関関同立合格ラインの英語学習
あきれ果てる予備校や塾の宣伝
グーグルに「関西学院 逆転合格」というワードでサーチしてみると、「高校3年生で偏差値40から関学合格」とか「今から関学に逆転合格」というような宣伝文句の予備校や塾が山ほど出てきます。それも、怪しい小さな塾ならともかく、大手の予備校や塾です。
今や進研模試で偏差値40と言うと、高校3年生で中学生の教科書をやっと読めるかと言うレベルです。英検で言うと3級です。関学に合格するには高校の教科書は楽勝で読める2級の少し上でないと合格しません。だから、自己推薦などでは関関同立クラスは英検2級レベルを指定していることが多いわけです。
正直言って、こういう詐欺まがいの広告に引っ掛かる親って、何なんだろうと思うわけです。受験勉強を経験しているかたでも、平気でこういう詐欺に縋りつきます。
関西学院に受かるライン
別に学校の成績や偏差値を見なくてもすぐに分かります。高校3年生のこの時期に、旺文社の基礎英文問題精講あるいは基礎英語長文問題精講を読めるかどうかだけです。この入試問題集は、大学入試問題から良問がセレクトされてあります。基礎英文問題精講はその入試問題で生徒つまづく個所を選んで10行程度の文章を載せてあります、基礎英語長文問題精講は入試問題全文です。だから難易度の差はありません。
この問題集ができるというのは、単語の解説を見ないようにして自力だけで何とか和訳できることです。和訳と言っても英語を日本語に直すだけで、チンプンカンプンな日本語になっていてはだめです。段落の意味が把握できていて、その中できちんと意訳も含めて意味を取れるように訳せなければいけません。問題文を読み終えた時に、各段落を要約できるかどうかが「読み取れている」ラインです。
この時期にこれができている生徒は関関同立にの合格ラインに乗っています。
関学に受からず、甲南大学になるライン
この問題集を高校3年生になって、難しくてできないというラインです。理由はなにか? 英文法の知識がないから、少し複雑な構文を読めないのです。
今中学校では、文法をほとんど教えません。教科書を和訳して終わりです。不定詞の形容詞的用法や副詞的用法の名前も知らない子供が高校に入ります。高校では、薄い文法の教科書を学習するだけで、ほとんど学習しないに等しいです。この形容詞的用法が主語・目的語・修飾語あるいは同格として被修飾名詞を修飾するなど教えらられない。だから、簡単につまづきます。そういう箇所が満載なのが上に上げた英文基礎問題精講なのです。産近甲龍レベルの生徒には読めません。
そのため、産近甲龍レベルの入試問題は高校の教科書よりやさしく、下手をすると偏差値70くらいの高校の入試問題と同レベルです「中堅大学の最近の入試問題など中学生でも解ける」。
関関同立に行くには?
だから、当塾では高校2年生の夏休みに基礎英文問題精講を始めて、高校3年生で基礎英語長文問題精講で復習します。そうして、秋になって共通テストの過去問や私立の過去問を学習します。
そのためには、高校2年生の夏休みには、英文法をあらかた学習し終えている必要があります。ミドリゼミでは文法の学習に相応しい問題集(塾専用で市販はされていない)を高校1年生の入学と同時に購入してもらい、学校の授業ペースとは関係なく2年の夏休みまでに2~3周学習させて文法をあらかた身に付けさせます。もちろんEvergreenと言った参考書で説明しながらです。
そして、高校2年生の夏休みからはNextStageやVintageといった入試用の英文法・語句の問題集を、長文学習と並行して進めてもらいます。「キチンと塾に来てもらえれば、甲南大学くらいには放り込みます」に書いた通りです。
何度も書いていますが、少子化の影響で、親世代の甲南大学に行くレベルの生徒が今や関学に受かってきます。「関西学院大学は親世代の甲南大レベル/それでも関学が名門になった理由」に書いた通りです。そのレベルとは、学校から配られる問題集をキチンと出来ているレベルです。「キチンと塾に来てもらえれば、甲南大学くらいには放り込みます」に書いた通りです。そんな難しい問題を入試で出しても、レベルの下がった生徒に解けるわけはないのですから、入試問題が学校から配られた問題集レベルなんです。甲南大学など、教科書ができていれば合格してきます。「中堅大学の最近の入試問題など中学生でも解ける」に書いた通りです。
では、どうすれば学校の問題集ができて関学に合格できるようにかるのか? 簡単に言えば、数学では青チャートや黄色チャートを、英語ではForestなどの参考書と付属の問題集をできるようになるにはどうすればよいかということです。
関学に受かるラインの具体例(英語)
例えば、昨日高校1年生から聞かれたIt is the differences that cause many problems. という簡単な文がを参考に説明しましょう。この文では、意味を適当に並べて「たくさんの問題を引き起こすのは差異です。」とほとんどの生徒が訳します。It~thatがあるから、中学で学習した形式主語として認識して、それで意味が繋がるからです。
こういう生徒は、形式主語のIt~thatのthatは接続詞であるから、that以下に cause many problems.のように主語がない句が来るなどあり得ないことが分かっていないんです。となると、中学レベルでは、この文章はthatを主格の関係代名詞として「それはたくさんの問題を引き起こす差異です。」と訳さねばならないのですが、これも文法的に微妙です。なぜなら、主語のItは複数名詞のdifferencesを補語に出来る場合かどうかケースバイケースだからです。
ということで、この文章は高校の教科書に載っている文章だけあって、中学では習わない強調構文だということになるんです。The differences cause many problems.の主語が強調されてIt~thatの間に放り込まれているだけです。ということで「その差異こそが、たくさんの問題を引き起こす。」という訳になります。
こういう説明を高校2年生の夏に理解できる生徒が関関同立以上に進みます。高校3年生の夏休みにやっと理解できる生徒は産近甲龍止まりです。高校3年生の夏休みにやっと基本文法を理解できるようになっているのでは、こういう文章が満載の長文読解をトレーニングする時間がないからです。だから高校の教科書レベル以下の入試問題しか解けないのです。