働きアリの法則/進学校の生徒とその親のプライドがもたらす現状認識不足が原因
以前から紹介している働きアリの法則とは?
よく働くアリと、普通に働くアリと、サボっているアリの割合は2:6:2で、どんな巣穴でも同じになるという理論です。優秀な生徒ばかり集めても、それほどではない生徒ばかり集めても、どの学校でも頑張るヤツとサボるヤツがでてくるという単純明快なお話です。「学校間で起こる逆転は学校内ではおこらない/無理に上位校に行ってはいけない理由」「進学校の生徒が普通の高校の生徒に追いつかれる理由」
この理論は、ジャック・ウェルチという名経営者が企業経営に当てはめ、毎年下位1割をリストラするという苛烈な人事を断行して、名門企業GEを再興させて有名になりました。
学校にどう当てはまるのか?
公立高校の例が最も分かりやすいです。中学時代、この辺りの学区の最高峰神戸高校に進む生徒と次点の御影高校に進む生徒は、基本的に、成績はほぼキレイに階層関係にあります。
ところが、3年後の大学入試では、神戸高校では上位3割ほどが神戸大学以上の国立、真ん中で関関同立、下位2割で産近甲龍に進学します。御影高校では、上位1割程度が神戸大学以上の国立、上位2割で関関同立、真ん中で産近甲龍です。まあ、大雑把にですよ。
ということは神戸高校でも下位2割が落ちこぼれ、上位3割は頑張り抜き、真ん中の5割がほどほどで、御影高校の上位3割に追い抜かれ追いつかれるわけです。
「よく働くアリを集めても2割がサボり、それほど働かないアリを集めても2割が働き出す。」という働きアリの法則に酷似しています。
何でそんなことが起こるのか?
中学校時代進学塾で叩き上げられ努力などお手のものだった神戸高校の生徒の下位2割で何でそんなことが起こるんでしょう?あるいは、7割でチャート式なんかもキチンと学習できずに、何で関関同立や産近甲龍に進むハメになるんでしょう?
理由は二つあると思います。ひとつは「進学校のどん詰まり/高校で分かる進学塾の弊害」に書いた通り、中学時代成績の良かった生徒の学習適性や努力のベクトルが、高校では当てはまるとは限らないということです。
特に、丸暗記が得意で、丸暗記学習を進学塾に叩き込まれて進学校に入った生徒は成功体験から同じ学習を高校でも続け、理解が必要な高校の学習に適応できなくなります。ところが、成功体験とプライドから、いくら塾でアドバイスしても聞く耳を持たないことが多いんですよ。それで落ちこぼれる。
一方で、それほど丸暗記に必死にならなくてソコソコの成績を取って御影に進んだグループの中で、高校の学習に適性を持った生徒がいる。あるいは、体育や音楽が致命的にダメで調査書で泣く泣く御影に行ったごく少数の生徒に特別優秀なのがいたということです・・・私9教科の調査書なんか止めたらいいと思うんですけどね。
もう一つのタイプとは
これは、それほど努力せずに進学校に進んだ生徒に多いです。暗記が得意で、他の生徒より少ない努力で暗記で乗り切れる高校入試を優等生で乗り切って進学校に入った。そこで、「オレって天才。」「私が入試前に頑張れば、大丈夫。」と入試を舐めきった生徒が出来上がる。
こういう生徒の特徴は、進学校で落ちこぼれて関関同立すらも難しい学力にありながら平気で「神戸大に行きたい。」と言うことです。「客観的視野がなく、自助努力に欠ける高校生/成績を伸ばすのは難しい」の通りです。
そこで、「自分の努力不足を棚に上げていつまでも国立大学など言っても、もう入試のスケジュール的に無理。さっさと壊滅的な数学から手を引いて英国社に絞って関学でも目指さないことには、関学も落ちる。キミみたいな進学校の生徒はいっぱい見てきた。」と私が忠告すると、「そんな失礼なことを言われる筋合いはない!」とブチ切れて塾を辞めます・・・現状が分かっていながらかつては優秀だった子供に遠慮してそれを聞き入れる親はもっとアホなんですけどね。
いや、私、嫌われるの覚悟で、キミたちの人生のためにデキる限りのアドバイスをしてるんですけどね・・・。
基本的に認識不足・学習を舐めている生徒が落ちこぼれる
それで、下位高校の御影高校や更に下位の芦屋高校の生徒にすら追い抜かれ、希望よりずっと下の大学に進まなければならなくなる。
塾でも御影高校の上位の生徒の学力とトップ校の下位の生徒の学力を比べると、高校1年生の終わりでもう比べようもない程差がついていて巻き返すことは困難になっています。でも、それに気が付かずにプライドだけが高いんです・・・模試の偏差値や志望校の判定という明確な物差しでさえこういう生徒には効かないのですから、塾のアドバイスなど聞くはずがない。
もうね、この30年日本を衰退させていまだに威張り散らしている財務官僚と同じぐらいにプライドだけは高い。それで働きアリの法則適応の良いサンプルになるわけです。
いずれにせよ、自分の能力の適性の判断を誤り、あるいは学習を舐めている生徒はトップクラスの進学校でも、国立大学には進めません。
こういう生徒は進学校にも腐るほどいます・・だって7割が私学ですよ?
生徒もお母さんも、神戸高校に入学した時に、「良くて関学」って思いました? いや、ほとんどのお母さんは「ウチの子も神戸大!エリートなのよ!!」って思ったはずです。ところが、7割の生徒で上に書いた通り、働きアリの法則の成れの果てです。
さあ、この週末の共通テストで最後通牒を突き付けられた数十万人の生徒諸君、やっと反省することができましたか?・・・けど、私学の入試まであと1ヵ月なんです。この数カ月、無駄だと周囲は全員分かっている共通テスト対策なんかしてきた愚かさにやっと気が付いても、もう取り返す時間は残っていません。
偏差値でも学校の成績でも、いくらでも情報は知らされていたのに、自分一人だけが間違った道に邁進したんです。塾でも親切なオッサンが嫌われるを覚悟で、あれほど忠告しているのに、逆ギレしかできないかったんですから仕方ありませんね。
愚か者は、数限りない失敗に反省せずに、取り返しがつかない状態になってからやっと気づくことです。良い人生の教訓になりましたね・・・けど、大学に入っても資格も取らずに遊び惚けて、就職でまた同じ失敗を繰り返すと思います。
それでいて、浪人して頑張り直す覚悟も持っていない・・・それで二流大学卒なら、こんなの企業が雇うと思います?