中学の数学は優秀、でも高校の数学で落ちこぼれる生徒の特長
優秀な生徒では、中学の数学など勉強しなくてもソコソコ解けます
中学の数学など、ソコソコ優秀な生徒では楽勝です。だって、解法や題意の意図の把握は楽勝です。別に勉強しなくても学校の授業を聞いているだけで、問題集やテストで7割以上の問題は解ける。それに、勉強しなくては解けない難問の解法パターンの数も知れています。代数系統の方程式・関数・確率などで数種類ずつあるだけです。それぞれ数時間も学習すれば事足りる。幾何は少し面倒ですが、一番複雑な相似でも10個もあるでしょうか? 別に塾に通わなくても、問題集で勉強していれば自然と身に付きます。
私は中学校の時に通っていた進学塾は辞めました。当時は今ほど授業が整備されていなくて、ロクな授業がなかったので、わざわざ塾に通うより、自分で学習した方が効率的だったからです。
だから、クラブ漬けであまり学習していなくても優秀な生徒はソコソコの点数を取って来るわけです。こういう生徒をダシにして、何度も繰り返し学習して必死でこれらの解法を身につけないといけない生徒が「クラブで勉強する時間がない。」と活動の厳しいクラブの顧問の教師に言っても、「デキないのはキミの学習管理ができていないから。」などと平気で言うんです。
生徒間較差を一番分かっている教師が、クラブでいい成績を上げて実績を残したいがために平気で生徒を犠牲にしている。「とあるクラブ活動とブラック企業の類似性/でも悪いのは親」に書いた通りです。そこは誤解してはいけません。
でも、高校に入るとそうはいかない
だって、解法や題意の把握が複雑になって、授業を聞いているだけでは理解できても、自分では実践できないからです。だから中学の学習など楽勝だった生徒でも演習をする時間を取らなければ、必ず落ちこぼれます。
ここで、真面目に勉強しているようで落ちこぼれる代表格が「チャート式」を使って勉強する一部の生徒です。こういう分厚い問題集は、例題と解法を丁寧に説明してあり、その下に類題を載せてあります。中学時代に楽勝で乗り切った生徒では、題意把握も問題を解く中で自然と出来ていたので、この例題の解法をなぞるような形で類題を解いて「高校も楽勝!」ってやるんです。
ところが、模試になると解けない。高校の学習ではなぞるだけで解法のポイントなど理解できていないからです。自分で考えを整理して「こう解く」「ここがポイント」と把握してから、解法を見ないで独力で類題を解かないといけないんですが、時間がかかり苦労する学習をする優等生は少ない。
その上、最近の高校教師は例題解法暗記を推奨している
その上、最近の高校のテストでは、このチャートの例題レベルの簡単な問題を数多く出して、解法丸暗記で対処しないとテストで高得点取れないような定期テストをして、チャートを宿題で丸投げして解法丸写ししたノートに平常点をつける教師ばかりになってきている。
必然的に、生徒は解法丸暗記に走り、丸暗記しきれない生徒は学校のテストの段階で落伍して苦手意識を植え付けられるということになっています。
その上、入試問題は解法のポイントを整理しきれていない生徒には解けない
丸暗記だけでは身に付かない解法のポイントが組み合わさっているのが模試や入試問題です。しっかりと理解できているか受験生を試しているんです。
しっかりとポイントを把握しきれていない高校生がつまずくポイントなど、出題する側にはお見通しです。だから、宿題でチャートの解法を写しして、定期テストで高得点を取ろうと解法丸暗記している生徒には歯が立たない。この原因の多くは、高校の授業と教師にあります。
もちろん、こういう教師・学校では生徒がさばき切れないほどの宿題を出して、生徒は考える時間などなく、解法をなぞるだけの学習しかできないということも、大いに関係あります。
だから、高校の教師の進路指導は失敗する
だから、上位の国立大学の入試問題や模試などでは、定期テストで高得点を取るだけの優等生には全く歯が立たなくなってきている。だから、多くの高校では、暗記能力もポイント把握もできる最上級の優等生は定期テストでも模試でもいい点を取りますが、その次のランクでは定期テストが得意な生徒と模試が良い生徒に別れる傾向がある。これが、中学と高校の大きな差です。学習ポイントの把握など難しくない中学では、定期テストと応用問題への適応力は比例関係にありますから。
ところが、多くの高校の教師、特に公立高校の教師では、このような生徒の学力全般を把握せずに、定期テストの学年順位で安易に進路指導しがちです。その生徒の応用問題への対応力がどこまであるのかは模試の偏差値を見ればわかるんですが、それさえ見ていない教師が多い。「教師の無責任な一言で失敗した優等生の大学受験」の通りです。
ミドリゼミの指導
多くの生徒では、チャート式では応用問題を解ける学力は身につけられません。どうしても、解法丸写しや解法丸暗記になってしまうからです。4ステップなどの解説が少ない問題集でも同じことが起こります。何故なら、学校の課題が多すぎて、生徒は理解もせずに答え合わせだけをせざるを得ないからです。
だから、学校のペースに振り回されないように、春休みや夏休みの自由に時間が使える長期の休みに、徹底的に予習をします。それぞれ半年分の予習をします。自分のペースで考えさせ、ポイントを掴ませるんです。この春高校に入った生徒は、中堅高校の生徒でも、因数分解も二次関数も集合も命題もすべて予習で終わっています。だから、授業が始まり学校の授業で暗記を強いられても、膨大な学校の課題が放り投げられてもアップアップしないんで済みます。もう理解は終わっていて、復習として授業を受けて課題をすれば済むからです。
そして、学校に先立った塾の学習が終わる2年の夏休みから、入試問題を解かせます。より時間をかけて、ポイントがどう組み合わさっているのか、自分で考え抜かせます。1年生からこれだけのことをし続けると、ソコソコの高校に進める能力があった生徒では国立大学に進みます。そこまで行かない生徒でも関関同立に進みます。