○○高校用クラス・塾の乱立の背景/まともな授業を進学校がしなから、平凡な授業が求められている
特定の進学校を狙い撃ちする予備校・塾
進学校用の予備校は鉄緑会のような優秀な生徒を一帯の進学校から集める従来型のものに加えて、〇〇高校用と名指しした予備校やクラスがあります。
もちろん、通う側からすれば、名指しするぐらいですからその学校の進度や授業内容あるいはテストのタイミングに沿った綿密なカリキュラムがあり、過去の定期テストなどもファイリングしてあり対策を打ってくれると期待するわけです。でも、授業内容はごく普通の集団式の予備校や塾と変わりません。
「○○高校特化」というのは、多くの場合ウソです。それでも、そういうウソに引っかかって予備校には、進学校の生徒が詰めかけます。特に公立のトップ校用の特化型予備校は大流行りです。なぜでしょう?
学校の授業があんまりだから、ごく普通の授業が必要になる
もちろん、○○高校用と言われてプライドから通う場合、盲目的にコース名に騙されて通う場合も多いと思います。けれど、こういう予備校が成立するには、もう一点重要な理由があります。それは、高校の授業があまりにも酷いということです。だから、学校の普通の授業と似たり寄ったりの予備校の授業に大金を払わないといけなくなるんです・・・私立に行かせる以上に金がかかったという、馬鹿げたことがまかり通っている。
例えば、私が知るあるトップ公立校、生徒の半数が神戸大学以上の国立大学に進む阪神間で最高位の名門校の数学の授業は、生徒にグループを組ませて、お互いに考えさせる自主学習をさせるというものです。教師はほとんど説明をしないんですよ・・・一通りのことを教えて、簡単な入試問題の解法をみんなで議論させて、出てきた色々なアプローチを教師が講評していくのなら分かりますよ。でも、公式の導き方や使い方から生徒にぶん投げるのはあり得ない。いくら秀才と言っても神戸大学や大阪大学に行くくらいのレベルでは、ごく普通の授業をしてくれる予備校に通わないとまともに理解できません。
こういう高校で、こんな予備校に通い国立大学100人以上の進学実績を叩き出すのは、学校が素晴らしいからでしょうか? もちろん、ひとえに生徒の能力と努力それに親の金銭的負担に依存しているだけで、学校側は足を引っ張ることしかしていません。
二番手の高校にトップで進む方がマシです
こんな授業、京大にトップクラスで進む生徒ばかり集まっていないとムリですよ。そんな生徒はこのトップ公立校でもトップ1割もいません。でも、なぜか学校は勘違いしていて、無意味に高度な学習をするのが進学校だと思っている。当然、学校でまともに教えられている生徒より多くの生徒が落ちこぼれる。
それで、「学校の授業分からへん」「全然教えてくれへん」と子供が言い出して、関学アウトの偏差値を模試で取り出す。それで「せっかくトップ校に入れたのに」と親は慌てふためき文句を言いながら予備校に通わせることになる。
でも、よく考えて下さいよ。こういう子供たちは、本来学校で受ける授業を、放課後予備校で受けてるんです。他の生徒たちは、学校でまともな授業を受けて、放課後はその次のステップの学習を頑張っているんです。倍の努力をしても追いつけないんですよ。私思いますよ、これだけの生徒を集めて、普通の授業をしてあげれば、どれだけの数の生徒が神戸大学に進んだだろうって・・・・。こういう授業が放置されている学校って、何なんだろうって。
私なら、こういう高校に真ん中ぐらいで入るくらいなら、ワンランク下の学校にトップで進ませます。ワンランク下では、こんな授業をしていたら生徒全員が落ちこぼれるので、ごく普通の授業をしてくれるからです。二番手の公立でも大阪大学や神戸大学なら余裕で合格してきます。学校に子供を食いつぶされるなど、真っ平です。
でも、こんな誰にでも分かることを親は分かっていない。「○○高校、合格30名!」っていう大手の高校受験塾の看板に踊らされ、進んだ高校で落ちこぼれに行って、予備校に金を払い、苦労して苦労した挙句、下の高校でも普通に進める大学にしか進めなくなる。「進学校や進学塾への誤解/何度も書いてきたことですが・・・」「進学校の生徒への暴言/よく噛みしめてください!!」「働きアリの法則/進学校の生徒とその親のプライドがもたらす現状認識不足が原因」というようなことに、進学校の半数以上の生徒で陥ることになる。
〇〇進学校用の予備校は、その状況の反映でもある
○○高校用予備校で、特別に高度な授業も、特別に学校に沿った対策もあるわけではない。それでも、そういう予備校が成立するのは、わずか300名程度の高校で多くの生徒が「普通の学校の授業」を求めているという一面も大きい。
そこのところ、分かって「○○高校!」って熱狂してるんですか? ねえ、お母さん?