土曜・7時限目授業の私立の方が公立より有利なのか?中学受験と高校授業料無償化を考える

私立高校は公立高校より有利なのか?高校無償化の影響を考える」というブログの深堀をしてみたいと思います。

私立中高と公立中高の授業時間の差

多くの進学私立では土曜日に4時間、月曜日から金曜日に7時間の授業を行ないます。一方、公立では土曜日は休みで、月曜日から金曜日にも6時間の授業しかありません。私立中学では期末テストの後などに試験休みがあることなども多いのですが、大雑把に言って、1ヶ月で36時間、夏休みや春休みを除くと年間360時間ほど多い授業をします。公立の年間の授業数がだいたい1200時間程度なので、30%も多い授業を私立では受けることになります。

当然、私立の方が有利だとみなさん思われるから、高校無償化などで私立高校に行くわけです。あるいは中学受験で中学から中高一貫校に進まれるわけです。

私立の方も「うちは土曜日にも7時間目にも授業があるので、学習塾などに行く必要はありません。」と説明会やオープンスクールで宣伝する学校も多いです。

では、本当にそうなのか? ここではミドリゼミが塾であるというビジネス上の話は抜きにして、私の考えを述べてみたいと思います。

中高一貫校の進学校では、中学の間は有利に働く

六甲や海星などの進学校以上の生徒、あるいは公立中学でも通知簿で5が並んでいるような最上位の生徒では、学校の授業を受けるだけで中学の学習レベルで分からないところはないはずです。授業を聞くと同時に学習がほぼ完成するのですから、授業数の多い私立に有利なのは言うまでもありません。

だから私立の中高一貫校では、授業時間が多いことも一因で、中学3年間の学習内容を速いカリキュラムで遅くとも中学2年生のまでの二年間で終わることができるわけです。このような進学校では、学校のテストで良い点数が取れなくて成績が悪くても、中学校の学習の基本的なことで理解不足を起こしていて高校の学習の障害になるというような状況までになっている生徒はあまりいません。だから遅くとも中学3年生からは高校の学習に入り、遅くとも高校2年生で高校の全カリキュラムを終えることができます。大学入試までに一年以上の準備期間ができるのですから、私立の中高一貫校の生徒は圧倒的に有利だということになります。

言い換えるなら、公立中学の成績優秀者はもっと学習を吸収できる能力があるのに、下のレベルの子供に合わせただらだらとした学習進度に付き合わされているということになります。とても無駄なことだと実感しています。そうして高校に入って高校三年間で高校の学習を終えて、学校の授業の基礎内容を学習し終わった直後に入試が始まるのです。

特に理系科目が高校3年生まで授業に残る理系進学組では、学校の授業が終わり基礎的な問題集の問題しか解けない時期に共通テストや私立大学の受験が始まります。私立の中高一貫校に比べて圧倒的に不利になります「国立大学の理系には公立高校から現役では難しい?/中学受験は必須」「経済格差は学力格差の理系/でも文系志望なら公立も私立も関係ない」「国立大理系は公立高校から現役ではもうムリ?/理系なら中学受験は必須」。

高校生になったら、過密な授業は有利に働くのか?

このようにカリキュラム上はとても有利な私立の中高一貫校ですが、実際は多くの落ちこぼれ組が出ます「進学校の1/4は中学2年生で落ちこぼれる/国立大学など行けない」「最上位公立高校の中位は下位高校の上位に追い抜かれ、下位は中堅高校の上位に追い抜かれる/中高一貫の私立でも同じことが起こります/最上位校で落ちこぼれる生徒の特長」。

その大きな理由に、私立の生徒では学力不足が起こった際にそれを取り返す復習が充分にできなからではないかと、指導経験上思っています。上にも書いた通り、中学の学習範囲ではそういうことは起こらないのですが、高校の学習範囲になると起こります。

高校の学習は難しく、授業を聞くだけでは理解することができないことが多いからです。あるいは、特に理系科目で、理解できたと思っていても自分で問題を解くと、充分にポイントが把握しきれておらずに解けないことが多からです。理解不足を克服するためには、復習という自己学習に時間をかけなければいけません。ところが授業日数の多い私立では、その復習の時間を充分に取れない生徒が多くいます。特に厳しい指導を売り物にしている私立では、遅くまで授業をする上に、課題をバンバン生徒に放り投げます。学校の課題をこなすだけで精一杯になって、理解不足の復習をできない生徒が非常に多いです。

一方で公立高校の生徒では、そこまで追い込まれる生徒は私立高校よりも少ないです。授業時間に余裕があるために、復習の時間が取れるからです。とは言ってもクラブに夢中になって、学習自体を放棄している生徒では話になりませんが。

過密な授業に落ちこぼれた場合私立は不利になる

私は20年以上生徒を直接個別指導してきましたが、私立の中高一貫校あるいは私立の高校で落ちこぼれた生徒も数多く指導してきました。ところが、こういう生徒の指導は公立高校の同様の生徒に比べて非常にやりにくいです。

理由は明確で、 7時間授業があるので塾に来る時間が短いこと、学校の課題が多いことです。要するに、落ちこぼれている学習の復習を塾で充分できないということになります。 7時間授業の後遅い時間にやっと塾にきたかと思えば、「明日までにこの課題をやらなければいけない。塾が終わった後に家でやっていては間に合わない。」と言って、塾で指導している復習を放り出して学校の宿題をする生徒も多くいます。もちろん、以前の学習も理解不足なのですから、今やってる学習を一人でできるわけはありません。今やってる学習の説明をしようにも、その前の内容が分かっていないのですから説明のしようがなくなります。以前の学習から教えていると、「今日中に終わらない!」ということにもなります。とりあえず解法教えて、生徒はその解法をプリントに丸写しをするというようなことが多くなってきます。

だから、土曜授業や7時間授業のような過密な授業スケジュールが、生徒の役に立っているとは一概には言えないと思います。落ちこぼれた後の私立の生徒を指導することはとてもやりにくいです。私の助けがなく、家庭で一人で課題をしないといけない場合は、問題集の解答丸写しに近い状況になります。これが、進学校に通い、熱心に学習していても成績が悪い生徒の典型的な学習です。学校に押し潰されています。

中には、進学校に入って、進学校でキチンと指導してもらっているのだから、自分の成績や理解不足は棚に上げて、学校の宿題さえしておけばいいと考える生徒も多くいます「落ちこぼれる進学校の生徒の思考/中学・高校受験の塾の「宿題さえやっておけばいいだろう」から抜け出せない」。

じゃあ予習中心の学習にしようとしてみても・・・

私立の生徒を預かる場合にはこういうことになることが分かりきっているので、春休みや夏休みなど長い休みには年前半後半の数学の予習を終わらせようとします。学習に一番時間がかかる数学で前もって理解をしておくと、上に書いたような理解不足が授業ではなくなって課題もすんなりでき、他教科も含めて本人に必要な学習ができるからです「春休みには数学の予習を半年分やる!/中途半端な学習をするくらいなら英国社に専念しよう」「大学受験に失敗する生徒/夏休みには予習をしましょう」。

もちろん公立高校の生徒にも同じように予習をさせるのですが、私立の生徒の方がとてもやりにくいです。理由は学校の課題が多くて自己学習の時間が取りにくいこと、そして補習授業などが長く自己学習の時間が取りにくいことが理由です。

過密授業は中学の貯金を使い果たし、高校ではマイナスに働くことがある

この私立の過密な授業を上手くこなして有利に持って行ける生徒は、進学校では中学生では多いが、高校になると逆にマイナスになることも多い。多くの高校生にとってやり過ぎで弊害の方が多いと思います。予習であれ復習であれその生徒に必要な学習ができなくなっています。

だから説明会やオープンスクールで「私立ですから土曜日も7時間目も授業もあります。夏休みには補習もあります。寄付金などで入学時に少しお金はかかりますが、塾や予備校なんかに行かせる必要はないので、負担は変わりませんよ。」という私立の宣伝文句に安易に飛びつくのはいかがなものかと思います。私立はその過密な指導を宣伝にして生徒を集めようとしていますが、その過密さをプラスに出来る生徒はいいが、マイナスになる生徒は親が予想するよりも多い。だから、進学校に入っても7割は希望通りの大学進学にはなりません「親の選択ミスで進学校の生徒の大半が大学受験を失敗する」「最上位公立高校の中位は下位高校の上位に追い抜かれ、下位は中堅高校の上位に追い抜かれる/中高一貫の私立でも同じことが起こります/最上位校で落ちこぼれる生徒の特長」。

要するに、公立の中学が成績の悪い生徒に合わせたスローなペースで成績の良い生徒に悪弊害をもたらしているなら、私立の高校は過密すぎる授業と多すぎる課題で生徒の自主学習を押しつぶしています。

別にミドリゼミに来いと言っているわけではありません。しっかりと自分に必要な学習をしてほしいということです。

高校から授業料無償化で私立に進む場合

高校から私立に進む場合、中高一貫校の中学校から高校の授業が始まり大学受験に十分な準備ができるというメリットはなく、過密なスケジュールで復習が出来ずに落ちこぼれる生徒も多いというデメリットが多いことになります。多くの生徒指導してきた結果、私立の高校から進んで過密な授業をメリットにして大学受験に成功した生徒は数えるほどです。

その証拠に、公立高校とその公立高校で併願をするレベルの私立とでは、公立校に落ちても私立の方が良い結果が出るという話など聞いたことがありません。

結論

高校無償化で、土曜の授業や7時間授業があって学習が充実しているから高校から私立に入れる親は考えが足りないと思う。

個々の生徒で必要なことが違う予習・復習の自己学習が過密スケジュールで奪われる。もし「ウチの子は自分で勉強しないから」ならどこに行こうが同じ。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。