子供が少し叱られると激怒する親が劇的に増えています/名門の歌舞伎一門、音羽屋に学ぶ
名門一族のお父さんのやったこと
尾上菊之助、9才の長男を厳しく注意した役者に激怒「息子に土下座しろ!」 怒られた役者は”怒りの引退”|NEWSポストセブン (news-postseven.com)という芸能記事のお話です。
音羽屋には、尾上菊五郎に弟子入りした音三郎(50)という弟子がいます。女形で優秀な方だそうです。もちろん、音羽屋の後を継いだのは息子の菊之助(45)さんです。音三郎さんは年上でありながら、今は菊之助さんの弟子という立場になります。
この菊之助さんの息子さんの丑五郎君(9)は当然名門の跡を継ぐことになり、小学校中学年ながら舞台に立つわけです。けれども、礼儀も芸もまだまだなのは当然です。ですから同じ舞台を踏み、音羽屋を一緒に盛り上げてきた音三郎さんが指導することもあるわけです。
それが菊之助さんは気に食わず、音三郎さんを怒鳴りつけることが度々あったそうです。白粉の塗り方や着物の着付けなどがいい加減なことを注意したときなど(それは周囲の関係者には当然の注意と思えたそうですが)、丑五郎君がお父さんの菊之助さんに泣きついて、激怒した菊之助さんが年上の50歳の音三郎さんに9歳の丑五郎君に土下座して謝るように迫ったこともあったそうです。
こういうことの積み重ねで、音三郎さんもとうとう堪忍袋の緒が切れて菊之助さんと大喧嘩になって、立場上音三郎さんが辞めなければいけない状況にまでなっているとか・・・・
もし、この(それは周囲の関係者には当然の注意と思えたそうですが)が本当だとすると、親バカならぬバカ親ということになります。
こういう方が急激に増えてきています
この状況は塾でも同じです。まだまだ子供がいい加減で、叱ったり、躾をしないといけないことが分かっていない親は論外ですが、受験を経験してきて、職場でも若い社員と接する親では自分の子供がどんなものかは分かっている親も多いはずです。
だから、「ウチの子供は言えばわかる子なので、キチンと指導して成績を上げてください。」とたいていの親御さんはおっしゃいます。こんなことばかり書いている私の小さな塾にわざわざ入塾されるんだから当たり前です。
ところが、この音羽屋の例のように、「もっとキチンとしないと。」「漢字は眺めていてもおぼえられない。書いておぼえる。」「数学は解答を書き写してもダメ。どうしてそう解くのか考える。」「社会もいいかげんにおぼえてテストが悪いんだから、しっかりとおぼえるているかチェックするから。」という、周囲の人から見れば当たり前な指導をしていても、子供が親に泣きつけば、親は激高して「塾を辞めさせます!」と言って来ることが非常に増えています。
その泣きつき方が「あの塾はキチンと教えてくれない。」「怒ってばかりいるので行きたくない。」というようなもので、塾に状況も聞かずに子供の言い分だけを信じた親が「かわいい子供になんてことしてくれるんだ!」と激高するのです。
こんな子供ですから、同じようなことは何度もあったことでしょう。「ウチの子、すぐ大げさに言って泣きついてくる。」と分かってないんでしょうか? 職場でこんな若手社員に苦労してるでしょうに。
急激に増えています
こういう方は以前から一定数おられました。しかし少数でした。もしお母さんが激高しても、お父さんが冷静にたしなめることも多かったのです。
ところが、今やこの激高を止める方がいません。どちらかの親御さんが激高すると、もう一方の親御さんは「面倒は御免だ、じゃあ違う塾に行けばいいじゃない。」となるからです。だって、「塾ではどういう状態なんですか?」とも聞かずにだらしない子供の言い分だけを信じて激高して「辞めます!」って言う人ですよ。下手にかかかわると夫婦生活が深刻なことになるからです。
だから、(それは周囲の関係者には当然の注意と思えたそうですが)という状況でも、音羽屋の当主の菊之助さんには誰も意見できないようになっているんだと思います。もちろん当主からの「恐怖」と夫婦間の「面倒」とレベルは違いますが、同様のことが起こっているのではないでしょうか? 音羽屋のような例が、塾でも急激に増えてきています。
他人事ではバカ親だと思っても自分の子供のことになると・・・
この音羽屋の騒動、この週刊誌の通りだとするとバカな親だと思うでしょう? でも、ご自分が菊之助さんの立場になるとバカ親一直線になる方が非常に多い。そしてそれをカバーする家庭環境がないことも多い。