中学2年で高校の勉強を始める進学校の盲点/発育

中学2年生で高校のカリキュラムを始める進学校の目的

多くの進学校では、中学のカリキュラムを倍のスピードで進め中学2年の半ばに終わらせます。そして中学2年の後半から高校の学習を始めます。特に数学ではその傾向が強いです。

このカリキュラムの目的は、早く高校の学習を始めれば早くカリキュラムが終わり、高校の後半では受験に特化した学習が行えることです。確かに、京大や阪大、それに早稲田や慶応の数学の入試問題は、高校のカリキュラムを普通に教えただけでは解けません。京大などは整数問題を中心に「数学オリンピック?」というような奇問が出ますし、早稲田や慶応は独特なテクニックが必要な問題が出るので特殊な対策が必要です。その対策期間を確保しないと偏差値が70を超える大学は合格できません。

その結果はどうなっているのか?

だから、上の目論見を達成するには、中学2年生の子供に高校生と同じスピードで高校の学習を教えることになります。しかし、この方法では大量の落ちこぼれが出て、落ちこぼれなかった少数だけが高校後半の入試特化学習が身になって有名大学に合格できることになっています。

親御さんはこの勝ち組の素晴らしい進学実績に目が眩んで中学受験されますが、大半の落ちこぼれ組が「こんなことなら公立に行ってのんびり勉強していても変わらなかった」のはおろか「公立でのんびりゆっくり勉強していたら、落ちこぼれて基礎学力も身に付かずに、こんな悲惨なことにならなかった」ということには目を向けません。

ですから、進学校ビジネスでは、少数の成功者を出すためにどれだけ生徒が落ちこぼれようとかまわないんです。「スイミングスクールと学習塾や進学校は同じビジネス手法です」に書いた通りです。

その結果、下位校に上位で進んで相応のゆったりとした授業を受けた生徒に、多くの進学校の生徒は追い抜かれることになります。「進学塾や進学校の生徒が抱える学習問題・・根っこは親です」「進学校の生徒が普通の高校の生徒に追いつかれる理由」に以前書いた通りです。

では、この原因の最大の理由は?

脳の発育も十分ではなく理解力も乏しい中学2年生の子供に、理解力が必要な高校の学習を、高校と同じ教え方とスピードで教えるからです。中学2年生と高校生とでは、体格も全く違います。脳の発育も相応に違います。「早生まれの学力不利益/学歴差は就職差になり所得差にもなる」の通り、人間の動物としての発育は学習にとてもとても大きな影響があります。それに応じて文科省は学習を配分しているんです。それを無視して発育が十分ではない子供に無理やり難しいことをさせるんですから、文科省のカリキュラムに沿って教える公立より落ちこぼれが多く出るのは当然の帰結です。

進学校で成績が伸びないもう一つの盲点

早生まれの学力不利益/学歴差は就職差になり所得差にもなる」のお話や、私自身の経験からも、中学受験はもとより、高校受験の成功の理由も二つあると私は考えています。一つは能力が高いこと。もう一つは発育が速いことです。同じ能力のキャパシティなら、発育が早く理解力も早く身に付いている方が入試に有利なのは当たり前です。

私の経験から、服も親に買ってもらい、おしゃれにも気を使わない子供っぽい生徒の成績が良いことはまずありません。人間の発育は勉強だけ優位に働くようには出来ていないんです。成長過程の子供に理解力以上のことをいくら押し付けても無意味です。その証拠に、中学時代あれほど難しかった問題集を、高校生や大学生になってみるとその分野の勉強などしていなかったのにアホほど簡単に見えます。勉強とはそういう側面もあるんです。だから、私が「努力すれば成績は上がる。」と言う親御さんに「これ以上やらせてもムリです。」というのは、こういう理由もあるんです。ただし、これには例外があります。「学習障害なほど理系」という数学など感覚で解けるという生徒には当てはまりません。

ところが発育は年齢が上がるにつれて差が縮まってきます。中学受験では大差をつけて勝利した早熟な中学受験組が、高校生になるとゆっくりと成熟してきた中学受験の敗者に追いつかれるんです。早い授業で理解不足な上に、学習能力の土台はライバルと同じになっているんですから、逆転されることも大いにある得るわけです。

だから、進学校でも下半分の生徒は、下位校の生徒に軽々と追い抜かれるんです。

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。