数学の教科書も分からない生徒が理系に押し寄せている/学歴ロンダリングと日本企業の将来
理解ばやりの昨今の理系の合格ラインとは?
私立大学の多くでは、文系の合格ラインは70点程度に設定して入試問題は作ってあります。一方で、理系では60点になっているところが多い。
入試では英語は全学科共通のことも多く、この英語で理系の方が点数が悪いことは理解できます。だって、理系は英語が苦手ということもありますが、理系科目の習得に時間がかかるので英語を勉強する時間が少ないという単純な理由も大きいからです。
数学の教科書も分からない生徒が理系に押し寄せている
でもその英語を犠牲にして勉強しているはずの数学の点数も低くなければ、これほど理系の合格点が低いということになりません。
大雑把に言って関関同立程度の入試問題では、大問の(1)は教科書レベル、(2)はチャートの例題レベル、(3)はチャートの重要例題レベルで、そのうち(1)と(2)さえ解ければ楽勝で受かるのにです。
だから、「関西の有名私立大学の数学はチャート式レベル」「中堅大学の最近の入試問題など中学生でも解ける」という状況で、「関学や同志社に合格する数学の勉強法/誰にでもできてチョー簡単」と言っています。
ということは、入試勉強など関係なく、学校の数学の授業や宿題レベルのことができていない生徒が大挙して理系に押し寄せているのが現状なわけです。「関関同立どうかな?」と言う理系志望者など、理系とはもはや言えないレベルです。
有名大学の理系でこれなんですから・・・
その結果、ほとんどの私立大学の理系学生など十分に専門知識も学べず、卒業しても役に立たないということになります・・・だって、北陸のテレビなどでも盛んに宣伝している某工科大学なんて、大学で高校の授業を教え直している情報をネットで流して「どうです、ウチの授業充実しているでしょう?」とやっています・・本末転倒というか、骨折転倒レベルです。これでどないして理系の専門知識を教えるねん?
そして問題は、国立大学の独立法人化で大学院では進学希望者より定員が増え、神戸大学や大阪大学の学生の多くが自分の大学の院に行かなくなったことです。神戸大学の学生は京大や東大の院に行き、神戸大学の院にはこういう「高校の参考書分かりません」という理系が入って来る。よく言われる「学歴ロンダリング」です。「学歴ロンダリング今昔物語」の通りです。
入試に通ったんだから大学院は学歴だと言う方へ
高校の参考書も分からず、大学院で十分な研究活動も自主的に出来ず教員の指示通りに論文を書くだけの若者。おまけに、高校の英語の教科書も読めるか怪しく、英語論文も読めずにグーグル翻訳などで読まないといけない若者を企業は「神戸大や大阪大の大学院卒」で研究技術職として雇うでしょうか? いや雇いたくないでしょう。でも、日本の若者を雇用する以上、一応院入試の勉強をして進む神戸大の大学院はまだマシな若者なんです。定員を埋めるためには雇わざるを得ない。
一方、スタンフォード大学などの合格率は4%と言われています。世界中から優秀な若者が集まるんです。彼らがシリコンバレーでAIの開発をしている。インドでは、そのスタンフォードを滑り止めにしているインド工科大学と言う恐ろしい大学があります。その結果、マイクロソフトもアルファベット(グーグルの親会社)も社長はインド人です。
その優秀な人員を抱え込むアメリカ企業は、日本の数十倍の研究開発費をつぎ込んでいる。日本の企業の将来などありまへんで。