進学校で失敗の根本/中学受験の禍根と親子の夢
進学校に適応できる子供と適応できない子供
「共通テスト対策/二次対策がデタラメな進学校/進学校の浪人増加の原因」などでも散々書いてきましたが、中高一貫私立の進学校の多くは中学2年生から高校の数学、中学3年生から高校の英語を進める学校が一般的です。
もちろん、学校側にすれば、進学校に進む能力がある子供なら中学レベルの学習は2年ほどで終えても落ちこぼれないし、高校の学習を1年以上前から進めれば大学入試の1年以上前にカリキュラムが終わって1年以上大学受験勉強に専念できるという計画です。
ところが、これがうまく機能しない事が多い。灘や神戸女学院と言ったトップレベルの私立なら大丈夫なのですが、それより1・2ランク下でトップクラスが数人京都大学、上位で大阪・神戸大学というような進学校では多くの落ちこぼれを生みます。中学生のまだ発達していない脳に高校の学習を詰め込むことに耐えられる生徒は多くないからです。
このスケジュールでお分かりの通り、特に数学で酷い状態になります。だから、「共通テスト対策/二次対策がデタラメな進学校/進学校の浪人増加の原因」にも書いた通り、学校側の目論見では高校3年生で入試問題を解いていないといけない時期に「チャート式復習しよう!」となっているわけです。
言い換えればこの方式は、有利に働く上位の生徒を神戸大学以上の国立大学に進学させるために、2/3の生徒は切り捨てる方式なのです。だから、中学受験でギリギリ下位で進学校に進むのは落ちこぼれに行くようなものなのです「中学受験と高校受験の弊害/進学校に中位・下位で入るのは愚かです」。
こうして落ちこぼれた生徒に対するバカな親の対応
こうして落ち込ぼれた高校生を親が塾に連れて来て、多くの場合言うことが「学校の成績を上げて欲しい。せっかく進学校に入ったのだから。」です。
その早く速いカリキュラムで落ちこぼれて今でもアップアップして付け焼刃の学習しかできていないのですから、分からないところを復習しながら全教科で成績を上げるのは無理なのです。だから、私は「受験に必要な主要教科の学習に専念して復習していきましょう。当面の成績には目を瞑って1年先を目指しましょう。」と言います。でも多くの親は「いや、学校の成績を上げて欲しい。」と付け焼刃で何とかしてくれと言って来るのです。
中学受験からの強迫観念を持つ子供の対応
子供の方も、中学受験から「塾・学校の成績を上げろ!」と言われ続けてきたので、「成績を上げる」に固執します。一方で付け焼刃の学習の疲れ果てていて心が折れそうになっています。このはざまで揺れ動いているわけです。
中学受験の経緯から決断できない親子
この状態で高校2年生まで来ると、学校は数ⅠA、ⅡBの数学などほぼ終わっているわけです。この状態で「二次関数チンプンカンプン」の生徒が、3番手の進学校では半数以上います。
こうなってしまっては「復習し直して」いる間に受験期を迎えます。だから、「中学受験と高校受験の弊害/進学校に中位・下位で入るのは愚かです」に書いた通り、高校3年生の夏休みにチャート式を復習しないといけないようなことになる。もう手遅れです。
だから「学習に時間がかかる数学は捨てて関関同立の文系に絞って、今から学習すれば追いつく英語と古文を基礎から復習し直して、高校3年生から日本史でもやりましょう。でないと追いつけない。今から数学も理科も共通テストもなど言えば、肝心な英語と国語の学習が伸びずに関関同立も無理になります。」と私は提案します。中学2年生の時点まで遡ってやり直すのは能力以前の問題として、時間的に無理なのです「数学が苦手な生徒の勉強方法/数学を捨てることです」「高校生の数学 1年でつまずく生徒」。
でも、多くの親子が納得しません。だって中学受験ではその関関同立の付属校を蹴ってやってきているわけです。そして、自分たちより下位だった友達が付属校で遊び惚けて関関同立に進むわけです。落ちこぼれているとはいえ、訳の分からない学習に苦労してきた自分たちがそんな大学に進むなど許せないわけです。
これは心情的にはよく分かります。でも、そこで踏み切らないと、その関関同立にさえ進めないのです。こういう3番手あたりの進学校では、真ん中で関関同立、下位では産近甲龍です。こうして進路を誤る生徒が半数近くになるということです。