「褒めて育てる」という欧米の嘘――アメだけでムチがない日本公立校の「動物園化」

日本の自称・教育評論家や、ぬるい個人塾の経営者が金科玉条のように唱える大嘘があります。 「欧米を見習え。あちらは子どもを怒らない、褒めて自主性を伸ばす教育だ」という教育論です。

これは欧米の教育の「アメ」の部分だけを都合よく切り取った、ただのファンタジー、あるいは悪質な詐欺です。

本当の欧米の教育システムの本質は、日本とは比較にならないほど「冷徹で、容赦のない、階級固定の選別主義」です。サボった子どもを合法的に、かつ早い段階で社会の底辺へ叩き落とす「最凶のムチ(足切りシステム)」が完備されているからこそ、表向きの「褒める」というアメが機能しているに過ぎません。

アメリカ大学入試の裏側 〜「推薦状」という美名のブラックボックス〜

日本のAO入試や総合型選抜のお手本とされるアメリカの大学入試。そこでは「学力(テストの点数)だけでなく、人間性や課外活動、そして推薦状を総合的に評価する素晴らしいシステムだ」と日本のメディアや凡庸な教育専門家は絶賛します。

しかし、現実はそんなに美しくありません。むしろ、これほど不条理で、格差を固定化し、親から主導権を奪い取るシステムはないというのが、アメリカの教育の「不都合な真実」です。

特にその象徴が「推薦状(Letters of Recommendation)」です。なぜこの推薦状が合否において絶対的な優位性を持つのか。そこには綺麗事の裏に隠された2つの醜い現実があります。

1. マネーパワーで「偽りの徳性」を買い取る上流階級

アメリカの入試において、ボランティア活動やNGOでの実績は高く評価されます。ですが、ここには凄まじいマネーゲームが存在します。

アメリカの上流階級の親たちは、富裕層向けに用意された数千ドルから数万ドル(数百万円)もする「海外ボランティアツアー」に我が子を参加させたり、特定のNGOや財団に巨額の寄付を行ったりしています。

彼らの目的は一つ。その組織の代表や著名人から「この生徒は素晴らしい徳性を持ったリーダーだ」という、見栄えの良い推薦状を合法的に買い取るためです。

つまり推薦状とは、純粋な子どもの努力の証明ではなく、親の資金力によっていくらでも強化・捏造できる「非対称な武器」に過ぎません。

2. 生徒を人質に取り、親から教育の主導権を奪う教員組織

もう一つの闇は、教育現場(学校や教師)による権力の肥大化です。

大学進学において教師が書く推薦状に「絶対的な生殺与奪の権」があるため、生徒も親も、学校に対して一切の異議申し立てができなくなります。

近年、アメリカの教育現場では、一部の過激な思想教育や実験的なカリキュラムが横行し、社会問題となっています。本来であれば、親が「そんな教育はやめてくれ」と抗議すべきところですが、それをすれば「推薦状を人質に取られる(不利なことを書かれる、または熱意のない推薦状にされる)」ため、親は沈黙せざるを得ません。

つまり推薦状というブラックボックスな制度は、教師側が生徒を都合よく管理し、本来あるべき「家庭(親)の教育主導権」を国家や教員組織が奪い取るための政治的ツールとして機能しているのです。

3. 法律によって担保された「完全な非公開(ブラックボックス)」

この社会的身分の固定あるいは教師のコントロールを担保する大前提として、アメリカの推薦状の中身は「親も子も絶対に中身を見ることができない」仕組みになっています。 連邦法(FERPA:家族教育権利とプライバシー法)により、学生には自身の教育記録を閲覧する権利が認められていますが、大学出願の際には、この「推薦状を閲覧する権利」を事前に放棄することが事実上、義務化されています。権利を放棄していない推薦状は、大学側から「客観性がない」とみなされ、まともに評価されないからです。

法制化されたカベに守られ、推薦状は完全な暗黒のブラックボックスと化しています。だから不正や歪んだ力学が、誰にもチェックされることなく横行するのです。

ヨーロッパの絶望:10歳で人生が確定する「早期選別」

ヨーロッパはさらに残酷です。彼らは10歳前後(国によっては8歳〜12歳)という、「親の経済格差や家庭環境が、子どもの学力差に一番モロに影響する年齢(こんなことは、中学受験を経験されたご家庭なら誰でもお判りでしょう。)」の段階で、人生の進路をスパッと分断します。

例えばドイツのシステムなどが典型的ですが、小学校を卒業する10歳の時点で、将来大学に進学して上流・ホワイトカラーになるルート(ギムナジウム)と、職人や現地の労働者になるルート(実科学校・主要学校)へ、学校側の判断で容赦なく振り分けられます。

この年齢の子どもが、自分の意志で「将来のために努力しよう」なんて思えるわけがありません。結局、親が賢く、経済力があり、家庭環境が整っている上流階級の子供だけが自動的に生き残る。努力できない家庭の子供、環境の悪い子供は、10歳にして「一生労働者として生きる道」を確定させられ、二度と這い上がれない仕組みになっているのです。

ヨーロッパの主要国では、どこもほぼ同じです。イギリスは同様の足切りが13歳で、イタリアは14歳で、フランスは少しマシで16歳で行われます。

日本人なら「いや早すぎるだろう。せめて18歳の大学入試で……」と考えます。当然、現地でもそう考える人が多く、制度の改善が望まれていますが、一向に改善しません。なぜか? 上流・元貴族階級という政治的な絶対パワーが、自分たちの家系(既得権益)を守るために、システムの存続に固執しているからです。ドイツ、イギリス、イタリア、フランスという年齢順でもお判りでしょう。貴族階級の文化がいまだに色濃く残っている国ほど、選別の時期が早いのです。

これに比べて、日本の入試制度がどれほど公明正大なことか。

「年齢で自動進級」は日本だけ:小学校から容赦ない「落第(留年)制度」

さらに、日本の教育信奉者が意図的に目を背けているもう一つの冷徹な現実が、欧米の「義務教育段階における落第(留年)制度」です。

日本では「義務教育なのだから、どれだけ授業をサボっても、授業の妨害をしても、4月になれば全員一緒に進級できる」のが当たり前となっています。しかし、欧米ではそんな甘えは一切通用しません。

アメリカの多くの州や、フランス、ドイツなどでは、小学校の低学年であっても、必要な学力や出席日数に達していなければ容赦なくその学年に留年させられます。

昨日まで一緒に笑っていた同級生たちが上の学年に進む中、自分だけが教室に取り残され、年下の子供たちに混ざって授業を受ける。この精神的・社会的なペナルティが、幼い子供にとってどれほどの恐怖か想像がつくでしょう。欧米の親や教師は、子供が宿題をサボれば「このままだと落第して、来年も同じ学年をやることになるぞ」とリアルな脅しをかけます。

欧米の子供たちは、決して大人の「褒め言葉」に動かされて自主的に勉強しているのではありません。「小学生にして落第を喰らい、同級生から落ちこぼれる」という生々しい恐怖があるからこそ「褒めて育てる」の歯止めになっているのです。

アメだけでムチを忘れた日本の末路:小学校の「動物園化」

欧米には、これほど恐ろしい「推薦状」や「早期足切り」、それに加えて「留年」というムチがある。だから、子どもたちは「サボったらマジで人生が終わる」という冷徹な現実を肌で理解している。だからこそ、先生に「Good job!」と褒められるために、必死で宿題をするのです。

ところが、この恐怖のシステムを一切導入せず、「子供を怒ってはいけない」「褒めて育てよう」というアメだけを日本の教育現場に持ってきたらどうなるか。結果は、今の公立小学校を見れば一目然です。「学級崩壊」という名の動物園の完成です。

日本の公立校は義務教育である以上、どれだけ授業を妨害しようが、宿題を丸写ししようが、落第(留年)させることは絶対にありません。教師に睨まれたところで、高校入試の内申書にクソボロなことを書かれて入試で落ちるリスクもありません。公立高校の試験の判定において、合格判定に使われるのは「通知簿の得点」と「入試当日の学力テストの得点」だけだからです「公立中学の調査書とは? 実際の兵庫県教育委員会の資料で説明します/兵庫県知事選と同じでネットが闇を照らした」。

もちろん学校の通知簿には授業態度も反映されますが、よほどのことをしない限り、テストで80点を取っている子供に通知簿で「3」をつけるようなことは、今の公立中学ではまずありません。だって、親が学校にねじ込むからです。

サボっても何のペナルティもない。その上で、大人が「怒ってはいけない」と自ら武器を捨て、腫れ物に触るように「褒めて伸ばそう」と媚びを売ってくる。 そんなぬるま湯の中で、上昇意欲も自制心(GRIT)もない遺伝子を持った子どもたちがどう動くか。野生の動物よろしく、授業中に歩き回り、スマホをいじり、他人の努力を邪魔する怪物へと仕上がるに決まっています「努力できる遺伝子――アメリカの大学の研究を米陸軍士官学校の訓練が証明した」。

今のユルユルの公立校で登校拒否する子供たちが、社会のどこへ行っても生きていけないのは当然です。彼らは「怒られないこと」を権利だと勘違いしたまま大人になるからです。

我が子を「動物園の獣」にしてはいけない

「子どもは褒めて育てましょう」などと寝言を言っている塾は、その子が将来、欧米流の冷酷な格差社会(ジョブ型雇用や35歳リストラ)を取り入れようとしている社会に使い潰されるハリボテになる未来を隠しています「Z世代とジョブ型雇用の罠を学習塾で痛感する――「正解」を求める子供たちが迎える残酷な未来」。

褒めて伸ばすことに慣れ、権利主張だけが激しいZ世代を企業は使いあぐねています。少し指導しようとして「もう少し努力しろよ」と言うと、「それ、私の給料、仕事の範囲内ですか?」「頑張っても給料上がらないなら、そこそこで良くないですか?」「やりがい搾取ですよね」などという始末です。

ところが企業も、人手不足のせいで、こういう努力が嫌いな若者たちでも喜ぶように、「君の仕事の範囲はこれだけだから」と努力の敷居を低くして、欧米を真似て「ジョブ型雇用」と名付けて若者の関心を引いています。 けれども、これは言い換えれば、「やる気のないやつは、一生底辺の事務仕事のジョブで終われ」と言っていることに等しいのです。ジョブ型とは、一生同じ職制の仕事で終わり、給料も頭打ちになり、昇進もしないということです。

だから35歳になり、多少とも給料が上がると、会社側から「事務仕事しかできない中年はいらない」とばかりに一発でリストラされます。最近日本で30歳代にまでリストラの年齢が下がってきているのは、こういう理由があるのです。

これが、「褒める教育」で骨抜きにされて育った若者の、あまりにも残酷な未来です。

これに関連するブログは多く書いてあります。興味のある方はお読みください。「新聞に掲載された小学校校長の教育方針は疑問だらけ」「フィンランド式「自由で創造豊な教育」は下半分で失敗した/フィンランド教育科学庁自ら総括/日本でも同じことが起こっています」「日本の子供の躾を考える・・まともな学校に進学させるために 」「データで見るこの5年の子供の劣化/理由は親にある

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芦屋で500人以上、個別指導20年のベテラン講師が、毎日・全教科、中学生と高校生を指導します。御影高校・神戸高校、関西学院・同志社・神戸大学・大阪大学を目指す特進個別塾です。