進学校の授業の差を知っていますか? 古くからの進学校との違い PART2
新旧ふたつの進学校の中学1年生
中高一貫の私立の進学校の中学一年生のお話です。大学進学実績は真ん中少し下のレベルで大阪大学というトップクラスに近い進学です。この中学一年生たちは二三か月前までは中学受験の学習に邁進していたわけで、中学の学習さえしたことはありません。
この生徒たちに新旧二つの進学校はどういう授業を進めているのでしょう?
と言っても、ここで比較する旧来の進学校は大正時代に設立ですが、新出の方でも中学校でさえ40年前に設立されています。だから新旧というより、学校の指導方針の差と言ってもいいかも知れません。
授業内容の違い
旧来の進学校の理科の教科書を見て、私は「やっぱりか・・」と思いました思いました。高校の化学基礎の教科書を渡していたからです。この間まで中学受験の勉強をしていた子供が急に化学式・単体・原子構造を終え、融点も沸点も学習していないこの時期に、分留やクロマトグラフィーなどてんこ盛りの授業が行なわれています。中学受験でも学習していない社会でも、明らかに高校の内容の歴史のプリントが配られています。
新出の進学校の教科書は、ごく一般的な中学の教科書で、今「身近な生物の観察」をしています。学校のプリントを見てみると、その教科書内容にプラスαしたもので、このレベルの子供なら容易についていける内容です。社会も同様です。
これが、「新しい進学校躍進の理由 古くからの進学校との違い」で書いたことです。旧来の進学校では、この段階で理解不足を起こし、高校の内容の授業が本格的に始まる中学2年生では、基礎学力さえ身に着いていない状況で高校の授業が本格的に始まり、多くは落ちこぼれます「進学校の1/4は中学2年生で落ちこぼれる/国立大学など行けない」。
新出の進学校では、中学3年分を1年生でキッチリと終わらせて、高校の学習に必要な基礎学力を身につけさせます。「そんな速いスピードで大丈夫なの?」と思われるかもしれませんが、このレベルの生徒では大丈夫なのです。
そして両校とも高校1年生でほぼ高校の学習を終えて、残りの高校2年間は大学受験対策に専念していきます。
一方、公立校では、中学3年分を3年間で教えなければいけない並みの生徒の能力に授業進度を合わせるために、能力の高い子供は飼い殺しにされます。その上、無駄な高校の受験勉強で時間を潰し、結局高校に入ってから高校の勉強を始め、特に理系では高校の勉強が終わった高校3年生では目の前に入試がぶら下がっていて、大学受験に充分が時間が取れません「高校受験の進学塾の最上位コースの中学3年生に感じた「哀れ」」。こういう私立の中高一貫校には歯が立たないというのが実情です「国立大学の理系には公立高校から現役では難しい?/中学受験は必須」。まあ、文系なら高校2年生で公立でも授業が終わるので、そこまで厳しくはないですけどね「経済格差は学力格差の理系/でも文系志望なら公立も私立も関係ない」。
だから、ミドリゼミではこのように提案しています「高校受験を無視する学習の提案 「ひとつでも上の高校など意味がない、高校の予習をしよう!」ミドリゼミの説明会と体験授業」。
旧来の進学校はなぜこんな授業をするのか?その問題点
この授業についていける子供では、高校の授業内容があらかた分かっているので、中学2年生から始まる高校の授業で有利になるからです。逆に言えば、こんな基礎学力の育成もないメチャクチャな授業で、多くの落ちこぼれの子供を容認してまで上位の進学実績を上げたいということになります。
そして、更に問題になるのは、研究者上がりのような教師によって、多くの子供の理解不足などお構いなしに「分かっている人間が分かっている人間に教える」という授業が行われ、分かっていない子供は全く理解できずに、学習に拒絶感さえ抱くようになるということです「進学校の実情/トンデモ授業、生徒任せの学力が多い」「進学校や進学塾に素晴らしい授業や進路指導があるという誤解」。
ところが昔は機能していたこのシステムがうまく機能していないように思います。それで旧来の進学校の進学実績が停滞しているわけです。理由は、少子化と新出の進学校の躍進で、以前はその学校に合格できなかったレベルの子供たちが合格しているからです。だから以前と同じ学力レベルの子供は上位だけになり、その上位の子供だけがこのような授業を受け入れることができて以前と同じ進学実績が出せても、以前ならその進学校に合格できなかった下位の学力の子供は落ちこぼれてボロボロになります。
この状態で旧来の進学校の進学実績は停滞しています。
この旧来の進学校で、こういう授業を栄養に出来るレベルとは?
先日、この旧来の進学校の生徒に質問を受けました。
以下のようなクロマトグラフィーの実験問題です。問題は油性のインクと水性のインクを水で展開した時の差です。水性のインクでは図のように各インクの成分ごとに分離されますが、油性のインクでは全く展開されません。
この状況を示す問題では、①水性インクは水に溶ける、というのが正解です。②油性インクは水に溶けない、というのは不正解だったわけです。そこで、この生徒は②も正解でないのはおかしいと言い出したわけです。
で、私は苦し紛れに「キミの考えはもっともだ。クロマトグラフィーの素材が油性インクと結合しやすいものであった場合、水に溶けても展開できないから・・・というのも考慮に入れたのではないか?」と吸着クロマトグラフィーの理屈を持ち出したわけです。もちろん、この実験で使っているろ紙にそんなものがあるはずもなく、私は誤魔化そうとしたのです。
するとその生徒は「確かに吸着という話は教科書に載っていた。」と納得して私は逃げきれたと思ったすが・・
次の問題の①水性インクでは、水に溶けやすい順に成分が分離されている、という正解で「じゃあ、吸着の話がこっちでは考慮されていない」と言い出して、私はお手上げになり「キミは正しい。問題が考慮不足だ。」としか言いようがなくなりました。
中学1年生の1学期の中間テスト前のプリントで、こんなことを言うのです。この間まで中学受験の学習をやっていた子供が、急に高校の教科書を投げつけられ、クロマトグラフィーの担体の吸着性と展開液の溶解性について、極めて正確な回答を自分で考え「この問題おかしい」と言い出します。その辺の進学校や公立中学の生徒とは段違いの論理性です。このレベルの生徒たちだけが、旧来の進学校のメチャクチャな授業では生き残るのです。

このレベルより下位の進学校では
このレベルより下の進学校になると上位2 ~3割で神戸大学がやっとというレベルになります。ということはこのクロマトグラフィーの問題で紹介したような頭脳の生徒はほぼなくなります。ここで紹介した旧来の進学校のような授業をしていると、ほぼ全員が落ちこぼれることになります。
だから授業内容は、上に紹介した新出の進学校と同じ中学生の教科書に則った授業で行われます。そして授業進度は上に紹介したレベルのトップクラスの進学校よりも一年間遅くなります。中学2年生で中学3年分の授業を終わらせ、高校の授業は中学3年生から始まることになります。私もこの程度の内容とスピードが、「神戸大学に行けたらいいよネ!」というレベル=いわゆる秀才と呼ばれる子どもたちに無理のないものだと思います。それに理系でも高校2年生で授業が終わり、1年かけて大学受験の準備が十分出来ます。
ですから無理にトップクラスの進学校に下位で進むということは落ちこぼれに行くようなものです。それなら次のクラスの進学校で上位2 ~3割で入って、自分より学力が下の生徒の中、理解できる授業を受けて、そのポジションを維持する方がよほど楽です「最上位公立高校の中位は下位高校の上位に追い抜かれ、下位は中堅高校の上位に追い抜かれる/中高一貫の私立でも同じことが起こります/最上位校で落ちこぼれる生徒の特長」。
下手に旧来の進学校に進むと・・・
無理やり旧来の上位の学校に下位で進んで一番怖いのは、上のような授業をやられて、全く理解できずに学習意欲もなくなり学習を放棄して落ちこぼれる事です。しかし、ここで紹介したレベルの同級生は楽勝でついて行く。でも自分は全く理解できずに、状況をどう打破していいのかもわからなくなります。それまで優等生扱いされてきた子供は嫌気がさして学習を放棄してしまい、公立高校に進んでいたなら普通に学習して楽勝で理解できたことさえ分からなくなる。本来なら進める大学に進めなくなる。これが、進学校に無理に入ると起こる悲劇です。私は何人も何人も、こういう生徒を見てきましたが、本人の心が折れているので、手助けは難しいです。
皆さんはこういう授業をするトップクラスの学校の成績分布を実際にに見たことはないでしょう。高校の授業が始まる中学2年生の段階で、真ん中より上にいる生徒の層が半分、真ん中より下に分布している生徒の層が半分にきれいに分かれています。この下位層は明らかに分不相応な学習で落ちこぼれていて、神戸大学などの合格も難しくなってきます。下手をすれば関関同立です。中学受験でははるかに下の生徒が、付属で6年間遊んで進める大学に、苦労して進学校に入って、そこで落ちこぼれて惨めな思いを6年間して進まなくてはいけない。
そして上位の中学で下位にいても中下位の中学で上位にいても、どうせ神戸大学ぐらいになるのですから、中学2年生から高校の勉強を始める必要もなく、中学3年生から高校の勉強を始め高校2年生で全教科の学習を終わり、高校3年生の一年間の受験準備期間があれば充分対策が打てます。
看板欲しさにひとつでも上を狙うのはリスクが高い。そうしないと気が済まないのなら、中学の授業をよく確認してから学校を選ぶべきです。



