私立で落ちこぼれを生む土壌/体の発育は良いが脳ミソの発育は良くない子供たち
進学校の落ちこぼれ:第1要因
このことは今まで散々書いてきました。「進学校に進んで、4年半も高校の学習をして、なぜ多くの生徒は関西学院大学にも合格できないのか?」「中学2年で高校の勉強を始める進学校の盲点/発育」「スイミングスクールと学習塾や進学校は同じビジネス手法です」
要するに、上位の成績の生徒の進学実績を上げるために中位・下位の生徒には理解不足になるしかない授業を進めるからです。進学校の宣伝になる大学に合格できるのは上位の生徒だけだから、苦労してできない生徒を教えて少々マシな大学に行ってもらったって意味はないからです。
だから、まず最初の要因は、「難しいことを早く速い進度でやらされて落ちこぼれる。」です。
進学校の落ちこぼれ:第2要因
それに加えて、進学校・進学クラス激増も影響しています。優秀な生徒が分散して、1校当たりの優秀な生徒が少なくなっている。従来の名門校は、新出の進学校や進学クラスに生徒を採られ、従来の質の生徒は確保できなくなっているんです。このことも散々書いてきました。
そんな中で上位の生徒の進学目当てに中位下位を切り捨てる授業を進学校は続けている。進学校・クラスの激増で、生徒の質がどんどん下がってきて、以前より多くの落ちこぼれが出るようになっているのは分かっていても、宣伝になる上位の生徒向けの授業を続けるしかない。
これには親の側の問題もあります。進学校に入った子供では、最初からクラス分けがされている場合を除いて、「学力別クラス編成」なんて言うと、「せっかく入ったのに」と親が納得してくれないから、クラス分けもせず落ちこぼれを大量に生む授業をせざるを得ないんです。
進学校の落ちこぼれ:第3要因
これは今回初めてお書きすることです。それは若者の幼稚化です。
今の高校生を見ていると、おおよそ中学生程度の現状認識力しかない。中学生を見ていると小学校高学年のそれしかない。親世代の感覚で年齢相応の話ができる子供は、最上位の優等生しかいなくなっている。これは大人でも同じで、今の30歳前の一人前の社会人の成熟度は、一昔前の新卒のペイペイの成熟度しかない。
「早生まれの学力不利益/学歴差は就職差になり所得差にもなる」にも書きましたが、子供の成育は学力に直結しています。まともな社会常識もなく世間話も出来ない子供で成績だけが良い生徒などはいない。だから、体の発育は良くても、youtubeの動画を呆けて見ているだけ、あるいはクラブ活動の集団意識の中で参加意識の充足だけで満足している脳ミソの発育が遅れている今の子供たちの多くは、親世代の予想より学力も低いと言うことになります。
お子さんとお話をして、「コイツ、幼いなぁ~」と思ったら、その幼い子供に通常より早い進度で進む私立の授業を受けさせていることは無謀だとおもいませんか?子供を見ずに、受験業界の情報に流されて、子供は落ちこぼれるわ、金は毟り取られるわ・・になっているだけではないですか?
悪いのは、結局、親です
せめて、親は子供の成育状況をきちんと把握し、進学校とはどういう所かキチンと考えるべきです。それもなしに、受験業界に煽られて中学受験で舞い上がって「ひとつでも上の学校に下位で入れる。」ことに熱狂した結果、何が起こるのかよくお考えになってください。