データで見るこの5年の子供の劣化/理由は親にある
この5年の子供の劣化
日本経済新聞の記事「小6・中3の学力スコア低下、コロナ禍やスマホ影響か 国の抽出調査」によると、以下のグラフのように2021年を境に子供の学力が劣化しています。このデータは小学校6年生と中学3年生で全生徒が受験する文部科学省の学力テストを元に算出されています。
この新聞では、コロナで学校や塾に行かなくなったからだと理由を推察していますが、私は少し違った考えを持っています。

子共の劣化は全体で起こっているのか?起こっていません
では、コロナが明けてから学校や塾に行き出してからもなぜ劣化が継続しているのでしょう? その期間の基礎学力不足からでしょうか? いや、小学校や中学校の学力不足なら数か月もあれば取りかえせるとは思いますが、ヤル気がない生徒ではそう言うこともしないから否定はできません。でもその閉鎖期間は3カ月ほどです。
そして、このデータのもとになった学力テストのレベルというのは受験のようなものではなく、こういうレベルの問題も半数は含まれる基礎学力を調査するものです。この問題は3年前のものだったと思いますが、正答率は55%です。このレベルの問題もますますできなくなっていると文科省は言っているわけです。このレベルの問題を学校に行かなかったからできなかったのは、その後の3年間でフォローしきれなかったからなんでしょうか? いや、そんなことがあるわけがない。

小規模で床面積が休塾を進めた国の規定以下の床面積だった私の塾は塾を毎日開け続けていました。小学校や中学校の授業程度なら、多少の休校があったとしても完全にフォローできます。ところが塾を開け続けていた私が感じていたことは、このデータ通りでした。子供の劣化が止まらないのです。「数回の授業で辞める生徒が増えている/父親が甘い場合が多い/会社もすぐに辞めるでしょう」「数回の授業で辞める生徒が増えている2/もう一つの大きな理由」
以前は、公立中学のホドホドの子供は応用問題はできないが、暗記物や基本問題を根気良く教えれば定着して通知簿をワンランク上げることは簡単でした。ところが、この5年、漢字をおぼえろと言ってもボケ~っと教科書を眺めているだけで間違いまくり、書き取りをして覚えさそうとしようものならその面倒さに強烈な抵抗にあうことが激増していました。10年前にはこういう子供は多くはありませんでした。でもこれが子供が通知簿の3の標準になってしまっています「公立中学に感じる危機/本当に勉強も努力もしなくなってきている」「親が知らない公立中学通知簿3と4のレベルとは?/中学受験は必須」。
もう、教えようがないのです。だからミドリゼミでは公立中学の通知簿が3相応のレベルの子供は、公立私立問わずに預からないようにしています。
子共の劣化の理由/学校と塾編
このような状況を分かっている親御さんは、さっさと中学受験をさせて自分の子供は守ろうとするわけです。でも、緩み切っている子供では中学受験させたとしても、私立でも下位校の子供では劣化を実感しています「公立中学に感じる危機/本当に勉強も努力もしなくなってきている」「最上位の男子は優秀だが、次のレベルの上位に最近は男子が少ない」。
私が日々教えている実感では、神戸大学以上に進む生徒は以前優秀ですし、関関同立に進む生徒もそれなりに努力できます。塾で叱る付けることはありません。塾と指導学習内容を話し合い、それぞれの努力で学習できます。以前とそれほど変わっているとは思いません。
ただ、その下のレベルの子供の劣化が厳しすぎるのです「公立中学の通知簿3は、教えるのが無理になってきている」「公立中学に感じる危機/本当に勉強も努力もしなくなってきている」「塾に行かせても成績が上がらない中学生とは?/公立中学1学期期末テスト前でもすぐ分かる産近甲龍に進める中学生」「公立中学は過半数、進学校でも半数近くはテスト対策もしない/成績が上がらない子供はテスト前でも通常運転」。中学受験させても劣化が止まりません。
そうなっている理由は、中学受験組が半数を占める阪神間では、中学受験塾の授業が先に進んで塾で学習している子供は小学校の授業など聞いてはいません。学校は彼らの休憩場所になっています。一方で問題行動を起こす生徒に圧力をかけて指導することができなくなった学校では、教師は彼らを制御するのに精一杯で授業など二の次になってます。小学校は動物園化しています。この休憩場所遊び場所がデフォルトとなった環境がデフォルトに成績下位の子供ではなっています。
一方、中学受験塾でも、塾の宣伝になるような有名中学に合格できない子供は下のクラスで放置され、小学校と同じような環境で過ごしています。
だから下半分の子供では、中学受験塾に放り込んでも安心することなしに親がしっかりと躾なければいけないのですが、それが出来ていない親が急増している。
最終的に子供の劣化の原因は親にある
ところが、学校や塾に頼らずにしっかりと躾けなければいけない親が最近甘々になって、このだらしない子供の言うがままになっている。特に強烈に感じているのは、父親が甘くなっていることです。
そもちろん、上昇意欲が強く自分から頑張れる子供では親は褒めていればいいわけです。でも下半分のだらしない子供を学校や塾が放置している状況で、母親がその状況に気が付いて躾ようにも父親が甘く、結局子供が野放しになってる状況で、子供が手がつけられないほどだらしなくなっている家庭が増えていると実感しています。
父親が特に甘くなっているのは、最近の労働力不足から企業が若手に媚びへつらいだしてから、父親世代の管理職や先輩社員が若者に遠慮し出した時期と一致すると思っています。企業で刷り込まれた甘い若手教育論を持った父親が、その甘い親に合わせた話をする教育評論家などの「自主性豊かに!」などの話を真に受けて家庭に持ち込んでいるのではないかと思っています「数回の授業で辞める生徒が増えている/父親が甘い場合が多い/会社もすぐに辞めるでしょう」。
最近は、塾でそのだらしなさを少し叱ったら、母親ではなく父親が強烈なクレームを入れてくることが増えています。普段から子供の様子をよく知っていて「そら塾で叱られても仕方ないわ」と思っている母親ではなく、会社では若者ファーストを強いられ、マスコミではゆとりを宣伝され、家庭では子供の実情も良く分かっていない父親が、塾の言い分も聞くことなく「なんで子供を叱ったのだ!萎縮しています!!」と言ってくるのです。
イヤ・・・そら怒られて子供が萎縮するのは当たり前やろ。反省するように叱っているわけだから。子供が萎縮もしない「そうだよね。キミの言い分も分かるよ。」的なことをしてきたから、子供がこんなことになっている反省もないんかい!親が反省もしないから子供も反省もしないねん、遺伝か!
こういう親の場合、塾の説明会では、まず母親を差し置いて父親が塾にやってきて、アレコレとお話しし出します。そういう場合、子供はダメダメなことが多く、少し叱ると後でトラブルになることが多いので、私は塾に来てもらわないようにしています「私の偏見:父親が母親を差し置いて塾に直接コンタクトを取る場合、塾では成果が出ないことが多い」。
こういう親、特に父親の子供は、だらしなく、漢字をおぼえる程度の基礎学習もままならない子供が多いです。そして、こういう子供では中堅中学や高校でホドホドの成績で、よくて産近甲龍は中学生でほぼ決まっています。関関同立に行く子はさすがにしっかりとしていて、こちらが「いい加減にしろ」と叱ることはない。神戸大学以上に行く子供では「全面的にキミを信頼している」という指導が出来ます。
有名企業で働いていて、だらしない自分の子供のことも分かっていない父親は、少なくとも高校からはこうしたしっかりとした友人だけの中で過ごし、会社でもこういう若手社員が入ってくるのです。そりゃあ、自主性豊かに!萎縮させるよりおだてたらよく働く!になって当然です。
でも、あなたのお子さんはそうではないわけです。あなたはそういう人間と15歳以後にかかわりを持っていないのです。だから自分の子供のことを、会社から帰って短時間相手をしているだけでは分かっていないのです。お分かりになってますか?