美しく、才能にあふれた神の不平等の限界/エレーヌ・グリモーから学ぶ
最高級の女流ピアニスト
この女流ピアニストは今はもう53才ですが、30歳の時にはすでに一流でした。この表現力と構成力を聞いてください。素晴らしいです。そして、このピアニストは、ペダルを駆使して音の広がりと輝きを作り上げます。
驚くのは、彼女がピアノを始めた年齢と環境です。彼女は7歳、小学校2、3年生からピアノを始めています・親は動物生態学の大学教授で、娘をピアニストなどにしたかったわけでもなく、ただの習い事を始める年齢でピアノをはじめ、9歳でエクサンプロヴァンスの音楽院に入学しています。
楽器など3~4歳で始めないと音感が身につかないとか、7歳くらいではすでに楽譜を読む訓練を初めていて言語並みに楽譜を読めないと話にならないとか言われる業界では、全くの異例です。おそらく、小学校に入って何らかのきっかけでピアノを弾き始め、その瞬間から他の子供とは全く違っていたはずです。周囲は驚愕して本格的に習わせたことでしょう。
その後、大学では動物行動学を専攻して、「オオカミと暮らす美人ピアニスト」としても有名になりました。要するに、常人ではないのです。
まさしく、gifted、与えられたものです。環境など関係ない。しかも、美人ときている。すっぴんでこれですからな。神様は不平等ですな。
ブラームスも素晴らしい
NHK交響楽団のバックも素晴らしいです。木管、特にオーボエが素晴らしい。 彼女の演奏を年代ごとに聞くと、この演奏の少し前には調子を落としていた時期もあるようです。このNHKでのライブを見る限り復活したようで喜ばしいです。
ところで、私がこのピアニスト凄いと思うブラームスとは?/グリモーに勝ち目はない
もう、ロシア人のピアノとしか言いようがないロマンチックで重量級。ブラームスがラフマニノフになっとる。そして、この体躯がないとこのピアノは弾けないと思う。ところで、ブラームスの裏のリズムがよくわかる指揮ですな。
素晴らしく考え抜かれ、コントロールされ尽くした精密な演奏。聞き入ってしまう。
このレベルを聞くと、グリモーは厳しいですな
これは彼女の才能というより、運動神経や筋力と言った肉体的な差が大きいと思います。やはり女性では楽器のコントロールが甘くなる。だからペダルを頼って、音が不明瞭になる。これは上の動画を比べると、否応なく知ることになる。
そして、女性奏者の場合、経験や年齢に応じた円熟で、年齢とともに落ちる演奏能力を補い、名演奏家と言われる域に達する奏者が少ない。なぜだか理由は分かりません。
アルゲリッチが男以上の演奏をできた、ただ一つの理由
女性で過去最高のgiftedを持ち、尚且つ男以上の演奏能力を持ったピアニストにアルゲリッチがいます。その理由は単純です。男並みの肉体を持っていたからです。年齢に応じた円熟を見せた数少ない女流名演奏家ピリスとの連打を見ればよく分かります。