中学受験に意味があるのか?遺伝子と環境から考える

名著:もっと言ってはいけない/橘玲と欧米の研究結果と相反する日本人の意識

日本人が子育てや教育を論じるときに最も大きなファクターとして論じられるのが環境です。だから金を払い環境が整えられていると思う私立が公立よりも子供の教育に良いと考える。

でも欧米などの研究、あるいはそういう研究をまとめた橘玲などの本を読むと、環境が子育ての主要因になりえるのかということに対して大きな疑問が生じます。

橘玲の本によると、思春期に入ると遺伝的要因の方が環境要因よりはるかに影響が大きくなると書かれています。これは欧米での研究結果と一致しています。欧米では、遺伝子が同じ一卵性双生児の双子が別々の家庭に養子に出された際の、子どもの成育の追跡調査の研究が数多くあります。それによると、家庭環境の差よりも圧倒的に遺伝要因の差が大きくなります。同じ家庭で養子にもらわれた子供同士でも大きな生育差が出る一方で、まったく生育環境が違う別々の家庭で育った一卵性双生児の間では極めて似通った生育になる「努力できる遺伝子/グローバル化・中流没落が生む選民思想」「子育て論の本質/結局は遺伝子」。

でも、こんなことを書くと身も蓋もないことになるので、世間的にはタブーとなっているわけです。

子供の成育は環境より遺伝的要因の方が大きいという研究はハーバード大学の博士課程にいたジュディス・リッチ・ハリス に1992年にまとめられたましたが、当時はアメリカでも日本と同じ風潮で「何て酷いこと書くの!」「かわいい子供の可能性を否定するなんて、許されない!」とハーバードを除籍になっています。

ところが、現代ではこの手の研究も容認されていて、アメリカなどではもっと大規模に調査が行われていますが、ハリスと同じ結果が出ています。

尚、念のために書いておきますが、このことは「兄弟で顔も成績も全然違うじゃん」とは一致しません。中学で遺伝を学びましたよネ!染色体の組み合わせで、兄弟でも血液型も遺伝子構成も違うのですから。だから、染色体構成が違う二卵性双生児背はなく全く同じ一卵性双生児が研究に選ばれるのです。

これを利用しているのが中学受験

この遺伝的要因が環境要因より大きくなって行くのは思春期です。小学校の間は親や塾の言うことを聞いてまじめに勉強して、やっと念願の中学に入れたと思ったら、中学2年生くらいから崩れ始めるのはよくあるパターンです。逆に小学校の中学年の頃成績が悪くてアホだった子供の成績が、中学受験塾も終盤の小学校高学年や中学生になって急激に伸びて来るのもよくあることです。「あの子と遊んだらアホになる。」とご近所と親戚で言われていた私がそのサンプルです。

中学受験というのは、遺伝形質がまだ支配的になる前に親の言うことを聞いてまじめに学習する子供を利用して、塾も私学も金を巻き上げるビジネスに他ならないということも出来ます。

だから、「中学受験では言うことを聞いてくれたのに・・・」という親御様は、残念でしたと言うほかはありません。私も進学校に通う多くのこういう子供を「何とかしてくれ」と言われて教えてきましたが、教育や環境で変えられることは少ないと思います。

ということで、入った時は同じような成績だとしても、真面目に努力できる遺伝子を思春期後に発現させる子供と、その正反対になる子供で卒業時には目を覆いたくなるほどの格差が生まれます。だって、2~3番手の有名進学校、六〇や白〇や海〇なんか、上位は大阪大学に合格するけど、下位は産近甲龍もヤバイし、最下位は無理です。その下のレベルの学校の中上位に半分は追い抜かれます「最上位公立高校の中位は下位高校の上位に追い抜かれ、下位は中堅高校の上位に追い抜かれる/中高一貫の私立でも同じことが起こります/最上位校で落ちこぼれる生徒の特長」「進学校の1/4は中学2年生で落ちこぼれる/国立大学など行けない」。

もっとも、これは同レベルの神戸高校や長田高校などの公立高校受験でも起ることですけどね。やはり、思春期と言ってもまだ塾や学校、親の手の内にある中学生と、成長してその外の世界などにも目を向けるようになって親の言うことも聞かなくなった高校生では、高校生の方が崩れ方が大きいからだと思います。

中高一貫校という環境は全員に有利には働かない

中学受験で入る中高一貫の進学校で公立よりも有利な点はただ一つです。授業進度が早いことです。授業内容自体に大差はありません「私立高校は公立高校より有利なのか?高校無償化の影響を考える」。

中高一貫の私立では中学1,2年生で中学3年分の授業を終え、中学3年生から高校1年の授業を始めます。高校の学習内容は理解が難しいため公立と同じ3年間をかけて進めます。だから、公立では高校3年生まで残る数Ⅲや理科ある理系でも高校2年生では全てのカリキュラムを終えることができ、一年間は大学受験の学習に専念できます。公立でも高校2年生で授業がほぼ終わる文系はそれほどではないにしろ、理系では中高一貫校が圧倒的に有利です「国立大学の理系には公立高校から現役では難しい?/中学受験は必須」「経済格差は学力格差の理系/でも文系志望なら公立も私立も関係ない」「国立大理系は公立高校から現役ではもうムリ?/理系なら中学受験は必須」。

でも、この環境が有利に働くのは、この早く速い授業を乗り切った場合のみです。「小学校の頃は言うことを聞いていたイイ子だったのに」となった子供では、この中学3年生にはまだ難しい高校の授業を反抗期真っ盛りで始めるのです。その上、中高一貫校では、制服も校舎も中学のままで高校の学習が始まるので、気持ちの切り替えができないまま難しい高校の授業が唐突に始まります。下手に思春期真っ盛りの子供だと取り残される可能性は公立よりも高いです。まあ、そういう子供は嫌ほど見てきました。

結局は、思春期になって爆発した遺伝形質を持つ中高一貫校の子供では、公立の子供より大きく影響を受け、その厳しい学習環境から落ちこぼれる可能性も高いのではないかと思います。

じゃあ、ウチの子はどっちやねん?

私の感覚では、思春期に怠け者などの遺伝要因が爆発する子供は、ソコソコ頭の回転が良くて親の言うことを聞く中学受験では結構いい成績を取って進学校に進める場合でも、その素因は小学校で見え隠れしているはずです。でも、目の前の成績と進学校の名前に舞い上がる親は、その怪しい素因を見ないようにして進学校に放り込んで失敗する。

でも、だからと言って「じゃあ、関関同立の付属に放り込んどくか?」とは、六甲や海星、白陵以上の進学校に進める場合は、よほどのことでない限りはならない。「六甲なら神戸大学よね!」というその気持ちもよく分かります。

まあ、難しいですね・・・私なら?こういう中学に下位で進むのなら、関関同立の付属校にしておきます。「公立高校と中高一貫の私立の難易度と大学進学の比較」に書いた通り、そういう子供では進学校に入れても最上の結果で関関同立だと思うからです。「コイツ、中学になったら真面目にやらんやろな・・」という片鱗が明らかに見えている場合でも、こういう進学校にホドホドの成績で放り込むのなら、関関同立の付属に放り込みます。途中でサボり出して関関同立など無理になるのは目に見えている。

でもね、こういうことは、「その後」の中高生に長年四苦八苦して来た塾経営者が他人事だから言えるのです。自分の子供だとどうなるのか・・・しかし、思春期に爆発する遺伝要因を親がどれだけ検知できるのか、そして冷静に判断できるのかは大切です。でもほとんどの親は夢を選んで失敗します。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。