見込みを話す進路指導と話さない進路指導/1時間でも2時間でも本音をお話しますよ、私
塾の仕事とは何か?
普段の学習を見て、そしてテストの結果を見ると、私のように長い間塾を経営して色々な子供を教えてきた人間には、「コイツ、今はこの辺でも、もう少し行けるのかな。」とか「頑張ってるけど、ここらが精一杯やな。」と大体の予想はつきます。もちろん、私の予想が外れることもあるし、予想通りのことを生徒がしてきてくれずに私もブチ切れていることもあります。まあ、後者が圧倒的に多いです。
予想というのは、すべての業種・事象に置いて絶対はなく、予想を顧客にビジネスで話すことはリスクがある行為なのです。
でも、株の予想から、飲食店の業務見込みから、子供の成績に至るまで、お客さんはこの予想を聞きプロの元に行くわけです。だから、私は予想や見込みを話すのは、塾の仕事だと思っています。外れていれば理由を言って謝ればばいいんです。そして、生徒や親のために、早く軌道修正することです。
それで、「信用できない。」と言われるのなら、仕方がないと思っています。
ところが、そうではない考えもあります
模試の偏差値や通知簿の成績から、「この学校なら行けますね。」というのは、予想ではありません。データの解析結果を話しているだけです。模試の偏差値から大学予想するだけなら、別に塾や予備校にわざわざお伺いを立てずとも、添付の資料を見れば「今回の結果では〇〇大学あたり」ということは、生徒にも親にも分かります。だから、現状分析など塾や予備校の仕事ではないと私は思っています。
さらには、それすら言わない教師や塾もあります。具体的な大学名を上げて、それで落ちてきた時に責められるのが嫌だからです。私としては、コイツらは最低限の仕事も放棄しているに等しいと思えます。
もちろん、そういう判断をする人はリスクを恐れる人ばかりではなく、不確定な予想を言う私のような人間は無責任だと考える人もいるでしょう。そうであるなら、これはどちらが良い悪いではなく、教師や講師の考え、あるいは塾の経営方針そのものだと思います。
だから、どういう塾を選ぶのも、親の考えひとつです。
でも、私はプロの経験や予想を話すのは大事だと思います
例えば私がパソコンを買いに行った時に、「こういう業務なら、このクラスの製品を」というような、ネットでもパンフにでも書いてある当たり前のことしか言わない店員になんか用はありません。そんな説明だけでいいなら、ネットで調べて店頭より安い直販サイトで買います。
私が欲しいのは「この企業の製品は比較的クレームが多い。」「モデルチェンジして、修理依頼が多くなった。それは、こういう部品を使いだしたから。」というような、ネットなどには載っていないプロの店員の経験と判断です。別にそれで自分が買ったパソコンが1年で壊れても文句は言いません。入試と同じで、製品にも当たりはずれはあります。客観的には優れたアドバイスでも当たるとは限りません。でも、私が求めるのはプロの目と経験です。
ところが、最近は責任を取らされるのを恐れて、あるいはまったくの勉強不足からか、「お客様の判断ですから。」「どの製品でも一緒ですよ。おなじCPUですから。」としか言わない店員が多い。主要部品に差はなくても、素人には分からないしカタログにも載っていない小さな部品の金のかけ方で製品の寿命が決まるのは車から家電製品からパソコンまで同じです。それを説明できないのなら、わざわざ店頭まで足を運んでオンラインショップより割高な製品を買う必要は私にはありません。
だから、この15年以上、私は店頭でパソコンを買ったことはありません。
塾選びの基準として
私なら、塾も同じだと思うんですよ。というより、成績や能力という不確定な要素を相手にしている塾では、こういう話を親と出来ることが一番大切なことだと思います。塾の講師や責任者が、どういう事を話してくれるか、どこまでざっくばらんに本音を言ってくれるかというのは、私ならとても大事にすべき塾選定のポイントになります。通り一遍の、その辺の「子供の自主性を大事にして」とか「問題を自分で解かせます」とか、「この偏差値ならココですね」というような通り一遍の言葉には用はありません。
私は、親が話を聞きに来たら、電話をかけてきたら、1時間でも2時間でも付き合います。この前も、塾が終わってからお母さんが来られて、11時までお話しましたよ。もうヘロヘロになって、晩飯も食われへんかったやないか~い! 土曜日も電話で長話になりました。
情報や私の経験を話すだけでなく、お母さんが「分かってはいても、気持ちで納得できない。」というところが収まるまでお話ししましたよ・・・・これも塾の仕事だと私は思っています。