「鏡を見る目」と「答案を見る目」は同じ

30年近く塾を経営していると、世間のくだらないステレオタイプ(思い込み)が、いかに現場のリアルとかけ離れているかに呆れることがよくあります。

その最たるものが、「成績の良い子はガリ勉で、服装やおしゃれには無頓着だ」という幻想です。

それは昭和の化石のような大人の勝手なイメージに過ぎません。現在の塾の現場において、有名大学に進む優秀な生徒たちは、男子も女子も、驚くほど身だしなみに気を遣い、おしゃれで洗練されています。

チャラチャラしているのではありません。 彼らには、勉強ができない子が絶対に持っていない、ある「圧倒的な知性」が備わっているのです。

それが、「メタ認知(自分を客観視する能力)」です。

服を選べる脳、選べない脳

おしゃれな生徒は、鏡の前で自分を徹底的に冷徹に評価します。 「この服は自分の体型に合っていない(弱点)」 「この色を合わせると自分の良さが引き立つ(長所)」 そして、合わないと思えば瞬時に着替えるという「改善行動」を起こします。

「他者から自分がどう見えているか」を客観的にプロデュースできる脳。実はこの脳の回路(前頭葉の実行機能)は、勉強において自分の学力を分析する回路と完全に一致しています。

だからこそ、彼らはテストの答案が返ってきたとき、鏡を見るのと全く同じ目で自分の弱点と向き合います。

「なぜこの問題を間違えたのか」 「計算ミスではなく、問題文の条件の読み落としだ」 「この単元の基礎知識の定着が甘い」

彼らは自分のミスを冷静に仕分けし、次の日から「この範囲の数学の問題が理解不足だった」「普段の英語で問題精講で難しい構文を読む力はある。しかしテストで長い文章を出されると時間切れになる。塾で先生に相談しよう」と、具体的な修正行動に移ります。

一方で、身だしなみに完全に無頓着な(客観性の低い)生徒はどうでしょうか。 彼らは鏡を見ないのと同じように、返ってきた答案からも目を背けます。「あー、悪かったな」という一瞬の感情だけで終わり、答案を机の奥に放り込む。自分の弱点と対峙する脳(客観性)が育っていないからです。

大学受験で自滅する「無頓着なガリ勉」の末路

「髪を振り乱して四六時中机にしがみついている無頓着な子」は、中学の定期テストや、高校受験レベルまでなら、力技の「作業量(ただ時間をかけること)「暗記」で突破できる場合があります。

しかし、その先に待っているのは残酷な現実です。

以前から何度も書いている通り、地元の公立最上位校に入学したところで、現役で神戸大以上に進めるのは上位2〜3割のわずかな層だけです。残りの7割は高校入学時の希望通りには行かない大学進学になります「その高校から関関同立に実際は何人合格しているのか?/阪神間の公立は大阪北部の公立より圧倒的にレベルが低い・多くの学部を受験するので延べ合格者数と実合格者数の乖離も大きい」。

この過酷な大学受験というゲームに直面したとき失速するのが、先述した「客観性のないガリ勉」です。 「サボる生徒」だけではありません。彼らは、ただ時間をかけるだけの非効率な勉強法に依存しているため、膨大な範囲と高い思考力を求められる高校の学習に破綻します。「自分のやり方のどこが間違っているのか」を客観的に見直して改善する能力がないため、努力の方向性を間違えたまま自滅していくのです。だからサボっていて自業自得の生徒より悲惨で可哀想なのです。

現代の大学受験を勝ち抜くトップ層は、勉強も、自分の見せ方(身だしなみ)も、すべて高いレベルで「自己管理(セルフプロデュース)」しています。衣服の乱れを整えるように、自分の学力の乱れを日々修正しているのです。

親御さん、我が子は「鏡」を見えていますか?

もし、あなたのお子さんが、自分の身の回りのことや身だしなみに一切の関心を持たず、ただ出された学校の宿題をロボットのようにこなしているだけだとしたら、それは非常に危険なサインです。

それは「勉強に集中している」のではありません。「自分を客観視する能力」が育っていないだけです。

身の回りの環境や、自分自身の見え方すら整えられない子供が、どうして膨大な大学受験の学習環境や、己の弱点をコントロールできるというのでしょうか。

目先のテストの点数だけに踊らされ、子供の「メタ認知能力」の欠如に気づかない親は、高い確率で高校入学後に「こんなはずではなかった」と頭を抱えることになります。

塾選びも全く同じです。耳当たりの良い言葉で「みんな頑張ろう」と励ますだけの塾は、子供のこの致命的な弱点を見抜けません。我が子の未来に必要なのは、現実を冷徹に見極める「客観性の目」を育てる教育です。

改善への訓練と、「先天的な限界」を見極める賢明さ

では、この「メタ認知(客観性)」は、塾での指導や親の口出しによって後からいくらでも改善できるものなのでしょうか。

30年近く子供たちを観察してきた私の結論は、 「メタ認知能力は、訓練で多少の修正はできても、根本的には改善しないケース(先天的に向いていないケース)が多い」と感じています。

もちろん、塾としては全力を挙げて、答案の分析法や自己管理を叩き込みます。これで開花する子はいい。しかし、どれだけ丁寧に「鏡(客観的な現実)」を突きつけても、どうしても自分を客観視できない、自分の弱点から目を背け続ける子が一定数存在します。そして弱点を分かっても何をすればわからない子供はとても多い。そして「じゃあこうしよう」と具体案を塾で出しても守れない子が多い。自分の人生として切迫感を持って判断できる能力がないことも多いからです。これは努力の不足だけではなく、脳の特性、つまり「向き・不向き」の領域でもあります。

親御さんに必要なのは、我が子がその壁にぶつかったと感じたとき、泥沼の課金ゲームを続けることではなく、「この子は学歴勝負には向いていない」と早期に見極めて諦める、大人の賢明さです。ミドリゼミの特徴は「偏差値を・・・」という塾の一般的な相談だけではなく、このような相談・対策も打てることです。

子供の特性を生かすのも親心

学歴を諦めることは、人生を諦めることと同義ではありません。 自分を客観視する「能力」は低くとも、言われたことを愚直にやり抜く「努力できる」という素晴らしい特性(真面目さ、忍耐力)を持つ子はたくさんいます。

そうした子は、変化が激しくAIに代替される中堅大学を卒業して文系オフィスワーカーを目指すべきではなくなっていく。その「努力できる才能」を、身体を動かす現場の職人や、代替不可能な高い技術職の道へと投資すべきです。

AIの台頭で新卒者の採用は減っているのはもう現実です。一方で、人手不足のこれからの時代、職人や現場の技能職の方がはるかに手堅く、高年収で自立した人生を掴み取ることができます。このAIで代替えできないブルーカラーが普通のホワイトカラーより所得が高いという傾向はアメリカで既に始まっています「超一流大学じゃないと大学卒の意味はなくなる? ジョブ型雇用を勘違いしていないか?」。記事でもこういうのがわんさかあります「「ブルーカラーは稼げる」は本当か?アメリカで高収入得る技師たち… 日本ではタクシー運転手も?」「タクシー運転手は年収4割増 「ブルーカラー」職種で伸びる傾向」。

我が子の性質を見極め、勝てない勝負から撤退させることも、真の親の愛情ではないでしょうか。「いや職人なんて・・・やっぱりひとつでもいい大学に」は親の見栄であり、子供の人生にはマイナスな時代が来ていると思います。

ホームページはコチラ

芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。