「もう小学校で英語を教えないで…」中学校教師から悲痛な叫び・・についての所感
「もう小学校で英語を教えないで…」中学校教師から悲痛な叫び、と言う記事の内容
詳しくは「「もう小学校で英語を教えないで…」中学校教師から悲痛な叫び、なぜ”早期教育化”が英語力低下の原因になるのか」をご覧ください。
この記事の概要はこのグラフで分かります。この結果は毎年、全国の小学校6年生を中学3年生が受ける全国学力テストの結果です。中学では国語や数学もこの5年で学力が低下してきていますが、英語の落ち込みがことに激しい。小学生では国語と数学の落ち込みも厳しいです。

この英語の状況について、この筆者は「小学校ではお遊びのような英会話で授業が進められて、文法や読解が主体となる中学以後の英語が嫌いになるからだ。」と要約すると述べています。私もその一面は否定しません。
例えば中学生に単語のスペルや熟語、重要構文をおぼえるように言っても、ボケ~っと教科書を眺めて終わりです。昔の子供のように、頭の中で反復しながら書き取って脳ミソに焼き付けようというような生徒は皆無になってきています。この学力低下が起こる5年以上前では公立中学の成績上位の生徒では書き取っていたのですが、今では成績上位の生徒でもありません。こちらがわざわざ指示してもやりません。そんな努力はまっぴらごめんなのです。
ところが、こんな状況は全教科で起こっている
こういう状況なため、学習内容の低下は英語だけではなく他教科でも起こっています。数学で間違えても正解を書き写して分かったというレベルの子供が激増してきています。そういう子供に「なぜそう解答するのか考えたのか?」と詰めると、「正解が分かったからいいじゃん、クソ面倒くさいこと言うな!」と逆ギレされます。
原因は、小学校で野放しにされて、分からないことを考えることなど強要されたことも、分からないことが分かって達成感を感じる経験もなかったからです。小学校では、中学受験組ははるか先の学習を塾でしていて学校の授業など聞いていません。学校など塾の休憩の場、遊び場なのです。一方で、学習困難な生徒でも親の要望で普通学級で学習することが多くなり、そういう生徒を制御しようにも昔のように強制力を持った指導をすれば、親から強烈なクレームが入るためこういう子どもを野放しにしなければなりません。教師は学習を教えることなど二の次で崩壊しかねない学級運営に精一杯です。
要するに保育園化した小学校でユルユルの学習環境の中で過ごしてきた子供と自分の子供が笑っていれば他はどうでもいいという親によって動物園化した公立校では学習崩壊が進行しているということです。特にコロナ以後、甘々になっている親の下で、より野放しになっている家庭で過ごすことに慣れた子供で最近は酷い状況になっています。特に、親や子供のこのような傾向が強い下半分では顕著になってきていますs。「平成から令和にかけて子供の学力は低下している/公立中学男子のお母さんは特に気を付けよう」。
だから、小学校では国語も数学も落ち込みが厳しくなっている。
一方で、こういう状況でも、中学校では曲がりなりにも定期テストなどがあり、それが歯止めになって国語と数学は落ち込みはまだ少ない。でも、英語だけが落ち込んでいる。この状況にこの記事の中学の英語の先生は嘆いておられる。
中学受験組では違う
でも、これが中学受験経験者だと違ってきます。厳しい競争原理の中で中学受験塾で競争しているのですから、漢字はキチンと書いておぼえる、分からないところは解答を丸写しするだけではなく後でもう一回復習する・・・などなど昔なら普通だった学習が徹底されています。
親の方も、このような公立校の崩壊に気づいて子供を厳しい中学受験に放り込むのですから、「自分の子供さえ笑っていればいい」というような価値観は持ち合わせていません。子供を厳しくしつけることが多い。
だから、大学の付属中学でダレ切っている中学生でさえ、公立中学のソコソコの成績の生徒よりはるかにしっかりとまともな学習をします。この学力の落ち込みと言うのは、全体で起こっていることではなく、公立中学で、特に公立校で野放しされてきて自助努力をする気もない下半数で極端に学力低下が進行していて、彼らが平均点を下げているから全教科で落ち込みが起こっているのだと思います。
では、なぜ英語だけ落ち込みが大きいのか?
それにしても、なぜ英語だけは大きく落ち込んでいるのでしょう? しっかりと学習できているはずの中学受験組でも、筆者がいうような「お遊びじゃない英語は嫌だ」という傾向が顕著が出て、成績下位の生徒のように学力が落ち込んできているからでしょうか?
私は英語の平均点低下の理由は、もっと明確に証拠付きであると思っています。中学の英語の教科書が難しく改定されたことにあると思っています。
国語や数学は以前と比べて大きな変更はありませんでしたが、2021年、ちょうど英語の学力が極端に低下し始めたころに英語だけは大きな改定がありました。その状況は2025年の小さな改定でも進んでいます。教科書が改訂で難しくなったため、上位レベルは何とかついていって学力は多少上がって来てはいるが、学力レベルが下で努力する気もない下半分の生徒の落ちこぼれが激しく、全体的に平均点が急激に下がったのではないかと私は考えています。
具体的には、2021年に中学で学習する英単語が1200語から1800語に増えました。文法の内容は増えませんが、教科書の文章自体も難しくなっています。おまけの、この教科書に大きな問題があり、学習していない文法内容が、学習する以前の章に満載で出て来るのです。教師はそれをいちいち説明しては授業が進まないので、スルーして進めます。文科省の指導で、最近の授業は全員で音読して、教師が訳を言ってほぼ終わりです。子供は文法の理解もなく、なぜそう訳するのかもわからないまま放り出されています。その上、2025年の改定では文法も増えて、仮定法や原形不定詞まで入り込んできています「階層固定化を進める文科省/英語の教科書改訂から」「中学1年生の1ページ目から落ちこぼれさせる英語の教科書/いい塾か悪い塾かの判断材料にもなる/I go to the school to teach English.訳せますか?」。
学習習慣がないというより学習する気もない公立中学の下半数の生徒には、かなり厳しい学習内容に改定されています。彼らが難化した英語の授業についていけずに大きく落ちこぼれて、他教科より足を引っ張った結果なのではないかと私は思っています。
文科省の決断・・英語の教科書を難しくして上位層の国際競争競争力強化、下位層は切り捨てる
この難しくなった教科書を問題なく消化している中学生の英語力は、昔の簡単な教科書を使っていた親世代より高いです。高校になっても、長文読解力、英作文力をとっても、関関同立以上に進む高校生のレベルは親世代より明らかに向上しています。英作文を書かせても「こんなことも書けるのか」と驚くことが良くあります。
私は、この上位層の英語力を伸ばすために授業を難しくして、下位層の英語力の落ちこぼれには目を瞑ったというのが、この一連の英語の教科書改定ではなかったかと思っています。
どうせ、下位の生徒には簡単な教科書でも英語力は身に着かないし、社会に出ても使うこともないのですから英語の学習自体が無駄なのです。問題は、上位層の英語力が他国よりも低く国際競争力に悪影響を及ぼしていることです。多少簡単に教えたところで英会話も読み書きも出来ない下位層の点数を数点あげることではありません。下位を切り捨て上位を守るという国の明確な方針に沿った学力テストでの英語の平均点低下でもあるのです。
小学校でお遊び英会話を教えて、中学でなるべく高度な英語を流し込む文科省の改定は、上位層の英語力アップでおおむね正しかったのではないかと思います。もちろん、この考え方に賛否両論はあると思いますが、現実的な判断ではあるのです。
この英語の平均点低下は国にとっては想定済みのことだと思います。だから、2025年の改定では、一層教科書を難しくして上位層の英語力強化に邁進しているのです。英語の学力格差は今後も広がり続けるでしょう。


