その高校から関関同立に実際は何人合格しているのか?/阪神間の公立は大阪北部の公立より圧倒的にレベルが低い・多くの学部を受験するので延べ合格者数と実合格者数の乖離も大きい

AIの実際の合格者数の推計

関関同立にその学校から実際には何人合格しているのか? 多くの学校では延べ合格者数しか発表していません。実際に何番にいれば関関同立に進めるのか分かるデータを公表している高校は少ない。塾も親も疑心暗鬼で推測するしかありません。私も自分の経験則から進路指導しています。

そこで経験則ではなく、実測値のデータはないかAI2つに聞いてみました。

両方とも延べ人数は実際の合格者のの1.5倍程度であると回答してきました。150人の関関同立の延べの合格者数を発表している高校なら、実際は100人程度合格していることになります。これは私の経験から見ると明らかにおかしいと感じられるほど多い数字です。

そこで、この2つのAIが参考にしたデータを調べてみました。

AIがもとにしたデータ

延べの合格者数と実際の合格者数を発表している正直な学校は少なく、両方とも同じ学校から引用してきていました。

大阪府立の三島高校のデータです。 

そのデータには。現役の合格者の数字としてこう書いてあります。

同志社62人  実人数34人

立命館210人 実人数91人

関西175人 実人数77人

関西学院40人 実人数18人

延べ合計487人 実人数合計220 

概ね、2倍少しの延べ人数となっています。この時点でAIは間違っています。

そして、もう一つの要素が加わります。「関大を受けている子なら、関学や立命館も受けて、合格してくるでしょ?」という要素です。

ということは、この延べの合格者数は実際の合格者数の3倍近くあるんじゃないの?ということになります。

でも、この学校はとても正直で、ここまでキチンと書いてくれる高校はほとんどありません。でも、本当に正直なら合格者の実人数ではなく、「進学者数」を書いて欲しいものです。そうすれば、学年で何番でどこの大学か正確に分かります。

ところがこの数字は阪神間では違う

この学校は、私の塾がある阪神間では御影高校とほぼ同じ偏差値の63程度の高校です。御影高校は学区2番手ですが、三島高校は偏差値的には3番手の高校です。大阪の方が受験者数が多いから高校の階層も多いのです。御影高校の上には偏差値70の神戸高校があるだけですが、三島高校の上には偏差値が60後半の高校と70くらいの高校があります。だから偏差値的には60~70をカバーしている御影高校の方が少し上だということもできます。

生徒数は300名少しで三島高校と御影高校は同等です。関関同立以上の国公立大学の合格者数は20人ほどしかなく、これは同等です。

これまで書いてきたように三島高校の関関同立の延べ合格者数約490人の3割強、170人程度が実際の合格者数と推定できます。三島高校では真ん中の成績にいれば関関同立に合格できます。

しかし、真ん中ぐらいの成績の生徒が関関同立に合格してくることは御影高校ではあり得ません。私の経験上、上位2~3割にいないと御影高校から関関同立には進めない。真ん中なら産近甲龍も危ないというレベルです。偏差値的には御影高校の方が上なのにです。

阪神間の同レベルの高校のデータ

この御影高校もデータを公開してくれています。こちらは進学者数を公開してくれています!

同志社47人  進学人数17人

立命館59人 進学数17人

関西74人 進学数17人

関西学院166人 進学数27人

合格者数合計346人 進学合計78人

地域柄、阪神間の御影高校は関西学院が、大阪の三島高校は立命館や関西大学が多くなっていますが、それは置いておくとしても、御影高校では延べの合格者数が350名弱と少ないです。偏差値も上位の国公立大学の合格実績も大差がないのに、私立では3割以上合格者数が少ないのは驚きです。この件については後で書きます。

しかも驚くのは、この進学者数です。同志社、立命、関大では3割行くか行かないかで、関学では2割にも満たない数字です。関西学院では、合格可能な実力者がかなりの複数学部を受験していることが分かります。だから関関同立全体でも2割強の進学者しかいません。

ミドリゼミでは御影高校の生徒には「上位1割より上で国公立、神戸大なら10番以内、上位2~3割で関関同立」と言っています。

この両校から言えること

大阪の三島高校では、延べ合格者数の3~4割程度の実合格者数だと推測できるが、同じか少し上の偏差値の阪神間の御影高校ででは2~3割だと推定できます。その上、合格者の延べ人数も三島高校の方が3割以上多い。それらを勘案すると、三島高校では真ん中の順位で関関同立には進めるが、阪神間でほぼ同じ偏差値の御影高校では上位3割でないと難しいことが推測されます。しかも、上位の国公立の進学者数は、偏差値が少し高い目の御影高校と三島高校は同等です。

不思議ですね? この原因には以下の事柄が考えられます。

1.実合格者の差は地域柄が大きい

やはり阪神間は裕福な家庭が多く、結構高額な大学受験料金もポンポン出せる家庭が多く、私の経験からもできる限り多くの学部・大学を受験する受験生が多い。それに比べて大阪では結構絞った受験をするのではないかと思います。

2.同じ偏差値の高校でも地域によって大学進学状況はちがう

阪神間は中学受験が特に盛んな地域で、有名な進学校も多い地域です。優秀な生徒は公立中学には少ない。一方で大阪は公立志向が強い地域で、優秀な生徒も公立高校に多く進みます。阪神間のトップ公立高校の長田高校では大阪のトップの北野高校に全く歯が立ちません。

そのために、優秀な公立中学の生徒が少ない阪神間では、偏差値50の位置が下方にズレ、正規分布のグラフ自体も形状はそのまま下方にズレているのだと思います。だから同じ偏差値63の高校でもレベルが低い。

3.兵庫県は大阪より公立高校のレベルは低く、同じような偏差値の御影高校は全体的には三島高校よりレベルは低いかも知れないが、上位には神戸高校しかないので調査書の副教科の点数などが悪いが5教科では優秀な生徒もいる。国公立大学進学組も含む上位の差はない。

騙されている公立校の親

この阪神間の公立校のレベルが低いことは私が時々引用するこの表からも分かります。この表は大阪の公立中学の絶対評価での成績分布です。芦屋や東灘、西宮でこういう分布表を私は見たことはありませんが、この表より厳しい「公立中学の通知簿3は、教えるのが無理になってきている」「公立中学の成績分布の恐ろしい実態/通知簿5は昔の4、通知簿3は昔の2」。レベルが低い阪神間の公立中学では、絶対評価の通知簿では厳しい査定になるのは当然です。

ところが、この現状を誤解させるような風評が芦屋の山手では広がっています。「芦屋は教育レベルが高く、公立中学の通知簿も厳しめにつけている。」という風評です。不動産会社などもマンション販売でこの風評を利用します。

芦屋の教育レベルが高いのは私立中学の受験熱が高いことで、公立のレベルが高いことではありません。でも、多くの公立校の生徒の親は分かっていません。分かっていて芦屋にマンションを買う金があるのなら、さっさと中学受験をさせています。

地域によって実際の進学者数は大きく違う

AIの当てにならない予測はもとより、その地域の特性について知らない塾や講師の話を聞いても役に立ちません。大手のチェーン店塾で本部から上がってくるデータだけで話をする雇われ教室長の話など信用できない。

その地域をよく知っている塾の進路指導を受けるべきです。

優秀な生徒の多くが抜ける阪神間の公立中学で少し成績が良いからと御影高校などに進んでも上位2割にいないと関関同立には行けません。これは同じ上位レベルの大阪の公立高校に比べると圧倒的に劣ります。阪神間で中堅公立高校に進むと、関関同立など上位1割でも厳しい。

このことが大阪など他府県から移ってきたお父さんやお母さんにはピンと来ていません。昨年も、大阪から移ってきた家族に「芦屋高校に真ん中ぐらいの成績で入っても産近甲龍は絶望的。今のうちから甲南の付属高校に入れた方が良い。」と言っても、最初は「さすがに甲南大学くらい大丈夫でしょ? 何言ってるのこの塾・・」というような感じでしたが、3年の2学期になって実際に合格者数を調べだして驚いた親は私の言う通りにしました。

地域によって同レベルの公立高校でも大学進学実績はまるで違うのです。

大阪と兵庫の比較について

このブログに「大阪では全域、阪神間では各学区ごとに高校受験するので比較できない」というXでの引用ポストがありました。

確かに大阪の中部や北部全域から一番優秀な生徒が集まり高い進学実績を持つ北野高校とせいぜい芦屋と神戸だけの学区NO.1の長田高校や神戸高校とを比較するのは間違いです。でも、大阪にはそれまで多くの学区があったので、NO.2レベル、NO.3レベルでは各地域ごとに高校があります。ですから、北野高校のような特別な高校ではないなら、広域から受験するというようなことはなく、その地域の通学しやすいNO.2、NO.3レベルの高校を受験します。だから学区制のある兵庫県と大差はありません。

兵庫県でも従来は神戸市内も3学区に分かれていましたが、現在は統合され芦屋も含まれています。だからと言って、どんぐりの背比べ状態でやや進学実績が良い西部の旧学区の長田高校を、わざわざ神戸東部や芦屋から受験することはほとんどありません。一番近い神戸高校をほぼ全員受験します。ここで比較しているその次の御影高校レベルでは猶更です。大阪で昔の各学区の序列3位で同じ偏差値60の三島高校でも同様です。大阪の中部や堺から北部の三島高校受験しますか? 堺からなら北野高校でも受験しない。少しだけは劣るが、やはりトップ校の一角である三国丘高校に行くでしょう。

ですから、この引用は間違いだと判断しました。おまけにこの引用には多くの既読がついていましたのでブロックしました。ここに書いたようなことは高校受験を指導した経験があるなら、あるいは少し思慮が深い人間なら分かるはずです。直感的に「学区あるなし」だけで考えて「それで比較する塾なんて」というような人間を放置しておくと、そういう人間をフォローしている思慮の浅い同類がX上で集まってきます。そして、こういう思慮の浅い人間に炎上させられたという塾経営には看過しがたい経験があるからです。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。