で数学の偏差値が50台しかないような生徒は絶対に国立大学を志望してはいけません。

ここで問題となる進研模試B判定

「そんな学習できていなくても、学校で受けた進研模試はB判定なんだよ、デタラメ言うな!」という方はいます。それに対して私の経験を申し上げましょう。

進研模試の数学は関関同立レベルで、上位国立大学より簡単です。だから、チャートの例題が出来ていれば何とか60点は取れて、偏差値が60後半は取れる。だから、英語や国語の得点でかさ上げしてB判定が出るんです。

でも、上位国立大学の入試の数学、特に理系の数学は難しく、その程度の学力の生徒は得点できません。国立大学の平均的な配点は、共通テスト900点としたら二次も900点で、理系なら数学は300点、文系でも200点以上です。大雑把にですよ。5問出題の理系なら1問60点、3問出題も文系では100点になります。だから、少し問題が難しいと、とても大きな得点差が開きます。他教科の多少得意不得意では逆転できないんです。

ということで、二次では進研模試以上に得点差が開き、英語などで逆転はできないんです。数学があまり得意ではなく英語や国語でかさ上げして、同様に共通テストもいい点数を取ってきて、それでも2次の数学で得点できなくて国立を落ちた生徒に、長年教えていると結構出くわします。

だから、模試のB判定や共通テストの合格ラインなどと同時に、数学の地力を知る人間のアドバイスが必要なのです。

数学に自信がなければ私立で上位を目指そう/慶應も早稲田もあります

繰り返し書きますが、上位の国立大学を目指すレベルでは、数学に自信がない生徒は数学を取ってはいけません。数学を取ると言うことは、得意の文系科目の学習時間を減らして数学の勉強をするということです。ところが、結局苦手な数学を学習しても成績は上がらず、犠牲にした英語の成績は下がり、私立大学の3教科受験に専念していたら進める大学にも進めないことを意味します。

下手に神戸大学を目指して中途半端に数学に手を出して、結局英語も国語も関学のラインに乗らずに、さらにその下の大学になるというのはよくあるパターンです。英語と国語に専念しておけば関学に行けたかもしれないのに。無駄な学習にエネルギーを使って、自ら進学大学のレベルを下げることはありません。数学が苦手でも英語の学力がソコソコあるなら同志社や関学に、得意なら早稲田や慶応を目指せばいいんです。

どうせ関学程度の英語力では神戸大は受かりません。そこで数学を学習して英語の学習の邪魔をしてどうするんですか? 苦手な数学など放り出して、関学に行けばいいんです。神戸大に進める英語力があって数学がダメなら、足を引っ張る数学なんか放りだして、さらに英語に磨きをかけて上智や慶応に行けばいいんです。 

苦手な数学に手を出して神戸大を滑って、英国社の3教科で関学もダメで、「数学より英語をもう少ししていたら、せめて関学には受かっていたのに。」というのは、最低最悪の戦略です。

下宿代など心配するな!

東京の大学に進んで心配なのは下宿代です。学費はどの私立大学でも大差はありません。でも、学生用の寮形式のマンションであれば月5万円くらいであります。食費は月4万円もあれば大丈夫でしょう。ということは通学費・小遣い込みで月13万円もあれば楽しく暮らせるはずです。

5万円ならアルバイトで稼げます。東京なら40時間強働けばいい。毎日2時間コンビニで働けば稼げます。勉強にも遊びにも大きな影響はない。どこでも必要な食費分3万円だけ親に仕送りしてもらえれば、残り5万円を奨学金で借りれば大丈夫です。

4年間で250万円ほどの奨学金であれば、早稲田などから一流企業に入れば、月2万円、ボーナスで10万円で5年ほどで完済できます。生活を圧迫するような返済ではないです。

奨学金の返済でトラブルになるのは、生活費と学費のすべてを借りて600万円以上の返済を背負ってまともな就職もない二流大学に進んだ場合です。希望とはかけ離れた職場に我慢できずに短期間で辞めて、より悪い条件で再就職し、最終的には非正規になって返済などできなくなるからです。

最低な選択/悪いのは親です

計算できる範囲で奨学金を借りて一流大学に進む場合は心配せずに、自分への投資だと考えていいと思います。

それを「東京はお金がいるから」とイメージだけで語る親の判断で国立大学に固執して、成績が伸びない数学の学習を続けて、肝心な英語や国語の学習が疎かになって、結局関学にも行けないという選択は最悪です。

特に、文系で私立に進んだ親御さんに伺いたいんですが、ご自分は、不得意の数学、勉強して何とかなりました? あなたは、自分のことはさておいて、子供にはそんな無理を通そうとしているんです。酷いことをしていると思いませんか? 

子供を潰すのも伸ばすのも、親の正しい判断があってこそだと思います。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。