基礎学力への誤解?あるいは無理解
「ウチの子、毎日机の前に座っているのに、成績が・・・」とか「頑張っているのに成績が上がりません。」、だから「勉強方法を教えてもらえば、成績は上がるはずです。」と塾で言われるお母さんとても多いです。
でも机の前に何時間も座っていてもテストで漢字を全滅している公立中学の通知簿3・私立中学の下位校のスカスカでヤル気がない学習に気づいておられない、あるいは解法丸暗記で題意の把握など頭の隅にもない学習に気づいていないお父さんも多いです。
前者は親が愚かすぎますし、後者はまともな指導者の下で学習していないことが原因です。
公立中学で通知簿3の中学生の場合/基礎学力がない
漢字や英単語、それに社会の重要語句をおぼえられないのが公立中学の通知簿3です。私立中学の下位校も同じです。彼らの特徴は、教科書やテキストをボケ~っと眺めて「おぼえました。」という点です。書き取りなどもしないし、もちろん「この部首はこうなっているから・・」などと頭に焼き付けようなどという意識などまるでありません。
それで、漢字という紋様が脳裏にある間は書けるんですが、その画像的な記憶があいまいになると、相応にデタラメな漢字やスペルになります。そして、こういう生徒は、書き順でも部首の組み合わせでもなく、漢字を紋様として画像を記憶していますから、部首間のバランスが崩れた象形文字のような独特の漢字を書くことが多いです。字が汚い子供の文字とは明らかに違います。
書き順を考えて書いておぼえることはないから部首のバランスがおかしい象形文字を書き、画像の記憶が曖昧になると書けなくなります。「当塾のグーグルマップに、このようなバカげた中傷が投稿されました/だらしない子供を肯定して低学力・低学歴・非正規に子供を追い込む悪人たち」「象形文字を書く生徒たち/字が汚いからではない」「読めない・書けない子供たち/それをビジネスにする悪人」
こんなことが起こる原因は、学習のやり方がおかしいからではありません。それ以前に「キチンとおぼえる」という躾が小学校時代にされていないからです。学校でも家庭でも野放しだったからです。都市部では2/3の生徒が中学受験をする現在では、小学校は受験生の休息の場になり、多くの生徒がすでに学習済みの授業など真面目に聞くこともありません。一方で、学習障害があるような子供が親の熱意で普通クラスで授業を受け、教師も彼らのマネージメントで手が一杯になることも多いです。
そんな中で、小学校では「漢字をキチンと書いておぼえる。」などと言うトレーニングはもはやされていないのです。その状況で、家庭でも親がキチンと指導していないとなると、中学受験していない子供の大半はこんな状況になります。中学生になって何とかしようとしても、安楽にどっぷりつかっている反抗期の子供が言うことを聞くことはありません。小学校の時点で、学歴→マシな会社員という将来はアウトです。
だから、こういう子供は躾がされていない動物レベルの状態で、「好きなことしかできない」などと言って中学に入ってきます。親の子育ての完全な失敗です。正直申し上げて、打つ手はもはやありません。だから、生徒を集められる能力がある進学塾では、このレベルの生徒は採らないか、採っても下のクラスに放り込んで授業料徴収要員として放置します。「スイミングスクールと学習塾や進学校は同じビジネス手法です」
公立中学で通知簿4、進研模試などで偏差値50台後半の高校生/勉強しても成績が上がらない
理解するという苦労を徹底的に避けるのが、このレベルの基礎学力不足です。例えば、数学の授業を聞いて、あるいは問題集を解いて解けなくて解答を赤で書き写して「ウン、こう解けばいいのね。分かった。」となっても、一人で問題を解くとあるいはテストで問題を解くとできないというのが、このレベルの生徒です。
要するに、人から与えられる情報を受け入れるだけで、自分で「こうなって、こうなっている。」とか「こういう問題のポイントはココ。」と考えずに聞き流し、解答を書き写しているだけだからです。私たちが興味もないドラマをTVで流し見して、あらすじも何も曖昧にしかおぼえていない状況と同じです。あるいは意識もなく日常生活を送り、「今日の昼ごはん何食べたっけ?」という状況と同じです。
だから「塾に行っているのに、勉強しているのに成績が上がらない」と言います。この場合は状況を見抜けない親御様は多いかと思います。「漢字も出来ていない」などという分かりやすい形で表面化せずに、「少しの応用問題で題意把握ができていない」などという形で現れるからです。
偏差値50台後半~60代前半の生徒の改善方法/「腹に落ちる」までトライする
この生徒の学力を分かりやすく説明すれば、スマホやパソコンの操作に慣れていない人が「次はどこ押すの?、その次は?」と聞いている状態に似ています。スマホやパソコンの操作など、基本的な操作の考え方はどのアプリでもソフトでも共通化されていて、試行錯誤して一度その考え方を身に着けてしまうと後は適当に操作してもなんとかなるのですが、その感覚がないとずっと「次はどれを押すの?」の操作丸暗記をすることになります。
偏差値60台前半の生徒はこの状態です。一度苦労して英文法を基本から学習して長文を読み込んで「英語とはこう作られている。」、あるいは数学の関数などで苦労して条件や場合分けを自力で解き込んで「こう考えれば解ける。」とその方法論を身に着けていないから、いつまでも丸暗記をしては忘れることを繰り返します。
この方法論を身に着けるには、人様に教えてもらう学習、解答を書き写すだけの他力本願を止めて、自分で考えて考えて自分なりの道筋で考える方法を身に着ける必要があります。要するに人の話を聞いて頭の中で「そうか」と思うレベルではなく、「腹に落ちる」まで自分で苦労してトライすることが必要なわけです。もちろん時間はかかりますし、その間は成績は上がりません。けれど、ジャンプする前のこの助走期間がないと本格的な成績向上は特に高校ではありません。
あまり勉強しなくても成績が良い生徒というのは、この助走期間を終え、自分なりのポイントの見分け方や方法論の展開を身に着け、授業を聞いて・解答を見て「ああ、こうすればいいんだ。」と分かるレベルまで這い上がって来た・あるいは天性のものとして与えられていた生徒です。
このレベルの親子の特徴/安直/過去問を解きたがる
そして、このレベルの生徒は助走期間の苦労を終えて収穫期に入っている生徒の成果だけを見て、「私にも、楽に成果が上がる学習方法があるはずだ。」と考えて、親子ともども「勉強方法さえ分かればウチの子も・・」と塾に来られるわけです。
そして、基礎学力も身に着いていない高校3年生を塾に連れてきて「志望校の過去問を解けば合格できるでしょ。学習方法を教えて下さい。」とおっしゃる方も多い。過去問を解いて「ア~、こう解けばいいのね。」と教えられて解法を丸暗記すれば有名大学に合格できると思ってらっしゃるからです・・・そんな安直で合格できるのなら有名大学の値打ちなんかないです。
親子でこんなことを言って来られたら手の打ちようはありません。遺伝って怖い病気なんです。
基礎学力もないのに、どないして入試問題解くんですか?過去問の解法丸暗記すれば、同じ分野でも論点をずらした問題を解けると思ってるんですか? 過去問とはボーダーラインより上の基礎学力を持つ生徒が、「この大学はこの傾向の問題が多い」「この大学のこの傾向の問題は苦手だ。」と受験前に対策を打つために使うもので小手先の安心のために使うものではありません。
改善の難しさ
テキストをボケ~と眺めているだけの生徒、正解を丸写しして「勉強しても成績が上がらないのはどうしてでしょう?」と言っている生徒を、「キチンとしろ」「自分で考えろ」というフィールドに引っ張り出すことはとても大変です。
生徒はその大変さを分かっているから、楽な勉強方法に逃げているんです。いくら説得しても、その安楽の巣穴からは出てこないです。ここで無理や引っ張り出そうとすると、昔は強烈に抵抗したんですが、今は「あの塾分かりにくい。」と言いだしてサッサと塾を辞めます。
何より、高望みの志望校を振りかざして「ウチの子は頑張ると言っています。」と塾に来た親御様が、「サクッといい方法はないんですか?家庭で塾の不満を愚痴られて困ってます。塾辞めます。」と言ってくることです。
その多くは、親御さん自身が、「学校とは違って、塾では何かいいテクニックがあってサクッと成績が上がるはずだ。過去問を解けば合格できるはずだ。それで出来なければ塾が無能。」と本気で思っていることです。こういう親御さんを見ていると、楽な人生を歩いてこられて芦屋なんかに住めてとても羨ましいです。あるいは「家でグチグチと面倒くさい。もう塾辞めたらええがな。本人の人生や。」という、ご自分自身が子供より辛抱がないことも多いです。
・・・・改善の難しさは、この遺伝か家庭環境にあります。「生徒の皆さんに分かって欲しいこと/上位の学校に進みたければ相応の努力が必要だと言うこと」「「最近の若者は口だけは一人前で辛抱もない。」とお嘆きのお父様方へ/あと5~6年するとその若者が神々しかった有様になります/でもね、親御様の方が変化は激しい」