公立中学の通知簿3は、教えるのが無理になってきている

公立中学の学力の低下

公立中学の下半分は終わっている」「公立中学の成績分布の恐ろしい実態/通知簿5は昔の4、通知簿3は昔の2」などにも書いてきましたが、公立中学の通知簿で5教科オール3の子供を教えるが無理になってきています。3と4が混じっている子供でも難しくなっています。

理由はこういう成績が付いている生徒の圧倒的な学力の低下です。理由は大きく2つあると考えています。まず1つ目は、公立中学のレベル低下です。現在では半数の生徒が中学受験で私立に進み、公立中学には来ません。言い換えれば、基礎学力がある生徒の多くは公立中学には来ないのです。

その基礎学力とはどういうレベルか? 2年ほど前の文科省の学力テストではこの問題の小学校6年生の正答率は55%です。ということは、中学受験塾にも通わずに、この問題が解けない生徒の多くは公立中学に進むことになります。

なぜこんな惨憺たる状況になっているのか? 半数以上の子供が中学受験塾に通って小学校では学ぶことなどない状態となり、塾で真剣に学習する彼らの休憩場になっているからです。一方で学習障害などを持った子供も普通学級で叱ってはダメだという指導の下で、小学校は学級崩壊を防ぐような運営しかできなくなっているのです。中学受験塾に通っていない子供では、この休憩場がデフォルトの状態となって、キチンと学習することが躾けられなくなっているからです。

この状況が今の小学校の通知簿では全く見えてきません。だから親は自分の子供が三角形の面積も求められない状態で中学に進むことが分かっていないのです。

絶対評価によって通知簿3が底上げされている

その上、公立中学では絶対評価に通知簿が変わって、成績の見積もりが甘くなっていることです。これは大阪府の平均的な絶対評価の基準です。多くの地域でも同じような傾向が見られます。芦屋では多少厳しいとも思えますが、大筋では大きく変わることはありません。極論すると、私立組が抜けた下半分のその下半分に通知簿3が付いているということです。3と4が混ざっている状態で概ね下半分の真ん中くらいの学力です。

だから、中学受験が盛んでなく、公立中学も相対評価をしていた時代の通知簿2の子供に通知簿3が付いているというのが、このようなデータからでも、日々子供を教えている実体験からでも私の判断です。

こういう子供にも、「叱ってはダメ」という子育て手法が浸透した今、家庭でも学校でも子供は野放しになって、どこでも躾けられることがなくなっています。中学に入っても英単語や漢字をおぼえることが面倒くさくってできなくなっています。書き取りをキチンとする努力が途方もない苦痛に思える躾しか学校でも家庭でもされてきていないからです。この状態で反抗期に入る中学生になっては、もう「終了」です。「叱ってはダメ」が浸透したこの5年、これが公立中学の通知簿3の平均的な状況です。

ところが、「通知簿3が普通」と思っている大多数の親はこの状況が分かっていない。だから「塾で応用問題を教えてもらえれば。」などと言い、そんなことで成績が上がるわけはないのに「あの塾は合わない、じゃあこっちの塾」と塾ノマドになるのです。

通知簿3と4では?

通知簿が3と4の子供では、「英単語や漢字の書き取りは嫌で我慢できない。」ということは無くなります。しかし、基本学習が全くおぼえられないことが普通です。常にボ~っとして授業や説明を聞き、聞き終わった瞬間に忘れています。理由は2点です。

1点目は、まず「A=B、B=CならA=C」などと、自分で考え整理しながら授業や説明を聞くことが分かっていなのです。説明が分からないということではなく、考えながら聞いて自分の理屈で「こうなんだ。なるほど。」と説明に納得することはないから身に付かずにすぐに忘れてしまいます。常に呆然と聞き流しているということです。

これは説明や教科書を読んだり、問題を解く自己学習でも同様です。文字通り説明を読むだけしか彼らにはできません。問題を解いても、分からなければ赤ペンで解答を丸写しして終了です。何が書いてあったのか、解法のポイントはどこでどう考えればよいのかということを考えられないのです。勉強もし流しているのです。

こういう子供は、難しい応用問題ができていないのではなく、学校でもどの塾でも教える基本問題をほぼ全滅してくることから、テストの答案を見ればすぐに分かります。簡単なことでも勉強して2~3日もするとすぐに忘れてしまいますし、テスト前に忘れたことがないか詰めて勉強しようなどという思慮もありません。聞き流し、し流し、通常運転で全て忘れた状態でテストに突入します。中学受験が今ほど盛んではなく相対評価の通知簿がついていた時期では、このレベルの子供は通知簿では3がついていたはずです。

このレベルの子供は教えるのがとても難しいです。教えても教えても聞き流され、底の抜けたバケツのような状態だからです。でも、まじめに説明を聞き(流し)、まじめに問題集を解いて(赤ペンで解答を書き写し)いるので、親から見れば「勉強してるのになんで成績が上がらないの?教え方が悪いの?」という状況になります。親の期待と勘違いという面からも教えるのが難しいのです。

ご家庭へのアドバイス

通知簿3の子供の親では、子供が何ができていないのか全く確認していない親が多い。テストの答案さえ確認すれば、応用問題の解法が親には分からなかったとしても、英単語や漢字も全滅していることくらいは分かるはずです。点数だけ見て「あの塾アカンわ。」という親は多いが、答案を見て「英単語や漢字でこんなに間違ってきているの? 何が原因なのだろう。これは教える方の責任ではないのではないか。」と考えない親がほとんどです。逆に言えば、子供のことをキチンと見て躾けてこなかった子育ての挙句、そのまま反抗期に入ってもうどうすることも出来なくなっているということです。対処は難しいです。わがまま放題で、少しでも嫌なことはできなく育った反抗期の子供が改善した例は極めて少ないです。そう思っていないのは親だけです。

通知簿が3と4が混ざている生徒でも責任も家庭にあると思います。集団塾では個人をそこまで面倒見きれないし、学生アルバイトの個別塾は子供に流されるだけです。私のような経験が長い講師が直接熱心に説明しても聞き流されるのですから、普通の塾では教えようもありません。宿題を出して問題を解かせても自分では考えないし、週2回程度の通塾など何の役にも立ちません。それでも塾に通い、宿題をしている後ろ姿だけしか見ていない親では、何度てきも勉強した基本問題が全滅している答案までは見ていません。そういう状況で「キチンと勉強しているのに塾が合わないのかしら?」などと言ってくれる親の子供では、当然自分の勉強に問題があるなどとは分かっていないから状況は改善しません。

この状況をキチンと子供と親と塾で共有しあえれば状況は改善することはあります。真摯でまじめな塾は親に説明することもあるとは思いますが、その状況を客観視できずに「キチンと教えられないから子供のせいにする。」としか考えられない親が非常に多く、それでは改善は無理です。

通塾に関して

このように、公立中学の通知簿3と4が混じっている状況以下の子供は教えるのに非常に根気がいります。時間もかかります。ところがそれを分かっていない親が、こういう子供の親ではほとんどです。キチンと自分で対処をしたことがないから状況が分かっていないのです。だから塾や他人に丸投げしてすぐに結果が出なければ「じゃあ、違うところで。」を繰り返してきている親が多い。

こちらとしては他の生徒以上に神経をすり減らし、労力もかけているのに、それさえ分かっていただけないことが多いです。入塾の際はそういうことも説明して「それは分かっています。」と子供同様聞き流され、今まで他の塾は無理だったから「それでもお願いします。集団塾や学生アルバイトの個別塾では無理なんです。」とおっしゃる親御さんが多い。その挙句、また「じゃあ、結果が出ないので違う塾に。」「子供が言われ過ぎて嫌がっている。」などとと言われることが多い・・・親子で一緒の脳ミソなんです。遺伝?

他の生徒以上に神経をすり減らされ、こちらも疲弊することが多いのに、親には全く分かってもらえず商品を買うように転塾される。正直お預かりしたくはないです。

ホームページはコチラ

芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。