オリンピックから考える模試と入試/浅田真央とキム・ヨナ
浅田真央はキム・ヨナに勝てなかった
浅田真央は常に高難度の技に臨んだアスリートでした。一方、キム・ヨナは高難度な技よりも確実にできる技を磨き上げ芸術的な表現に到達した表現者だったと言ってもいいかもしれません。
ひょっとしたら、幼く見え、動きもどことなく直線的な浅田真央は表現力と言う点ではキム・ヨナに勝てないから、技術点で上回るしかない。だから高難易度な技に臨むほかなかったのかもしれません。
その結果、浅田真央は常にできるかできないか分からない技にチャレンジせざるを得ないことになり、失敗が多く負けが多いスケーターでした。
関関同立はそこそこのキム・ヨナでなければならない
このクラスの生徒は基本問題は出来ますが、難しい問題はできません。だから、できる問題をどれだけ確実に解けるかが勝負なのです。できない問題はパスすればいい。
何度も書いていますが、数学などではその対応がよく分かります。教科書やチャートの例題をキチンと仕上げ、その難易度の大問の①②を確実に解く。チャートのエクササイズレベルの③は捨てる。これで65点取れる。
進研模試で65点取れれば偏差値は70近くになり、関関同立のA判定が出る。本番の入試のボーダーも60点程度なので、合格ラインに乗る。
難問に挑戦して時間を食い、どうせ間違えて、簡単な問題を解く時間が無くなり玉砕すれば、いくらチャートを真面目に学習していても落ちる。
練習で軽く解ける問題をキチンと解けば、それで受かる。ところが残念ながら、このクラスの生徒は、そういう戦略を練り、実際の試験会場で作戦を実行する能力がない。教師や講師も問題の解き方は教えるが、戦略も作戦も教えない。訓練もしない。
特に塾や予備校では、「この講座も、この対策も」と金を剥ぎ取ることしかしない。多くの場合、このクラスの生徒は学力の底上げと共に、戦略と作戦を指導することが必須。
神戸大や北大レベルでは、全力のキム・ヨナでなければならない
神戸大レベルでは関関同立より問題は難しいです。けれど、「これは一体何なんだ?」と言うような大阪大学や京都大学が出すような奇問、あるいはアプローチが独特な早稲田や慶応のような難問ではない。
少し難しいオーソドックスな問題で、数研の入試問題集でこのレベルの国立大学の入試問題に慣れておけば解ける。だから、高レベルの頻出問題を確実に解く学習が必要です。まあ、マジに練習するキム・ヨナが必要なわけです。
このクラスの生徒では、自分で戦略も作戦も練れる。何をいつまでに、どのレベルの仕上げればよいのか理解できている。だから、最初に戦略を話し合っておけば大抵のことは片が付く。
ただ、共通テストもあり、受験科目も多い国立大学志望者では、3科目受験の私立とは違い、学習のスケジュールを早め早めに管理していく必要がある。「国立大学志望者の学習 Part1」「国立大学志望者の学習 Part2」「国立大学志望者の学習 Part3」「高校生の数学 国立大学に向けて2年からの学習」「2学期の過ごし方/高校生編・これができていないと国立大学は無理です」最初に話し合ったこのスケジュールを管理することが塾の一番大切な仕事です。
難問を出す大阪大学や京都大学では浅田真央の素養がいる?
問題は、大阪大学や京都大学と言う、奇問を出す大学です。
こういう大学では、ボーダーラインの受験生は解ける問題と、見たこともない奇問とから入試問題が構成され、奇問では正直私にも解けない時があります。ですから、いくら京大志望で優秀だとは言え、よほど数学が得意な一部の生徒を除いて現役生に解けることはないです。「国立大学の数学、入試問題の風格あり。 どれだけの努力が必要か分かります?」
ということで、京都や大阪大学では確実に解ける問題を確実に押さえて、できない問題は放り投げて、後は共通テストの得点で逃げ切るというのが王道です。
だから、数学が得意な生徒が調子に乗って「大学への数学」などで難問対策をして共通テスト対策をないがしろにすると、共通テストで失敗して、二次ではどうせ新しい傾向の問題に解けずに落ちることになります。
ですから、やはり必要なのはキム・ヨナの素養であって、浅田真央のチャレンジではありません。
受験でも浅田真央はキム・ヨナに勝てません
「大学への数学」なんかを得意げに解いている偏差値70のキミ。無駄です。その前に数研の入試問題集でも確実の解けるようにした方がいい。その前に、テストの受け方、受験までのスケジュールをよく考えた方がいい。