なぜ塾は宿題を出すのか?/お母さんが分かっていない子供の学習を知れば納得する
勉強できない子供の脳科学
簡単なことも出来ない子供の不思議
多くの子供を見てきて、中学程度の簡単な学習ができない生徒は、数学の応用問題が弱いとか、国語の長文読解が弱いとか、そういう得意不得意の傾向はありません。全教科・全範囲でダメです。
理由は、理屈全くなしに、丸暗記して2~3日で全部忘れることを繰り返すからです。だから、テスト前に2~3日でもその教科をせずに他教科に集中したら、簡単な問題でもスッカラカンに忘れて全問間違えてきます。
数学の計算方法では規則性も理解せずに丸暗記、社会の事象も内容も理解せずに丸暗記、国語の言葉の意味も漢字との兼ね合いなども考えずに丸暗記・・・すべて呪文を丸暗記するような体で学習が進むからです。
いくら考え方や方法を教えても分からない/いや、面倒くさがって塾を辞める
もちろん、「こうなっているからね!」「ポイントはここ!」「こう考える!」と簡単明瞭を心がけて、シンプルな脳ミソでも理解できるようには教えるんですか、それさえも受け付けないんです。
一生懸命説明し終えた私は「で、何をおぼえたらいいんすか?」と言われ、ガックリと力が抜けて「これとこれ、おぼえといて。」としかもう言うことがないことも多いです。そうして、「勉強方法は丸暗記して、簡単に忘れることではない。キチンと考えて、どうなっているのか理解しないと頭に入らない。」なんて熱心に教えるとどうなるか?
「あの塾分かりにくい。答え教えてくれへん。」「面倒くさい。」「怒られているみたいでイヤ。」と子供は反応して、親に「塾を辞めたい。」と言い出します。親はそれを聞いて「じゃあ、そんなダメな塾を辞めなさい。」と現状の話し合いも、どういう指導が行われているかも考えずに退塾の連絡をしてきます。
こういう生徒は全てが悪い
だって、スポーツをするにしても、楽器を演奏するにしても、絵を描くにしても、教えられたことを「そうか、こうすればいいんだ!」と理解することはないんですよ。学習から趣味に至るまで、上達するはずがない。
スマホなどという素晴らしい機材を持っていても、「単語の意味分からないから英語できませ~ん。」なんて、平気で言いだします。「スマホで調べたら?」と言うと「そんな面倒くさいことを・・・」と言い出します。
何で彼らはグーグルの検索ではなく、スマホのyoutubeや食べログなどのアプリとSNSだけを使うかよく分かります。検索する能力がないからです。与えられて、型にはまって、すぐに使えるアプリ以外使いこなせないんです。
だから、参考書も教科書も、読んで理解などできずに、太字で書いてあるところを丸暗記するだけです。
だから、怒らず褒めて、宿題を出して反復訓練して、少しでも脳ミソに残る可能性に賭けるしかない
勉強方法や学習方法を熱心に教えれば「ウザイ」と塾を辞められる。親の方もそんな実情など分かってくれない。そして、「丸暗記じゃダメ。こう考える。」と学習指導すれば、「自分が否定された。」「怒られている。」と子供は親に文句を言い、親は頭から信じて「子供のヤル気が出るように指導できないんですか!」と塾を否定する。
じゃあ、「答えは○○で~す。」「また忘れたの~。でも大丈夫。宿題にしましょうねぇ~」とやるしか塾はないじゃないですか。これ、何かと似てませんか?
そう「叱っちゃダメ。ワンちゃんは何で叱られているか分からないんです。褒めてうれしくすれば『こうしたらうれしくなるんだ~』っておぼえてくれます。」という尽きることのないワンちゃんの反復訓練と同じです。理由が分からない指導対象、子供の学習事情や犬という群れで行動する動物の本来の姿を知らずに嫌われることを嫌がる親も飼い主も同じなんです。
学習業界やペット業界はそういう親や飼い主を相手に商売をしないといけない。だから「褒めて育てる。」「否定してはダメ。」と同じことを言うんです。
この反復訓練が子供では「宿題」になっているだけです。だから、学習内容は理解せず、いくら復習してもテスト前にはきれいサッパリ忘れます。私の塾はそれは許さないので、評判が悪いわけです。