塾でもよくあるお話/話が通じない悲劇/車の修理も子供の修繕も同じ
この社長さんの間違い
10数年前のエンジン不調の原付バイクを持ち込んで、試乗した感触から「修理には新車を買うのと同じ程度の金がかかる。今調子悪いところを直しても、この年代の原付なら次々と新しいトラブルが起こるから、買い替えたほうが良い。」と言うような、まともなアドバイスをしたようです。
ところが、お客さんは「お金がないから、直してほしい。」と言って、話がかみ合わない。ここでお断りしたら良かったのに、この社長さん「じゃあ、ちょっと分解してみますから、診断料で15,000円いただきます。とおっしゃって引き受けたそうなんです。
分解してみると、案の定、あっちが悪い、こっちが悪いと「修理するには、これだけかかる。」ということになったらしいです。すると、お客さんは「ぼったくりだ!もっと安く直せるとほかの店では言っていた。乗って帰る!」「ここは原付も直せないのか!」と激怒したらしいんです。
ここで、この社長さんが唯一犯したミスは「じゃあ、組み立て直すのにお金ください。」と言ったことでしょう。最初に、「分解15,000円で見積もり。納得できずに修理なしで帰るのなら、組み立て15,000円。」と言わなかったことです。
それに加えて、客に聞いて「エンジンの不調さえ直ればいいんですね? とりあえず走ればいいんですね? じゃあ、そこだけ直して修理費50,000円。」でしておけばよかったんです。翌月に他が故障しても、関係のないことですから。でも、根がまじめだからそんなことは言えなかったんでしょうねぇ。良かれと思ってしたことで客から嫌われるのは、私と似ています。そして、良かれと思ってしたことで、訳の分からない客とトラブルになって腹が立つ商売人として未熟なのも私と似ています。
塾でも同じ
このお話は、塾でも非常によくあります。基礎学力も、学習習慣もない生徒で、親御さんも子供も「ちょっと指導(修理)してもらえれば、ルンルン快走だ~。」と言う方がとても多い。
学習への理解不足からいろいろな塾や評論家の商売目的の甘い言葉に騙されていて、プロがまともに話をすればするほど「そんなことはほかの塾では言われていない。」「通知簿3の簡単な勉強も教えられないって、この塾は能力がないのではないか!」とおっしゃるんです。子供だけではなく親までもがそんなことすら理解できていないのが増えてきたと言うことです「この5年間の生徒・親の変化/中流の崩壊は大人社会だけではない」。
でもね、売って終わりと言うような商売とは違い、塾も車の修理屋さんも長い付き合いが必要な仕事ですから、適当なことを言っおいて金さえもらえばいいというだけでは済まない業種なんですよ。でも、集客力のある大手やチェーン展開している個別指導塾はそうしていますがね「スイミングスクールと学習塾や進学校は同じビジネス手法です」。
こういうトラブルを防ぐには
お客様の喜ぶことだけを言い、都合の悪いことは契約書に小さく書き入れて、顧問弁護士を雇って、トラブルがあればシャットアウトする。でも、こんな手法は大企業で、トラブルがあってもびくともしない知名度があって成り立つものです。
そこでできるのは、この社長さんの言うように、トラブルが起きると分かっているお客さんの相手をしないことです。中小企業では、この手法しか実際的ではありません。だから、当塾では契約はゆるゆるで、口でのお約束だけです。一方で、塾説明と体験授業で2時間以上使って、お母さんとお子さんの様子を見させていただきます。別に体験授業は生徒が塾を判断するためだけに使うのではありません。時には、メールや電話の段階で「こら、アカンわ。」と思えばお断りします。
と言うわけで、昨年度後半から何人かの方に入塾希望をいただきましたが、入塾していただいたのは、お母さんが信用できると判断した一人だけです。
ところで、こんなトラブルが起きた車屋さんは能無しなのか?
いや、この動画ご覧いただくとお分かりの通りです。能無しの車屋さんはテスラの修理を請け負いません。海外メーカーで修理が面倒なうえに、パソコン並みの修理体制しかテスラが持っておらず、トラブル必須だからです。また、ギガ・プレスという車体全体を1回のプレス工程で作る手法なために、修理などは難しい特殊な車だということでもあります。
このテスラの特殊性を知らずに「EV最高峰!」って買って「なんでこんな簡単な修理にそんな時間がかかるの!」「なんでそんな高額になるの!」って言う方は、塾でも大手の看板だけで入って「どうして、サクッと成績が上がらないの!」っておっしゃるんじゃないかと・・・。
でも、「大手塾やテスラで修理でけへんねん。高いねん。」って子供や車を安易に中小の修理屋や塾に持って来る客には、とても気を付けないといけません。この動画のように、中小の会社に関しては笠に着てクレームをつける方が多いからです。