暗記の天才を真似る鈍才/躾されていない公立中学生の下半分の暗記
他の天才が教えを乞う天才
20世紀を代表するピアニストにアルトゥール・ルービンシュタインという大ピアニストがいます。このピアニスト、新作のピアノ協奏曲の楽譜が遅れ、なんと演奏の直前に渡されたそうです。それを持って汽車に飛び乗って4~5時間、ホールについてすぐにリハーサルそして本番を暗譜で弾き切ったそうな・・。
このピアニストの記憶方法は「カメラアイ」です。旋律をおぼるわけでもなく、この和声でこのモードと理屈の後ろ盾でおぼえるわけでもない。楽譜がカメラで写したように脳内にしまい込まれるらしいです。
彼のあまりにも鮮やかな暗譜方法の噂を聞いて、多くの演奏家が教えを乞うたそうですが、「憶えるんじゃなくって、写すんだよ・・」みたいなことを言われても、数百曲を暗記している名だたるピアニストたちが「ハァッ・・・ムリっす。」で終わるらしいです。
このルービンシュタインを真似ようとするのが、公立中学通知簿3の子供たちです。
この天才を真似る公立中学生
公立中学の通知簿3がついていて、テストで60点や70点を行ったり来たりしているような生徒が、このルービンシュタインを真似ようとします「成績が悪い子供のカメラアイ/スナップチャット機能付」。
漢字や社会の語句、英単語を教科書をボケェ~っと眺めるだけで「おぼえました」というんです。書かせてみると、もちろんメチャクチャです。それで「書けぇ~! おぼえるまで書けェ~!!」と怒鳴りつけると、「おぼえるまでって、何回書くんですか?」と真顔でおっしゃる。それで「おぼえるまでじゃぁ~!!!」とブチ切れるんですが、大抵は無理強いされて不満な様子プンプンで1回書いて「おぼえました」といけシャーシャーと言うんですな。「成績が上がらない子供の暗記・・・写経に挑戦」
それで、「そんなんでおぼえられるわないやろ! 前のテストでどれだけ間違えてきたんじゃ~!!!」と激怒しても「大丈夫です。」と動じない。安楽な勉強に慣らされてきた子供は、少しの努力を求めると徹底的に牛歩戦術を取ってきます。こうすると大人が匙を投げると知っているんです。
そして、匙を投げられても、テストで酷いことをし続けてもゲームも買ってくれるし、お小遣いもくれるし、痛くもかゆくもないと知っているんです。これが躾ができていない状態の子供です。公立中学では半数以上を占めます。反抗期に入って「サボっている安楽がデフォルト。絶対言うことなんか聞くもんか。」と腹をくくっている子供など、どの塾に放り込んでも無駄です。
あなた方の子育ての結果です。
中学受験経験者はこれがない
中学受験塾で絞り上げられ、テストではそんなことをしていてはまともな点数が取れないと知っているから、少々成績が悪くても中学受験経験がある子供ではこんなバカなことはしません。
この段階で、小学校で野放しにされてきた子供と圧倒的な差がある。埋めようはありません。だって、反抗期を迎えて「ぜったい頑張るもんか!」と腹をくくって大人に反抗してくる子供なんか、もう矯正のしようがないです。
それに、多くの方は、そういう子供に「理屈を言って優しく更生させろ」って言うんでしょ?ムリですよ。そんな手品があれば、その塾は日本中独占してますよ。
だから、成績の悪い子供では、中学受験なしでも、躾のために厳しい中学受験塾に放り込めと言っています。中学生になってこの状態がデフォルトになったら、無理なんです。「中学受験をした生徒としていない生徒の差/埋められないほど大きい」「中学受験を利用して基礎学力を身につけよう!/指導不可能になっている公立中学の半数の生徒」
こんな勉強を続けてきて中学3年生の冬休みに、当初の希望からワンランクもツーランクも落とした志望校の過去問を学習し始め、それでも合格点を取れないとなると、こういう子供たちは「オレの人生がない!」と初めて腹の底から恐怖を感じます。それで3年近く「おぼえられへん」「でけへん」と言ってきたほとんどのことを1ヵ月でおぼえてできるようになって合格点を取ってきます。「中学3年の冬休みまで本気を出さない子供たちの将来」
あるいは、徹底的に頭を押さえつけて規律でがんじがらめにして縛り上げるかです。まともな効率で働けもしないんですから、長時間学習や仕事をさせるしかない。これがこういう子供達を従業員にしなければいけないブラック企業の社員管理です。「これやっとけよな」で勝手に努力してやってくれる成績上位の子供が進む大企業のホワイトな管理では社員は働かないんです。
ルービンシュタインの神髄/香りの付いた音
テクニック的には、今はもっと優れたピアニストは掃いて捨てるほどいます。どちらかというと、工夫もなく、ガンガンと弾き散らすだけです。
でも、ショパンの「この音がこういう響きでここにある」というところに、その音がその響きであるんですよ、このピアニストは。やっぱり、ショパンと同じポーランドの血とリズムがながれているからでしょうか? 東欧と西欧って、和声も旋律もリズムも違いますからねぇ。
そして、何より凄いのは、ルービンシュタインのピアノって、音に香りがついてるんですよ。「人生の歓び」という香りがついている。こんなピアニストは他にいない。だから、「ピアノの王様」って言われるんです。
ルービンシュタインを聞くと、ショパンそのものが、そして本当に美しい人生が聞けます。これが「至芸」ってもんです。