高校生の現代国語/小林秀雄的な作為的に意味不明な説明文の読み方

私が読んでも意味不明な説明文

最近、複数の高校生の中間テスト、そして模試で生徒から現代国語の説明文の質問を受けることがありました。一方は教科書に載っているもの、もう一方は予備校が作ったものです。質問内容は、①どうしてその選択肢になるのかわからない、②どうしてその記述の解答になるのかわからないというよくあるものです。

そして、「少し時間をくれ。」と言って問題の説明文を読み始めました。ところがその説明文をいくら読んでも理解できないのです。文章間の整合性と論理展開がまったくわからない。両方とも小林秀雄的な文章の典型でした。

そこで私は高校生に「この文章を読んでわかる?」と聞きましたが答えはノーです。当たり前です。私が読んでわからないのに高校生がわかるはずがありません。ところが解答の解説にはとってつけたような「これはこうだから」という理由が書いてあるのです。

なぜ出題文章が意味が不明なのか

理由は簡単でこういう文章は論理が破綻しているからです。というか、論理をごまかし不明瞭に書いてあるからです。

例えば、あーでもないこーでもないっていう、お互いに関連性が微妙な理屈を振りかざして三段論法を組み立ててある文章、関連がない例を引っ張り出してきてあーでもないこうでもないと読者を振り回す文章がその典型です。いくら読んでも作者の論理展開が理解できません。

なぜこういう文章になっているのかというと、こういう不明瞭な文章こそが優れた文章だと誤解している意識高い系の読書人に対してビジネスをしている作家であるということです。訳の分からない理屈を振りかざして結局は自分の結論も考え物べない小林秀雄がその代表だと私は考えています。いわば政治家や官僚の揚げ足を取られたくないだけの不明瞭な答弁と同じようなものを長々と読まされているようなものです。

あるいは学者が自分の考えを正論化するために、他人には理解できない理屈をひねり上げているっていうようなものです。

私は今回生徒から聞かれた問題を読んで、一方ずつこのパターンに当てはまると思いました。

その結果、生徒が甚大な被害を被る

そして、この手の文章の代表格の小林秀雄が出題されるとこうなります。「センター試験「国語」の最低平均点と小林秀雄の随筆 早稲田大学教授・石原千秋 

この年のセンター入試(共通テストの前身)では、国語の平均点が前年を約17点下回る101.04点(200点満点)と過去最低を記録したそうです。大きな要因として指摘されているのが、第1問で出題された小林秀雄の問題だと言われています。

問題は小林秀雄の文章が高校生や私のようなバカには難しいからだけではなく、わざと曲解し論理を捻じ曲げ意味不明に書いてあるから意味不明な点にあります。解答は論理不明の中ででっち上げることにしかなりません。それがこのテストの結果です。

模試はともかく、教科書や本番の入試でこのようなクズのような文章が出題されるのはどういうことか?こういうクズのような文章を高尚だと思っている先生連中を問題作成に選ぶのはどういうことかと私は正直に思います。

ところが解答にはそれらしきことが書いてある

そして解答や解説を読んでいくと、もっともらしいことが書いてあるのです。高校生には学校や教師の権力や大手模試の権威で「そうか、そんなものか」と納得させることができるでしょうか、私は納得しません。高校生たちも分からなかったので私に聞いてきたのです。

ところが文章読んで正解を見るとその正解には納得することができます。ところが「なぜその正解になったのか」という予備校の模試の解説を読んでもまったく理解できないのです。意味不明論旨不明な文章から解説をひねり出すのですから、文章相当に解説の論理が不明瞭なのです。当たり前のことです。

こういう解説は模試の解説だけではなく、現代国語の長文読解の問題集の解説にもとても多いです。

ところが正解には納得できる理由

ここで私がおかしいことを書いているのが分かるでしょうか。正解には納得できるが解説には納得できないと言ってることです。

ではなぜその正解には納得できるのかというと、段落構成から考えるとそう選ばざるを得ないからです。確かに文章ここの相互性・論理性というのは意味不明です。ところが文章間の相互性を無視して段落単位で作者の意図を把握して行くと意外と明瞭に何を書きたいかというのが把握できます。そうするとその設問に関係している段落が特定でき、その設問に対する最適解はここに書いてあるということが把握できます。

小林秀雄的作為的な意味不明文章の読み方

文章を一つ一つ丁寧に読んで作者の意図を理解しようとすることはこういう文章では無意味です。だから、こういう問題では「作者が詐欺を働こうとしてるから、一つ一つの言葉にとらわれるのではなく、大雑把な全体像を見て=段落構成を考えて、作者が読者をどう導きたいのかという詐欺ルートを把握しろ」と教えています。

文章間の整合性を考えると作者の思惑通りにに手玉に取られます。だからその作者の思惑を鳥瞰して、さらにその上の階層から作者の愚かな思惑を俯瞰すればいいのです。多くは、ありきたりの「そんなこと誰でも分かっているわい」という結論をひねり出すために、作為的に論理に矛盾を持たせ、読者を翻弄し、自分の思考がいかに高尚であるかと振りかざしているに過ぎません。結論自体が高尚であれば、それを分かりやすく読者に説明するはずであり、わざと分かりにくく説明するは必要はありません。

小林秀雄的思惑だらけの難解な文章を読解するコツは、文章間の矛盾に振り回されて相手の思惑にハマらずに、相手の権威を見下して段落単位で「こんなことを書きたいだけなのにバカな理屈を振り回して・・」と相手よりも高所から文章を鳥瞰することです。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。