成績が伸びない生徒は多くの問題集を使う
問題集を渡り歩く生徒は成績が悪い
中学生の多いのですが、「これはもうやりました。次何をやったらいいですか。」と何冊も何冊も問題集を学習する生徒が毎年います。そういう生徒は、例外なく、成績が良くないです。
私の塾では、普通の公立中学の生徒には「新中学問題集」という、結構難しくボリュームもある問題集を使っています。この問題集と学校の問題集をやるだけで精一杯のはずなんですが、これらの問題集で「もう全部やりました。繰り返しやりました。」と言って、自分で買った問題集をやる生徒が結構います。親御さんの方も「他に何の問題集をやらせればいいでしょう?」なんて聞いてきます。
ではなぜこういうことを言い出す生徒がいるのか?
私の経験では、理由は2つあります。
まず最初のパターンは、塾の問題集も学校の問題集もやり切ってしまう生徒です。でも成績は良くないんです。なぜでしょう?
理由は簡単で、出来る問題はサッサとやり、出来ない問題は赤ペンで答えを丸写しして「出来た」と思っているからです。出来なかった問題を考えるなどしないんです。だから、何冊問題集をやろうが、出来ない問題は出来ないまま放置されている。
仕方ないので、私がチェックして「ここ、分かってないやろ!」と責めると、「答えは分かりました!」と得意満面です。もちろん「答えを丸写しすることと、理解して自分で解けることは違う。」と言うのですが、こういう子供は決まって「答えは分かってるのに、なんでそこまで言われやなアカンねん!!」と逆ギレするんですよ・・・処置無しです。
一方で、出来ない問題を考え、分からなければ聞き、できるようにるなるまで粘る生徒は、塾の難しい問題集をやるのに精一杯なんです。神戸高校に行く生徒でも、これ以上の問題集は、入試前の過去問の学習などを除いてしません。
勉強をしたアリバイ工作のため問題集を積む
このできない問題、難しい問題を出来るように考えることは物凄くエネルギーが要るし、苦労することです。でも、出来る問題をやり飛ばしていくことは、簡単なことで、時間潰しになります。苦労はしません。
そして、そういう安易な学習を続けた証拠として問題集を積み上げておくと、自己満足になり、親へのアリバイになる。
多くの親は「これだけ頑張っても成績が上がらないのは、なぜなのか?」と塾に相談に来るわけです。もうね、子供の思う壺です。
私は「塾の問題集は良いもので、お子さんの学力では、この問題集をしっかりと学習して、それ以外には余力はないはずです。分からない問題はやりっぱなし。解答を見てなぞるような学習をしているからです。分からないところを詰めるまで学習したら、お子さんの学力でやり切れるわけがありません。塾でも何度も注意していますが、一番しんどい学習から逃げて上辺をなぞるような学習を繰り返して、自分は頑張っていると勘違いしている姿勢を変えないと成績は上がりません。」とお答えします。
二つ目の理由から改善は難しい
すると親御さん方は「じゃあ、そういう点を改善させてください」って要求をしてくるわけです。当然だと思います。
でもね、こういう子供にいくらお説教をしても受け流すだけだし、「つべこべ言わずにやれ!」と言っても、再度解答を丸写しするだけなんです。だって、この努力して安易な学習を続ける子供は、解答を写して答えが分かったことが「分かった」ことと思っている生徒でもあるからです。
「答えが分かった」ことと「解法が理解できて、独力で解ける」ことは違うことが、何度言っても理解できないんですよ。だから、分からなかった問題を考えることなく、解答を書き写した安易な学習を続けます。「分かろう」と改善することはできないから、改善もなく学習の量をこなす方向に努力を向ける。その結果が、出来ない問題はそのまま放置して問題集を積みあげることです。 そんな学習だからいくら学習しても成績は上がらない。
そこで少し厳しく指導すると、「もういやや」「あの塾答え教えてくれへん。難しいことばっかり言うねん。」と親に泣きつき、「改善させろ。」と言ってきた親が「子供が嫌だと言っておりますので。」と塾に退塾の申し出をしてきます「「最近の若者は口だけは一人前で辛抱もない。」とお嘆きのお父様方へ/あと5~6年するとその若者が神々しかった有様になります/でもね、親御様の方が変化は激しい」。
問題は、そういう子供だけでなく、そういう子供を育ててきた親御さん自身が「努力しているのに何で?」と原因が分かっていないことなんです。あるいは、安易で楽な学習に逃げ込む姿勢が沁み込んだ子供を、理解して独力で出来るようにするという自立を求める結構しんどい土俵に優しい言葉で簡単に引き上げれると思っていることなんです。
そんな簡単に引き上げれる子供なら、中学後半になったらもう引き上がってますよ。それでも親御さんは「ウチの子は、厳しく言ってもらえればデキる子なんです。」と言い、少し厳しく言って音を上げたら「もう嫌だと申しておりますので。」と言って来られます。
そういう子育ての結果が今のお子さんであるわけで、親御さん自身が変わらないことには無理だと思いますよ。せめて、「お前はどこに行っても直ぐに弱音を吐いてくる。成績が上がれへんのは学校が悪いんでも、塾が悪いんでもなく、お前のその甘い根性が悪いねん。最後まで頑張ってきなさい。」ぐらい言う親御さんじゃないと、こういう子供の矯正は無理だと思います。
こういう子供の未来
ですから、親が甘い子供の場合この壁は、自分で頭を打つまで気づかせることは無理です。「中学3年の冬休みまで本気を出さない子供たちの将来」に書いた通り、入試直前までこんな学習を続けて、過去問題集をやる時期になって合格点に届かないとなって、初めてこの壁を自ら乗り越えます。
でもね、こういう子供は高校受験でその壁を乗り越えても、高校ではまた元に戻るばかりでなく、いっそうひどいことになります。「高校受験では、最後少し頑張ったら何とかなったから、大学受験も楽勝!」って余計に安易に走るんです。
その結果が「「高2生3割が勉強時間ゼロ 希望進路で差、文科省調査」です。学習内容が格段に難しい大学受験では、t高校受験のように受験前につじつまを合わせるなど無理です。それで早々に尻尾を巻いてFラン大学に自己推薦で逃げるんですけどね。そういう子供たちを見ている私の感想は「中堅私立大学、全入時代/大学は高学歴の判別ではなく、ダメ人間の判別に使われる?」です。